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by sasakitosio

公的年金の運用 時の政権と距離保て

 11月7日付東京新聞社説に、「公的年金の運用 時の政権と距離保て」の見出しで、130兆円の公的年金積立金の運用についての記事が載った。今日はこの社説に学ぶことにした。

 まず社説は、「130兆円の公的年金積立金の運用について、株式を大幅に増やす新方針が公表された。積極運用への転換だが、積立金は国民の大切な資産。アベノミクスのリスクまで視野に的確な運用が必要だ。

 経済状況に応じて運用戦略を変えるのは投資の基本であり、それ自体は問題とは言えない。しかし先月31日、運用を担当する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が公表した運用方針には、いくつもの疑問を指摘せざるを得ない。」と切り出した。

 つづいて社説は、「新方針は、これまで60%だった国内債券を35%まで減らす一方で、リスクの高い国内株、外国株をそれぞれ12%から25%に引き上げ、より大きな利回りを狙う。GPIFはその理由を「デフレ脱却後の経済に対応するため」と説明している。

 ところが同日、日銀が実施した追加金融緩和は日本経済がデフレを脱却できるかどうかの正念場であることを示した。「デフレ脱却は」物価上昇率2%を達成し、その状態が安定して初めて宣言できるというのが一般的な見方だが、現状は遠く及ばず、各種経済指標はむしろ悪化している。

 資産の運用で成果を上げるためにはリスクの的確な評価が不可欠となる。今、目の前に浮上し始めたのは、デフレ脱却と景気浮揚がうまくいかないアベノミクス失敗のリスクと言える。デフレ脱却を見定めずに積極姿勢に転換したことで、年金運用はさらなるリスクを抱え込んだのではないか。

 運用の見直し時期が予定より前倒しされたり、新方針の決定より前に検討されるべきGPIFの責任体制強化がこれから始まるなど、今回のGPIF改革は他にもちぐはぐな動きが目立つ。

 株価の上昇は内閣支持率の維持につながり、経済から安全保障まで安倍政権の政策推進力になっている。運用見直しは安倍政権が早々と成長戦略に盛り込み、株式市場では買い材料として注目されてきた。これでは政権による株価浮揚策と勘ぐられても仕方ないのではないか。」と指摘した。

 最後に社説は、「投資は先を読むのが鉄則とはいえ、公的年金の運用は10年単位の長期に及び、安全確実が基本となる。積極運用は長期で見ると市場の平均利回りに届かないという調査結果もある。

 経済動向を見極めながら、時の政権の思惑とは距離を置き、政権の経済政策が抱えるリスクまで深く冷静に見極めた運用をGPIFは求められている。」と締めくくった。

 「経済動向を見極めながら、時の政権の思惑とは距離を置き、政権の経済政策が抱えるリスクまで深く冷静に見極めた運用をGPIFは求められている」との指摘は、まことにその通りだと思った。年金原資の運用は、石橋をたたいて、運用の安全を考えてもらいたいと思った。国民の老後がかかっているいるわけだから。


by sasakitosio | 2014-11-09 16:33 | 東京新聞を読んで | Trackback