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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

慌てず米中関係を見極めよ

 4月9日付朝日新聞15面に、「耕論」という欄だある。「アジア投資銀ショック」という見出しで、東京理科大学教授・大場三枝氏と元財務官(青山学院大学教授)・榊原英資氏が論じている。
今日は、榊原英資氏に学ぶことにした。
 まず榊原氏は、「日本が慌ててと飛び乗る必用は有りません。AIIBがどのような銀行になるのか、「日中財務対話」などを通じて、慎重に見極めてからでも遅くはない。
 中国の二国間援助のように自らの国益優先で動く銀行ならば、日本は入ってはいけない。日米で育ててきたADBを大切にすべきです。」と切り出した。
 つづけて榊原氏は、「AIIBの出発点は、中国のお金で中国が思うように動かせる国際機関を作ることです。世界第二の経済大国になり、資金もあり人材も育ってきた中国は、世界銀行やADBなどで先進国の影響力が強すぎることに不満を持っています。
 日本人が歴代総裁を務め。主要ポストも握るADBは、中国から見れば日本が牛耳る組織です。
 (中国人が就いている)副総裁はたいして力を持てないし、出資比率が少なければ発言力も落ちる。それが国際機関の現実であり、先進国が持つ既得権益だといえます。
 英国を筆頭に欧州は、日本ほどにアジアに足場がない。安全保障の利害も乏しい。自国企業の取引など経済的な利益を得ようと参加を決めたのでしょう。欧州が入ることで、日本が疑問を呈してきたAIIBの統治の健全性が確保されるのであれば、日本も入ればいい。中国以外の国の意見が影響力を持てるように、(企業で言えば役員会に当たる)理事会の設置や、中国が最大の出資者になるとしても20%台程度までにとどめることは最低条件になると思います。」と教えてくれる。
 さらに榊原氏は、「私は財務官時代、1990年代後半アジア通貨危機に対応するため、アジア各国で出資してアジア通貨基金(AMF)を作ろうと動きました。アジアの資金で地域の金融を安定させようという日本の提案に、地域の連帯感が高まりました。国際通貨基金への対抗が主眼ではありませんでしたが、米国の激しい反対にあってかなわなかった。
 サマーズ米財務副長官(当時)の「君を友人だと思っていた」という電話の声は、後にも先にも聞いたことがないほど怒りに満ちていました。米政府は中国に対しても、日本の提案に消極姿勢を取るように促していた、と後で聞きました。
 AIIBにしても、米国は本気で止めなければならない案件だと思っていれば、同盟国の英国やオーストラリアをなんとしてでも引きとめたはずです。しかし、そうしなかったし、できなかった。オバマ政権が戦略的に対応してきた形跡はうかがえません。
 中国が自らのお金でつくると言い、アジアの国々が賛同する案件をつぶせば、米中関係を悪化させかねないと懸念した面もあるでしょう。」と教えてくれる。
 さらに続けて榊原氏は、「米中関係を見誤ってはなりません。米国の対中政策は、外交上の緊張を最小限に抑えつつ、その台頭に関与することが主流だといえます。
 そして米中は、日本が想像する以上に深いつながりを持っています。ハーバード大学などでは中国人留学生が多く。米国への留学組が中国政府の要職につきつつある。
 金融で言えばゴールドマン・サックスなどと中国企業の関係はも深い。
 とりわけ現在は、歴史認識や千閣諸島問題で対立する日中よりも、米中関係のほうが良好です。
 日本は福田康夫元首相など一部の人脈を除けば、中国の人脈を活用し切れていません。日本と比べて、米中は間は厚みがあります。」と教えてくれる。
 最後に榊原氏は、「AIIBについて、米中が日本の頭越しに妥協する可能性はあります。日本だけが拒否することにならないように、日本は米国と密接に意思疎通すべきです。
 中国は日本に出さない情報を米国に伝えることだってあり得る。米中という大国間の情報戦でもあります。
 日本は中国と単独で対峙するよりも、米国と協調した方が得策です。
 米国も日本を通じたアジアの足場を失いたくないはずです。
 日本がAIIBで問われているのは、存在感を増す中国とどういう形で向き合っていくかだと思います。」と締めくくった。
 よんで、日・米・中の関係について、考えるヒントが増えた。
 榊原氏がAMFを作ろうとしたとき、サマーズ米財務長官(当時)が榊原氏に対し「君は友人だと思っていた」という電話の声は、後にも先にも聞いたこと聞いたことがないほど怒りに満ちていました」との話し。これは、日本政府の持つ「アメリカ情報」のお粗末を示しているのか?それとも、アメリカの日本政府への「信頼度の低さ」・「根深い警戒心の強さ」の表れと見るべきなのだろうか?政府の対米追従の姿勢からして、信じられない「日米関係」の現実を見せられたような気がした。「米政府は中国に対しても、日本の提案に消極姿勢を取るように促していた」という話しは、論外の外の話に思えてならない。
 また榊原氏は、「AIIBについて、米中が日本の頭越しに妥協する可能性があります。日本だけが拒否することにならないように、日本は米国と密接に意思疎通すべきです。」と指摘される。その通りだが、歴史的経過からみて、日中問題で、日本はアメリカに一方的に頼り切っていいのだろうか?
 
by sasakitosio | 2015-04-18 15:01 | 朝日新聞を読んで | Trackback