遠因と近因<川崎の殺傷事件と元農水事務次官の事件に共通する環境要因として「中高年の引きこもり」が取りざたされている!直ぐできるのは、絶望が加害に転じる瞬間のトリガーをひかせないことだ!>
2019年 06月 06日
6月日付東京新聞朝刊23面に、「本音のコラム」という欄がある。筆者は、文芸評論家・斉藤美奈子氏だ。今日は、この筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「凶悪な事件がニュースになるたびに思い出すのは1968年の「連続射殺魔事件」である。
堀川恵子「永山則夫封印された鑑定記録」(講談社文庫)は百時間以上に及ぶ、精神科医・石川義博氏の精神鑑定の記録(石川鑑定)から事件の真相に迫った衝撃的なノンフィクションで、犯行の原因を貧困とする従来の説を大きく覆す内容となった。」と切り出した。
続けて筆者は、「鑑定は主として彼の生育歴に関わる。永山則夫は8人きょうだいの7番目として北海道で生まれ、青森県で小中学校時代を過ごすが、父は放蕩の末に家で、母は幼い子供たちを置いて出奔、姉は精神を病み、兄は弟を虐待。心に深い傷を負った永山は上京後、極端な人間不信と被害妄想で職場から逃亡と自殺未遂を繰り返した。
どんな事件にも遠因と近因がある。
永山事件は家族関係に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抜きにはかたれない。
川崎の殺傷事件と元農水事務次官の事件に共通する環境的要因としての「中高年のひきこもり」が取りざたされている。
表層的にはその通りでも事件後間もない現在の段階で判断するのは性急すぎないだろうか。」と指摘した。
最後に筆者は、「それでもすぐできるのは近因を取り除く、すなわち絶望が加害に転じる瞬間のトリガーを引かせないことである。
言葉は凶器にもなる。「一人で死ね」はやっぱりダメだろう。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「堀川恵子「永山則夫封印された鑑定記録」(講談社文庫)は、百時間以上に及ぶ、精神科医・石川義博氏の精神鑑定の記録(石川鑑定)から事件の真相に迫ったノンフィクション」とのこと、
「鑑定は主として彼の成育歴にかかわる」とのこと、
「どんな事件にも遠因と近因がある。永山事件は家族関係に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抜きに語れない」とのこと、
「川崎の殺傷事件と元農水事務次官の事件に共通する環境的要因として「中高年の引きこもり」が取りざたされている。」とのこと、
「すぐできるのは近因を取り除く、すなわち絶望が加害に転じる瞬間のトリガーを引かせないことである」とのこと、
等々を知ることができた。
そして考えた。
「家族関係に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)」「環境要因としての「中高年のひきこもり」」等々を遠因・近因としているらしいが、その近因・遠因は、近親者以外は全く知りようがない。
だから、結果としての殺傷事件が起きて、初めて周囲に該当者がいたことに気づくだけだ。
で、被害者がでないようにするには、どうすればいいのだろうか?
筆者は、「絶望が加害に転じる瞬間のトリガーを引かせないことである」と指摘する。指摘の通りだと思う。として、具体策は個々別々で多様になるのではないか?
とすれば、逃げ足を鍛えておくとか、逃げ切れない時には相手に対抗できる「力と技」を日頃から磨いておくなど「自衛策」を立てるしか、被害を最小限に食い止める方法はないのだろうか?
ここのところは、識者の智恵を借りたいところだ。