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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

ブラジルからの警告

 6月29日付東京新聞社説に、「ブラジルからの警告」という見出しで、税金の使途、貧富の格差という日本にも通じる問題の記事が載った。今日は、この社説に学ぶことにした。
 社説は、「BRICs、頭文字で、ブラジル、ロシア、インド、中国を示す言葉が生まれたのは2001年でしたか。後にアフリカ共和国が加わりますが、米国の投資銀行が、人口が多く、経済成長率の高い国を選び名づけたのでした。
 成長はもちろんグローバリゼーション効果です。
 安価な労働力が外資を招き、生産増加は輸出を生む。伴って天然ガスや鉄鉱石など地下資源は高値となり、外資はさらに流れ込む。そんな地球規模の経済循環でしょうか。」と切り出した。
 つづけて社説は、「それなのに目下のブラジルの混乱です。
 不満を訴えるデモは一年前から、地下鉄・バスの値上げ発表とインフレが発端でした。
 プラカードは「必要なのはスタジアムではなく学校だ」とワールドカップ大会より教育の充実を訴えています。
 また税金は医療や福祉に振り向けよと唱えます。一時的な大会よりも永続的な社会共通資本を求めるのです。
 それにしてもグローバリぜーションの恩恵は民衆にどれほど届くのか。ブラジルでは中間層はぐんと増えました。それは良いのですが、トリクルダウン、富裕層の繁栄から滴り落ちるしずくに貧困層があずかるという話は、金持ちに都合よすぎはしないか。問いは尽きません。」と指摘した。
 さらに社説は、「経済学というと難しそうですが、高校や大学で副読本としても読まれた「世界経済入門」(岩波新書)という本があります。1988年の初版以来、三版を重ねたロングセラー。
 著者の西川潤さんは経済学史、開発経済学を教え、現在、早稲田大学名誉教授。目下のグローバリゼーションの荒波を見かねたように、最近「新・世界経済入門」を出しました。
 こう見ています。
 ①先進国でだぶついた膨大なマネーが国境を越えて動いている。
 ②そこから米国発のサブプライムローン危機、リーマンショックなど「市場の失敗」を示す経済危機が起きた。
 ③金融機関や市場を救済する措置は動員されているが、いまや先進国の低い経済成長は国家債務を増やすことでかろうじて維持されている
 ④そして世界的に環境の悪化が続き、貧富格差など社会分裂が拡大している。
 目を引くのはやはり貧富格差、社会分裂という言葉です。
 国の膨大な借金と合わせ、残念ながら日本も該当国でしょう。経済を市場と政治の共同作業とするのなら、その二つともがなかなかうまくゆきません。
 もう一人、経済学者を紹介しましょう。
 1928年生まれ、立派な白髭を蓄えた文化勲章受章者の宇沢弘文さん。過去の著作を集めた本「経済学は人々を幸福にできるか」(東洋経済新報社)の中でこんな体験を述べています。
 1つは、83年、文化功労章に選ばれ昭和天皇に業績を説明した時のこと。すっかり上がってしまい支離滅裂になりかけたら、陛下はこうおっしゃったそうです。
「君― 君は経済、経済というけど、人間の心が大事だと言いたいんだね」、宇沢さんは経済の核心が言い当てられたと述懐しています。
 もう一つは90年夏、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世から世界中の司教に通達する回勅の作成を手伝ってほしいと依頼されたときのことです。
 その百年前に発せられた回勅は「資本主義の弊害と社会主義の幻想」と述べて、資本主義の搾取の悪と社会主義の危うさを警告していました。 
 それを逆手に取るように。宇沢さんは「社会主義の弊害と資本主義の幻想」と助言したそうです。
 社会主義は独裁を生んだが、資本主義は人間や環境を守り切れているのか。お会いした法王は市場経済制度のあまりに早いペースを心配していたそうです」と教えてくれる。
 最後に社説は、「回勅にならうわけではありませんが、経済又は経済学は、それが本当に人を幸せにしているいるのかどうか。ときどき見直す必要もありそうです。
 グローバリゼーションは世界の富を増やしたのに貧富の格差はなぜ生まれ、広がるのか。富の再分配の失敗、先見性のなさは政治の失敗にほかなりません。
 米国では1%対99%という怒りの声が噴出しました。一握りの人間でなく、最大多数の人びとの幸福を実現してこその経済です。
 ブラジルから世界へ、また日本への問いかけです。」と締めくくった。
 読んで、刺激を受けた。
 新しく知識となったのは
 ①BRICsのグローバリゼーション効果による成長。
 中で、ブラジルは、税金の使途、貧富の格差問い問題を抱えていること。
 ②グローバリゼーションの恩恵は民衆にどれほど届くのか、という問題が残ったこと。
 ③西川潤氏の「新・世界経済入門」で以下のように見ている。
  A、 先進国でだぶついた膨大なマネーが国境を越え動いている。 
  B そこから米国発のサブプライムローン危機、リーマン・ショックなど「市場の失敗」を示す経済危機が起きた。
  C 金融機関や市場を救済する措置は動員されているが、いまや先進国の低い経済成長率は国家債務を増やすことでかろうじて維持されている。
  D そして世界的に環境の悪化が続き、貧富格差など社会分裂が拡大している。
 ④宇沢弘文さんは著書「経済は人々を幸福にできるか」で、以下の体験を述べている。
  A 83年。陛下は「君― 君は経済、経済というけど、人間の心が大事だと言いたいのだね」とおっしゃり、宇沢さんは経済の核心が言い当てられたと述懐していること。
  B 90年。宇沢さんはローマ法王ヨハネ・パウロ二世から世界中の司教に通達する回勅の作成をてつだってほしいと依頼された時、「社会主義の弊害と資本主義の幻想」と助言したとのこと。
 新たな疑問は、社説が指摘している「グローバリゼーションは世界の富を増やしたのに貧富の格差はなぜ生まれ、広がるのか。」ということだ。
 これを社説は「富の再分配の失敗、先見性のなさは政治の失敗にほかなりません」と指摘している。
 そうかもしれないが? 政治に対する無いものねだりをしているようにも思えるが?
 今一つの疑問は、「先進国のだぶついた膨大なマネー」を「国内で封じ込め」スリムにする方策はないものか?
 だぶついているマネーは所有者の生活に不要なものと見なして、社会へ還元してもらう、なんて考え方はできないものでしょうか?そのお金を基に、貧困撲滅、環境保全、難民対策等、人間の安全保障の備えにできないものか?
経済を全く知らないものの空想かもしれないが?
by sasakitosio | 2014-07-04 07:35 | 東京新聞を読んで | Trackback