私小説の現在形< 手塚治虫文化賞を受賞した矢部太郎「大家さんと僕」!この作品の面白さは昔風で上品な大家さんのキャラクター!!視点人物が「売れない芸人」である点もミソ!!!>
2018年 06月 14日
6月13日付東京新聞朝刊27面に、「本音のコラム」という欄がある。今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「手塚治虫文化賞短編賞を受賞した矢部太郎「大家さんと僕」を読んでみた。
大家さんは独り暮らしの86歳。
その二階に「僕」は間借りしている。
雨の日に洗濯物を取り込んでもらったり、お昼に招かれたりしているうちに二人は親しくなり、伊勢丹へ買い物のお供をしたり、九州在住の大家さんの友人と3人で鹿児島旅行に出かけたりするまでになる。
この作品のおもしろさは昔風で上品な大家さんのキャラクターによるところが大だけど、視点人物が「売れているとはいえない芸人」である点もミソ。ジャンルはエッセイ漫画だとしても、まあ私小説ですよね。」と切り出した。
続けて筆者は、「又吉直樹「火花」が芥川賞を受賞したり、若林正恭「表参道のセレブとカバーニャ要塞の野良犬」が紀行文に送られる斉藤茂太賞を受賞したり、このところお笑い界から文芸畑への進出が目立つ。
話題作りだという批判もあるが、私はそんんあい驚いていない。」と指摘した。
最後に筆者は、「ネタを書く芸人さんには書く能力がもともとあるはずだし「売れない芸人」は「自分はこれでいいか」的な悩みを抱えつつ世の中を少し斜めから見る癖がつく。軽いいじけを含んだ自虐芸。そこが昔の文士っぽい。
又吉直樹「東京百景」も若林正恭「社会人大学人見知り学部卒業見込」もみごとに私小説だった。
売れっ子になってもできれば自虐をキープしてほしい。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「筆者は、手塚治虫文化賞短編賞を受賞した矢部太郎「大家さんと僕」を読んでみた。」とのこと、
「この作品の面白さは昔風で上品な大家さんのキャラクターによるところが大だけど、視点人物が「売れているとはいえない芸人」である点もミソ。」とのこと、
「このところお笑い界から文芸畑への進出が目立つ。話題作りだという批判もあるが、私は村内驚いていない」とのこと、
「ネタを書く芸人さんには書く能力がもともとあるはずだし「売れない芸人」は「自分はこれでいいのか」的な悩みを抱えつつ世の中を少し斜めに見る癖がつく。軽いいじけを含んだ自虐芸。そこが昔の文士っぽい。」とのこと、
とうとうはよく理解できた。
趣味で通っている「講談塾」の師匠、宝井琴星師匠や、真打目前の宝井琴柑女史も、新作の講談話する。たしかに、講釈師は「話」を買う能力はある。昔は、講談話が芝居になったものだと、いう話を(故)五代目宝井馬琴師匠から、聴いたことがある。「売れない講釈師」もいくらかはいると思うので、講釈師の中から「文芸畑」へ進出する人が出てくると、「講釈は構造的不況産業」<(故)五代目宝井馬琴の話>から抜け出せるかも知れない、と思った。