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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

暗闇になくした鍵をさがせ<時代にあった物さしづくり、フィトゥシ氏らが始め、来年発表、いいねえ!!>

 9月11日付朝日新聞朝刊3面に、「日曜に想う」という欄がある。筆者は、編集委員・大野博人氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「「街灯の定理」という風変わりなタイトルの経済書がある。
 夜、ある人が街灯の下で何かを探している。鍵を落としたという。なくしたのはこのあたりかと問うと、そういうわけではないが、ここは光があたってさがしやすいので、と答えたーーー。
 そんなジョークが由来になっている。
 闇にまぎれた鍵を明るみにさがすちぐはぐ。
 それと同じようなことが、経済学や経済政策の世界で起きているのだ、とその本は指摘する。
 筆者はフランスの経済学者でパリ政治学院名誉教授のジャンボール・フィトゥシ(74)。3年前の出版だが、今も彼が憂える状況は変わっていない。
 たとえば経済の行き詰まりの打開を議論するときに、日本では必ず持ち出される「構造改革」について、「私たちは知的に退化しつつあるのではないか。構造改革の概念を、あたかもそれが善であるかのように、さまざまにひねり出し続けているが、たいていそれは大多数の人々にとって、より深刻な経済的不安定しか意味していない」なんて書いてある。
 鍵が見つかるはずの場所。
 だが、それは暗闇の中で少しばかり光が当たっているので、そこに目が向いてしまっているだけこもしれない。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「先日、パリの自宅で話を聞いた。
 「私たちが今、経験しているのはさまざまなことが絡み合った危機だ。
 なのに誰もがその一部しか見ていない。
 ある人は金融市場、ある人は欧州問題。だれも全体を考えない」
 自分になじみのないところは死角になっている、というわけだ。
 経済を考える手がかりとなるさまざまな物さしも、古くなっていて、見るべきものを見えなくしているという。
 その一つがGDP(国内総生産)。そこに人々の健康や教育などの「生産」はどう反映されているか。
 健康については、医療や保健への支出が尺度だ。
 「それだと、一番多いのは米国だ。でも、あの国ではとてもたくさんの人が十分な医療を受けられないままになってきた」。
 教育も支出を物さしにしては測れない。
 「むしろ、国際的な学習到達調査(PISA)などの方がいい指標」
 どちらも支出で見れば生産され伸びているようでも、実際は逆のことも。 
 「ガソリンを余計に消費させる交通渋滞も、防犯対策への出費を促す治安の悪化もGDPを押し上げる。
 でも、人々の幸福が増すことにはならない」
 ではどんな物さしが必要ですか?
 「まずGDPは不平等を考慮して修正しなければ、成長率が3%だとしても、1千%を享受できた少数うとマイナス20%に苦しんでいる多数の平均なら物さしにならない」。
 雇用や将来の不安、人間関係の在り方なども指標としてもっと活用すべきだと話した。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「フィトゥシさんは、今の日本の金融緩和政策を評価し、マイナス金利も問題がないと見る。
 だが、判断の物さしが日本の政府とかなり違うようだ。ゼロ成長については「人口が減った分を生産性の向上で埋め合わせてゼロになっているかもしれない。だったら、日本は危機ではないだろう」。また国の膨大な借金が急激なインフレを招く恐れについて「だって、企業は投資しないし、人はあまりものを買わないのだから、そんな心配は必要ない」とも。肯定的な判断に見えるが、それが成長をもたらすか、という点を最優先していない。
 これまで光の当たっていなかった部分に目を向けるために、時代にあった物さしを作る。
 今、こんな作業に取り組んでいる。仲間には、ノーベル賞を受賞した米国のクルーグマン氏やステグリッツ氏、不平等の研究で世界的な話題となったフランスのピケティ氏らも入っているそうだ。来年、成果をまとめて発表する予定だ。
 光の当たっている場所よりも、暗闇はずっと広大だ。そこになくした鍵を探す。挑戦の難しさを想った。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。 
 「街灯の定理」という経済書があり、3年前に出版され、著者はフランスの経済学者でパリ政治学院名誉教授のジャンポール・フィトゥシさん(74)とのこと。
 筆者が自宅で聴いた話、「私たちが今、経験しているのは様々なことが絡み合った危機だ。それなのに誰もがその一部しか見ていない。ある人は金融市場、ある人は欧州問題。ある人は福祉問題。だれも全体を考えない」とのこと。なるほど、よくわかった。
 では、どんな物さしが必要ですかとの筆者の質問に、
 「まずGDP は不平等を考慮して修正しなければ、成長率が3%だとしても、1千%を享受できた少数とマイナス20%に苦しんでいる多数の平均ならものさしにならない」とフィトゥシさんは答えた、とのこと。これは、大いに納得。
 また、フィトゥシさんはゼロ成長について「人口が減った分を生産性の向上で埋め合わせてゼロになっているのかもしれない、だったら、日本は危機ではないだろう」とこたえ、また国の莫大な借金がインフレを招く恐れについて「だって、企業は投資しないし、人はあんまり物を買わないのだから、そんな心配は必要ない」ともいった。よく考えれば、そうかもと納得。
 フィトゥシさん、グーグルマン氏、ステグリッツ氏、ピケティ氏らが、「これまで光の当たっていなかった部分に目を向けるために、時代にあった物さしを作る」作業に取り組んでいて、来年、成果をまとめて発表する予定だとのこと。新しいモノサシの発表が待ちどおしい。 
 そして、新しいモノサシが、今、早急に必要なのは、世界や日本の政治の世界ではないか、と思った。 
 
by sasakitosio | 2016-09-13 07:05 | 朝日新聞を読んで | Trackback