景気回復の虚妄 <安倍政権の6年間、見せかけの企業業績改善の陰で、日本では何の新産業も生まれておらず、日本を引っ張る技術がないことに危機感を(経済同友会代表幹事・小林喜光氏は)表明している???>
2019年 02月 04日
2月3日付東京新聞朝刊25面に、「本音のコラム」という欄がある。筆者は、法政大教授・山口二郎氏だ。今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「基幹統計のずさんさが明らかになり、アベノミクスが効果を上げているかどうか、疑念が広がっている。統計疑惑のさなか、政府は1月29日に月例経済報告を公表し、景気回復が戦後最長となったと見られるとした。
景気回復の実感がないという話は各紙が伝えていた。回復どころか、むしろ日本の経済力が衰弱していることこそが、大問題である。」と切り出した。
続けて筆者は、「30日の他紙に、経済同友会代表幹事、小林喜光氏のインタビューが載っていた。その中で、安倍政権の6年間、見かけ上の企業業績改善の陰で、日本では何の新産業も生まれておらず、日本を引っ張る技術がないことに強い危機感を表明している。日本は老いているという指摘に、門外漢の私も共鳴した。安倍政権の最大の罪は、世の中に根拠のない多幸感をまき散らしていることである。
こんなデタラメな政治を容認する人々が国民の半分前後いること自体が国難である。
国の衰退を止める特効薬はない。社会や経済の活気は他事争論の気風から生まれる。」と指摘した。
最後に筆者は、「バブル崩壊以来、日本は誤った道を進んできたのだから、己の失敗を厳しく認識する事からしか、再建は始まらない。
愛国心や日本人らしさやらを学校で若い人に教え込むのはやめた方がよい。自画自賛の人間を育成するのは、将来を危うくする。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「30日の他紙に、経済同友会代表幹事、小林喜光氏のインタビューが載っていた。その中で、安倍政権の6年間、見かけ上の企業業績改善の陰で、日本では何の新産業も生まれておらず、日本を引っ張る技術がないことに強い危機感を表明している」とのことを初めて知った。
「日本は老いているという指摘に、門外漢の私も共鳴した」と筆者。その点、読者の私も同感だ。だから、「政府は1月29日に月例経済報告を公表し、景気回復が戦後最長となったとみられるとした」ことは、そのまま信じることができなかった。基幹統計のずさんさが明らかになり、変な意味で、納得した。
また筆者は、「安倍政権の最大の罪は、世の中に根拠のない多幸感をまき散らしたことである」、「こんなでたらめな政治を容認する人々が国民の半分前後いること自体が国難である」と指摘した。その指摘を是としたうえで、野党を含む安倍政権の批判勢力の総体で、安倍政権に取って代わられないこと、また自民党内で安倍政権に替わる指導者が現れないこと、等々は日本における戦後民主主義のシステム疲労のような気がしている。
情報・知識のグローバル化が先行し、次に経済が続き、遅れているのが政治ではないか。
政治のクローバル化、政策のグローバル化、そして統治システムのグローバル化、民主主義のグローバル化、等々が急がれているのかもしれない、と思った。