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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

イノベーション政策 政府は「主導」より「対処」を<かって通商産業省は、石炭から石油へのエネルギー革命に際し、石炭対策特別会計を設け、石炭産業を安定化し、離職者の生活を守ることに気を配った!>

 6月15日付朝日新聞朝刊13面に、「月刊 安心新聞」という欄がある。筆者は、千葉大学教授・神里達博氏だ。

 今日はこの筆者に学ぶことにした。

 まず筆者は、「最近、「イノベーション」という言葉をよく耳にする。現政権においてもイノベーションは非常に重視されており、「第三も矢」とされる「成長戦略」においては、中心的な役割が与えられてきた。

 イノベーションさえ起これば経済は成長のプロセスに乗り、日本社会は再び活気を取り戻すはず。そんな漠然とした期待が広がっているように思う。
 しかし、それは確かなことなのだろうか。

 今月は、この概念の本来の意味を確認した上で、近年の日本の「イノベーション政策」について、少し考えてみたい。」と切り出した。

 続けて筆者は、「イノベーションは元々、オーストリアの経済学者、シュンペーターが20世紀前半に提起した概念である。

 日本ではしばしば「技術革新」と訳されるが、本来の射程はより広い。1926年に出版された改訂版「経済発展の理論」では、大きく5つのケースが示されている。

まずは「新しい財貨の生産」。これは私たちの知っている技術革新に近い。

 加えて「新しい生産方法の導入」や「新しい販路の開拓」といった、製造プロセスやマーケティングに関する事項が続く。

 さらに[原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得]や「新しい組織の実現」といった、産業を支えるシステムや基盤についての言及も見られる。

 シュンペーターはこれらを「新結合=neue Kombinationen」と呼び、モノやコトの価値ある「新しい結びつき方」を新機軸=イノベーションと定義したのである。

 同時に彼は、新しい結合が生じることで、旧来のつながりや慣行が壊される。「創造的破壊」が起こるとも指摘している。

 歴史的に、このような例は多々ある。

 馬車が自動車に取って代わられ、石炭が石油に切り替わり、最近では銀塩フイルムのカメラがデジタルカメラになり、いまやスマートフォンに付属するレンズで写真は十分、という声も聞くようになった。

 こういった変革が起こると、旧来型の仕事に携わっていた人たちは抜本的な対策を迫られる。

 そして現実には、その多くが廃業に追い込まれてきた。このような厳しい側面を併せ持つのがイノベーションである。

 一方、その過程やメカニズムについての学術的研究もなされてきた。

 その結果、イノベーションを管理するための知識も、ある程度は蓄積されてきた。だが、社会に強いインパクトを与えるようなイノベーションの多くは不連続的な現象であって、事前の計画や設計ができる類いのものではないものではないことも分かってきた。

 また、真に影響力の大きいイノベーションは、以下のような物語を伴うことも多い。

 少数のパイオニア、時には狂信的ともいえるような情熱を持った人たちが、世間の冷たい視線にもめげず努力を続ける。

 そして、ついに成果を世に示す日が来る。

 人々は驚愕し、世界が変わるーーこの種のストーリーは当然、計画や設計にはなじまない。」と指摘した。

 最後に筆者は、「ところが、そんなイノベーションを日本政府が促進するという。

 少し現状を見てみよう。

 政府は、90年代半ばから5年ごとに「科学技術基本計画」を策定し、科学技術政策を長期的視野で進める仕組みを設けている。

 その4期目に当たる2011年の「基本計画」では「自然科学のみならず、人文科学や社会科学の視点も取り入れ、科学技術政策に加えて、関連するイノベーション政策も幅広く対象に含めて、その一体的な推進を図っていくことが不可欠」とし、これを「科学的イノベーション政策」と位置づけた。

 本来、科学技術政策と産業政策は別物だが、最近は産業政策、特にイノベーション政策の手段のように科学技術政策が位置づけられることが目立っている。

 実際、政府の科学技術政策の司令塔「総合科学技術会議(CSTP)」は、14年の内閣府設置法改正により「科学技術・イノベーション会議(CSTI)」に名称変更された。加えて、閣議決定で設置された「日本経済再生本部」のもとにおかれた「産業競争力会議」の、さらにその中のワーキング・グループがCSTIに対して「宿題」を出し、CSTIが対応するという、不思議な現象も起きているという。

 これを「官邸主導」と呼べば聞こえはいいが、国会の決議に基づく、法的根拠のある行政組織が、閣議決定を根拠する組織の「手足」の如く走り回っているとすれば、問題ではないか。

 これらは一部の例に過ぎないが、日本では他にも、すでにさまざまな政策が、イノベーションの名のもとに動員されて行く流れにある。

 それが本当に日本社会を豊かにするならば、一つのやり方かもしれない。

 だが、シュンペーターが指摘しているように、本物のイノベーションが起これば、それはしばしば既存のシステムの破壊を伴うということも、忘れるべきではない。

 かっての通商産業省は、石炭から石油へのエネルギー革命に対処すべく、石炭対策特別会計を設け、石炭産業を安定させ、離職者の生活を守ることにも気を配った。

 行政の本来の仕事は、イノベーションを加速することよりも、その結果起こるさまざまな社会経済的なゆがみに対処することではないだろうか。

 結局のところ、政府はイノベーションという難題に、どのようにどこまでかかわるべきなのか、今一度、落ち着いて見つめ直すべきときだろう。」として締めくくった。

 読んで勉強になった。

 「イノベーションは元々、オーストリアの経済学者,シュペンターが20世紀前半に提起した概念である」とのこと、

 「1926年に出版された「経済発展の理論」では大きく五つのケースが示されている」とのこと、

 「まずは「新しい財貨の生産」。これは私たちが知っている技術革新に近い。

 加えて、「新しい生産方法の導入」や「新しい販路の開拓」といった製造プロセスやマーケテングに関する事項が続く。

 さらに「原料あるいは半製品のあらしい供給源の獲得」や「新しい組織の実現」といった、産業を支えるシステムや基盤についての言及も見られる」とのこと、

 「シュペンターはこれらを「新結合=neue Kombinationen」と呼び、モノやコトの価値ある「新しい結びつき方」を新機軸=イノベーションと定義したのである。」とのことを知ることが出来た。

 また、「同時に彼は、新しい結合が生じることで、旧来のつながりや慣行が壊される、「創造的破壊」が起こることも指摘している」とのこと、

 「こうした変革が起こると、旧来型の仕事にたずさわっていた人たちは抜本的な対策を迫られる。そして現実には、その多くが廃業に追い込まれてきた。このような厳しい側面を併せ持つのがイノベーションである」とのこと、等々を知ることが出来た。

 いま、起こすべきイノベーションがあるとすれば、脱原発・再生・自然エネルギー革命ではないか、と思う。

 福島の原発事故の破壊は、地域を破壊したと同時に、原子力産業・原子力ムラの破壊したのではないか、とも思う。

 政府はイノベーションを促進しているらしいが、石炭・石油・ウランという化石燃料から、自然エネルギーへの転換こそ、最も現実的で即効性のあるイノベーションではないか。

そして、筆者の「行政の本来の仕事は、イノベーションを加速することより、その結果起こる様々な社会経済的なゆがみに対処することではないか。
 その歪み対策の中に「原子力ムラ」の救済を加えようとすると、世論の反発があるかもしれないが。

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by sasakitosio | 2018-06-20 06:42 | 朝日新聞を読んで | Trackback