いじめ高裁判決 海自は隠蔽体質見直せ
2014年 05月 01日
社説は、「判決が「隠蔽していた」と断定したのは、2004年に一等海士の男性が自殺した直後、海上自衛隊が「たちかぜ」の前乗員に対して行った「艦内生活実態アンケート」など。海自は当初、「破棄した」としていたが、控訴審の途中で現役三等海佐が存在を証言、海自アンケートや同僚への聞き取りメモなど200点以上の新証拠を高裁に提出した。
高裁は新証拠から、男性が同僚に自殺をほのめかすなど複数の兆候があったとして「上司は自殺を予測できた」と結論づけ、賠償額を一審の440万円から約7300万円に増額した。」と教えてくれる。
つづけて社説は、「海自はアンケートについて「文書管理が不適切だった」と隠蔽を否定。あろうことか内部告発した三等海佐を一度は規律違反の疑いで懲戒処分の審判対象とした。海自は隠蔽体質を恥じるどころか、開き直り、全隊員に隠蔽を助長するよう求めたに等しい。
海自は古くから、その隠蔽体質が問題になってきた。1988年、潜水艦「なだしお」と衝突した遊漁船が沈没し、乗員・乗客30人が死亡した事件で、艦長らが航海日誌を密かに修正した。事故直後だったことから証拠の改竄と批判された。
03年にはインド洋で米艦隊へ洋上給油した量を取り違え官邸などへ報告、その後、間違いに気づいたものの、報告せず、官房長官らが記者会見などで事実と異なる内容を公表する結果となった。」と教えてくれる。
さらに社説は「自衛隊全体では「いじめ」による自殺も問題になっている。99年護衛艦「さわぎり」乗員の三等海曹の自殺、05年航空自衛隊浜松基地の三等空曹の自殺は、ともに上官による「いじめ」が裁判でしてきされた。
自衛官の自殺は10万人当たり約35人で一般公務員の1.5倍という高率である。」とも教えてくれる。
最後に社説は、「一般社会の目が行き届かない部隊や艦艇といった閉鎖された環境で「いじめ」が横行し、自殺を選ぶ若者が後を絶たないとすれば、「有事になれば国民を守る」と言われても信じられるはずもない。隠蔽体質は不都合な「いじめ」を隠し、自衛隊への信頼を失墜させている。アンケート隠しの検証と関係者の厳正な処分が求められる。」と締めくくった。
読んで、勇気と良心のある三等海佐がいたから、基本的人権を保障する日本国憲法のもとだから、軍事国家でない日本だから、まだ、真実が大衆の前に晒された。憲法が、明文改憲であろうが、解釈改憲で在ろうが、戦争ができる国に日本がなったら、と思うと、自衛隊の隠蔽体質はゾッとする。
しかし、海自だけが隠蔽体質を持っていると考えるは社会的公平を失するような気がする。ばれぬと思えば、多くの人は悪事の隠ぺいのの誘惑が生まれやすい性質を持っていると思った方がいいのではないか。だから、税金で運営している組織には、秘密があっても、必ず後日公開されるというルール‐が不可欠なのだと思う。その点で、被支配者の側からは、秘密保護法より、情報公開法の整備が必要不可欠だと思う。
また、秘密保護法が施行されたら、隠蔽にお墨付きを与えるようなものではないか。
軍隊という規律が優先される「組織」を必要とする限り、隠ぺい癖はなくならないのではないか?
だから、国民の安全のために、国家の軍隊が不要な世界を希求する。世界は一つ、人類は一つ、人殺しは理由のいかんを問わず、罪だという世界にできないか?。