米のイスラエル偏重 ますます遠のく2国家共存 < ヨルダン西岸地区のパレスチナ自治政府は、イスラエル人とパレスチナ人による2国家共存に向けた最後で最良の希望だ!!>
2019年 04月 09日
4月5日付朝日新聞朝刊15面に、「コラムニストの眼」と言う欄がある。筆者は、トーマス・フリードマン氏だ。
今日は、この筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「イスラエルの軍情報部門のトップを務めたアモス・ヤドリン氏がよく言うことは、ユダヤ人が多数派を占める民主国家としてのイスラエルは存立にかかわる二つの脅威に直面している。
核武装したイランと、250万のパレスチナ人が住むヨルダン西岸地区を永続的に占領することで自国を二重国家へ転換することだ。
イスラエルは一つ目の脅威に対する戦略はあるが、二つ目に対しては何もない。
二つ目の戦略がない主な理由は、私が思うに、三つ目の脅威があるためだ。
それは米国からの脅威、トランプ大統領からだが、米連邦議会のイスラエル支持派議員やイスラエルのロビー団体である「米国・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)からの脅威でもある。
米国がイスラエルを愛しすぎて、死に至らしめてしまうという脅威だ。
ヨルダン川西岸地区をイスラエルが永続的に支配する野望があるネタニヤフ首相の思い通りにさせることで、トランプ氏や米議会、イスラエルのロビー団体は、西岸地区のパレスチナ自治政府がいずれ崩壊するという状況を作りだす。
そうすればパレスチナ人住民たちは、イスラエルの市民権を求めるだろう。
イスラエルは250万のパレスチナ人と対等に権力を分かち合うか、もしくは機械的にそれを拒否するかで、彼らを統治することになる。
そんなことになれば、イスラエルはどうすべきかについての議論をめぐり、米国のあらゆるシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)やユダヤ系団体は分裂するだろう。
イスラエルとパレスチナによる「2国家共存」という有望案が交渉されてさえいれば、そうした議論は浮上しなかった。
だが、その案がなくなると、ユダヤ社会や、米国内の全大学における革新派とイスラエル支持派の間で大乱闘が起きる。すでに始まっている。」と切り出した。
続けて筆者は、「トランプ氏が登場するまで、民主党と共和党の大統領は、イスラエルとアラブの双方の指導者に対して「現実を強制する者」の役割を演じてきた。
米大統領の仕事は、レッドライン(こえてはならない一線)を引いて、イスラエルの首相あるいはアラブ指導者が過激派に対して、こう言えるようにすることだった。
「いいか、あなたたちが私にやってほしいというそのクレージーなことを、私もぜひやりたい。私の心はあなたたちと共にある。だが、もし私がそんなことをしたら、米大統領が私の腕をへし折るだろう。だから、私たちはそのクレージーなことはやらない。私の心はあなたたちと共にあってもね!」
トランプ氏は、そんな米国の役割を捨ててしまった。代わりに、パレスチナ政府を弱体化させながら、イスラエルのヨルダン西岸地区併合への制限を着実に解いていく政策を進めている。
トランプ氏のイスラエル(及び米国と同盟関係にあるアラブ諸国)に対する「何でもあり」的な方針は、戦略的な変化として現れている。
その方針は実際、極右のユダヤ系大口献金者シャルダン・アデルソン氏からもっと選挙資金を得て、ユダヤ系有権者を民主党から離反させて共和党に投票させる、というトランプ氏の野望によって推し進められている。
ネタニヤフ首相はトランプ氏を称賛し、トランプ氏は何の見返りも求めずにゴラン高原をネタニヤフ氏に与える。
トランプ氏は、イスラエルを「刺激する」からと言ってはパレスチナ自治政府とアッバス議長を弱体化させ、脅かし続ける。
一方で、ネタニヤフ氏が、アラブ系イスラエル人は本当の市民ではない、本当の市民はユダヤ人だけだとあおり立てても、トランプ氏は何も言わない。」と指摘した。
最後に筆者は、「ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府は腐敗し、運営はまずく、時に暴力を煽る。だが自治政府は、イスラエル人とパレスチナ人による2国家共存に向けた最後で最良の希望だ。
