金融危機の禍根、一気に噴出<資本主義と民主主義が機能不全に?格差解消のトランプカードは有るのか!?>
2016年 11月 17日
きょうは、ビル・エモットさんにヨーロッパ総局長・石合力さんが聞き手の記事に学ぶことにした。
まず記事は、「トランプ氏当選が衝撃的なのは、彼が1945年以降の戦後国際秩序の基本的な枠組みを完全に拒絶するか、距離を置くことを訴えている点です。
特に貿易の面で極めて保護主義的な対応です。
選挙中の発言がどこまで実行されるかにもよりますが、米国の進む方向は劇的に変化するでしょう。
より敵対的で反自由主義的な国、孤立主義的で以前よりも世界に対し閉ざされた国に向かう。
貿易麺以上に深刻なのは北大西洋(NATO)への敵意です。
条約5条の集団防衛にも疑義をはさんである。
日本を含む同盟国に防衛費と米軍駐留経費の負担増を求め、ドイツ、英国、日本よりもロシアに対してより親近感を抱いているように見える。
それでも人々が投票したのはなぜか。
それは2008年リーマン・ショックのせいです。
それこそがトランプ氏の勝因でしょう。
危機は人々の生活、雇用、貯蓄に壊滅的な打撃を与えた。
一方で巨大な政治力を持つ銀行が規制を逃れ、十分に処罰されなかった。資本主義と民主主義がともに機能不全に陥ったのです。
09年に誕生したオバマ政権と米議会はこうした問題点を解決することができなかった。
英国が「ブレグジット」(英国のEU離脱)を選んだこととも共通します。移民問題とは結局、経済的絶望、悲観主義の身代わりなのです。労働者や失業者などの間で、以前は投票しなかった人々が投票した点も同じです。
ブレグジット、トランプ現象、各国のポピュリズムは、それ自体、民主主義の失敗ではありません。
民主主義の失敗は08年にこそあったのです。」と指摘した。」と切り出した。
つづけて記事は、「トランプ次期米大統領は短期的には経済的な成果に焦点を当て、国際問題ではあまり敵対的な対応をしないのではないか。
米国の経済、雇用や収入問題こそ彼の人気を保つものだからです。
まずは財政的なな刺激策やインフラ整備に向けて議会からの合意を得ようとするのではないか。
オバマ大統領が導入したオバマケア(医療保険制度改革)を廃止することはかなり早い段階で起り得る。
貿易問題では、環太平洋経済連携協定(TPP)、欧州との環大西洋貿易投資協定(NAFTA)実現させることは、もはや完全に不可能でしょう (再交渉を主張している)北米自由傍系協定(NFTA)も危うい。
同協定の撤回はメキシコに対しは取り得る最も容易で見えやすい行動です。「国境に壁を造るか、移民規制の提案がなければ、NAFTAから離脱する」と取引材料として使う可能性があります。
懸念材料は新たな危機が起こる可能性があるなか、どう対応するかと、いうことです。
経済危機か外交危機が予測できない。
トランプ氏は危機に対応するには、あまりにも激しい気象です。対応を誤れば、激しく傷つきます。
欧州右派は勢力にも大きな影響を及ぼすでしょう。もはやフランス大統領に(国民戦線)のルペン氏がなる可能性を完全には否定できないでしょう。
世界経済や政治に、日没とまではいかなくも、長い冬が来るのではないか。」と指摘した。
最後に記事は、「アジアでは、中国の立場を強めることになります。アジア各国にとり、米国が従来ほど頼れる国で亡くなるからです。
トランプ勝利後の日本は米国の方向性が不透明になるなか、より強固で一貫した施策を経済、貿易、安全保障で持つ必要がある。
アジアの中で安保協力や友好関係を強めることも必要です。
韓国、シンガポール、インドネシア、マレーシア、豪州などとの関係に時間と政治力をもっと充てるべきでしょう。
安倍首相は「アジア域内の経済連携協定を我々でつくろう」と」TPPに代わるアジア経済連携協定を呼びかける主導権をとることもできるはずです。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
筆者は「人々が投票したのはなぜか。それは2008年の金融危機、リーマン・ショックのせいです。
それこそがトランプ氏の勝因でしょう。危機は人々の生活、雇用、貯蓄に壊滅的な打撃を与えた。一方で巨大な政治力を持つ銀行が規制を逃れ、十分に処罰されなかった。」こと、
「09年に誕生した オバマ政権と、米国議会はこうした問題点を解決することができなかった」こと、等等を指摘した。
それらの指摘は当たっている気がする。
その上で、トランプ氏が格差是正に効果的な対策をたて実行きるとはとても思えない。だから、トランプ氏に期待した労働者や失業者は、失望を味わうような気がしてならない。そう思う根拠は。トランプ氏自身がエスタブリッシュの中でも、選りスグリのエスタブリッシュだからだ。