恋愛小説の潮流 <男性同士の恋愛を描いたBL(ボーイズラブ)小説が一世を風靡したのは1990年代!?ついに芥川賞や課題図書にもBLの風が吹き始めたか???>
2017年 09月 14日
9月13日付東京新聞朝刊25面に、「本音のコラム」という欄がある。筆者は、文芸評論家・斉藤美奈子氏だ。
今日は、この筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「7月に芥川賞を受賞した沼田真佑「影裏」は、ゲイ小説じゃないかと私は思っている。
物語は語り手の「私」こと今野が元同僚の男性・日浅と過ごした日々を語ってゆくのだが、なぜ彼はそこまで日浅に固執するのか。
好きだからとしか思えないんですよね。つまりは報われない恋愛。」と切り出した。
続けて筆者は、「この夏の読書感想文コンクールの課題図書(小学校高学年の部)になった戸森しるこ「ぼくたちのリアル」も少年同士の恋愛がモチーフになっている。勉強もスポーツもできる学年一の人気者(リアル)に転校生の少年(サジ)が恋をするのだ。
ちなみに彼らは小学5年生である。
最終的には当選を逃したが、今期文芸賞の最終候補に残った作品にも、高校生の男子が同級生の男子に強烈に惹かれていく物語であった。
作者は18歳の男性である。
男性同士の恋愛を描いたBL(ボーイズラブ)小説が一世を風靡したのは1990年代。
ついに芥川賞や課題図書にもBLの風が吹き始めたのかとも思う反面、それがある種の切実さに裏打ちされた現象なのか、判断しきれないんだけど。」と指摘した。
最期に筆者は、「オスカー・ワイルドの「幸福の王子」もメルヴィルの「白鯨」も、じつはゲイ小説の要素を含んでいる。世間的には公認されにくい関係だからこその切ない感情。恋愛小説の新しい波かもしれない。」として締めくくった。
読んで驚いた。
「7月に芥川賞を受賞した沼田真佑「影裏」はゲイ小説ではないかと私は思っている」とのこと、
「この夏の読書感想文コンクールの課題図書(小学校高学年の部)になった戸森しるこ「僕たちのリアル」も少年同士の恋愛が重要なモチーフになっている。」とのこと、
「最終的には当選を逃したが、今期文芸賞の最終候補に残った作品にも、高校生の男子が同級生の男子に強烈に惹かれていく物語であった」とのこと、
「男性同士の恋愛を描いたBL(ボーイズラブ)小説が一世を風靡したのは1990年代」とのこと、等々を初めて知って、びっくりしている。
年を取ると大抵のことには驚かなくなってしまった。が、BLが単なる風なのか、それともある種の切実さに裏打ちされた現象なのか、単なる流行なのか、大いに気になった。