パレスチナ人の生活のための基本インフラも提供している。イスラエルの情報機関員が誰しも言うように、自治政府はイスラエル治安当局との日々の協力を可能にしており、長年にわたってヨルダン川西岸地区の平穏を保つのに役立ち、イスラエルが直接統治することに伴う費用を軽減してきた。
だが、どちらがより強いイスラエル支持者になれるかというトランプ氏と民主党による軍拡競争は、パレスチナ自治政府に対する一連の懲罰的な米国の行動に発展し、自治政府を崩壊に近づけた。これは単にパレスチナ人がネタニヤフ氏やトランプ氏に、次のように言う日が来るのを早めるだけだ。
「分かった。我々は負けた。2国家共存案は無くなった。だから我々をイスラエル市民にして、選挙権を与えてくれ」
要するに、首尾一貫した米国の戦略はない。
それぞれの都合で、誰がイスラエルを最も殺したいほど愛せるかを競っているだけだ。
それで、トランプ氏はアデルソン氏から献金を得る。
ネタニヤフ氏はトランプ氏の助けを得て再選を目指す。
何もかもパレスチナ人のせいにされる。
イスラエルはヨルダン川西岸地区の併合を続ける。イスラエルをなおも支援し続けるかという問いが、世界中のシナゴーグとユダヤ系組織を分裂させるだろう。
2022年のAIPAC年次総会での討論会のテーマは、過去にないものになる。「イスラエルを失ったのは、誰のせいだ?」(©2019THE NEW YORK TIMES)(NYタイムズ、、3月26日付電子版 抄訳)
読んで勉強になった。
「イスラエルの軍情報部門のトップを務めたアモス・ヤドリン氏がよく言うには、ユダヤ人が多数派を占める民主国家としてのイスラエルは、存立にかかわる二つの脅威に直面している」とのこと、
「核武装したイランと、250万のパレスチナ人が住むヨルダン川西岸地区を永続的に占領することで自国を二重国家へ転換することだ」とのこと、
「イスラエルは一つ目の脅威に対する戦略はあるが、二つ目に対してはなにもない」とのこと、
「二つ目に戦略がない理由は、私(筆者)が思うに、三つ目の脅威があるためだ。
それは米国からの脅威、特にトランプ大統領からだが、米連邦議会のイスラエル支持派議員やイスラエルのロビー団体である「米国・イスラエル公共問題委員会(AIPA)」からの脅威でもある。」とのこと、
「米国がイスラエルを愛しすぎて、死に至らしめてしまうという脅威だ」とのこと、
「その案(2国家共存)がなくなると、ユダヤ社会や米国内の全大学における革新派とイスラエル支持派の間で大混乱が起きる。すでに始まっている。」とのこと、
「トランプ氏が登場するまで、民主党と共和党の大統領は、イスラエルとアラブの双方の指導者に対して「現実を強制する者」の役割を演じてきた、」とのこと、
「トランプ氏は、そんな米国の役割を捨ててしまった。代わりに、パレスチナ自治政府を弱体化させながら、イスラエルのヨルダン西岸地区併合への制限を着実に解いていく政策を進めている」とのこと、
「どちらがより強いイスラエル支持者に成れるかというトランプ氏と民主党による軍拡競争は、パレスチナ自治政府に対する一連の懲罰的な米国の行動に発展し、自治政府は崩壊に近づいた」とのこと、
「これは単にパレスチナ人がネタニヤフ氏やトランプ氏に、次のように言う日が来るのを早めるだけだ。「分かった。我々は負けた。2国家共存は無くなった。だから、我々をイスラエル市民にして、選挙権を与えてくれ」」とのこと、
「イスラエルはヨルダン川西岸地区の併合を続ける。イスラエルをなおも支援し続けるか否かという問いが、世界中のシナゴーグとユダヤ系組織を分裂させるだろう」とのこと、
等々を知ることができ、よく理解できた。
過日エルサレム一人旅をしてきた。出掛ける前に、このような筆者の記事を読んでいたら、出かけなかったかもしれない、と思った。
でも何も知らないで、ただ三大聖地を見てみたい、との想いだけで行って帰ったきた。
エルサレムを歩いての感想は、この街は、今まで訪れたどの町よりも、即時に戦争ができる「町」だと思った。この筆者の記事を読んで、トランプ大統領の登場が中東戦争の再発につながりそうで怖い。
特に、イランは核兵器保有を誇示しイスラエルは核兵器を保有しているらしいので、最初の核戦争が中東発で、なんてことが120%無いことを祈りたい。
できることなら、世界で核戦争が勃発する前に、日本の平和憲法を世界へ未来へと広げ、世界から戦争を無くし、2国家共存から他国家共存へ、その先は国家消滅、世界連邦の実現へとならないか、と夢を見ている。