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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

人類と科学への情熱

 3月31日付東京新聞社説に。「人類と科学への情熱」という見出しで、自然科学を志す人たちへのメッセージが載った。
 今日はこの社説に学ぶことにした。
 社説は、「自然科学を志す人たちには・・・、というのは、STAP細胞をめぐる論文不正に内外が大きく揺れたばかりだからです。若い人たちに、科学とは何かをもう一度考えてほしいと思ったからです。
 科学的思考とは、古代ギリシャあたりから始まるのでしょうか。この世界は一体何からできているのか。土、水、空気、火の4元素というのが当時の答えでした。
 ばかばかしいようですが、笑ってはいけません。考えること、探究心こそが今に至る人類の力の源なのです。」と切り出した。
 つづけて社説は、「1905年26歳の青年アインシュタインは物理学史を塗り替える特殊相対性理論をドイツの物理学年報に発表します。工科大学では講義に飽き足らず欠席しがち。教授の信頼が得られず、研究室に残れなくなってスイスの特許局の技師に就職したところです。
 自伝ノートによれば、彼は16歳の時、光の矢を光の速さで追いかけたら、光の波は止まって見えるのか、いやそんなはずはない、と自問したそうです。
 以来長い思考の論理的帰結として光速度不変の原理、相対論は出てきました。だれも思いつかなかった論文は、もちろん引用文献なしでした。<中略>
 発見にはプライオリティー、先取権とも呼ぶべき名誉、栄光が伴います。未知の高峰への初登頂にも似ていますが、一人の英知が万人の知恵となる人類への貢献でもあります。」と教えてくれる。
 さらに社説は、「先陣争いで知られるものの一つに、微積分法をめぐる英国のニュートンとドイツのライプニッツの対決があります。
 ニュートンは17世紀半ば、ペストで大学が閉鎖されていたころ、微積分法を着想し論文も書いたが、仲間内の回覧にとどまっていた。その少し後、ライプニッツは独自に発見し、論文として発表した。
 のちにライプニッツはプロイセン科学アカデミー院長、ニュートンはロンドン王立協会の会長となり、国の威信もかかって、結局決着はつきかねたのですが、二人の功績は今に続く数学のまさに基礎となっています。
 “初登頂”は」二人いたということでしょうか。ニュートンの代表的力学書「プリンキピア」の初版は同じ発見者としてライプニッツの名も記していました。
 先取権で言えば、エンドウを使って遺伝法則を見つけたオーストリアの修道院僧メンデルが「植物の雑種に関する実験」と題して発表を行ったのは1865年でした。小さな研究室での発表論文は長く埋もれたままでしたが、1900年に日の目を見る。
 同じ法則をオランダやドイツの学者らが見つけ、念のため過去の論文を調べたらメンデルの先行が判明したのです。残念ながらメンデルはなくなっていました。」と教えてくれる。
 さらに続けて社説は、「人は死すとも、その情熱は死なず。しかも先人の情熱が積み重なった上に、つぎの情熱は生まれるのです。ニュートンの言葉を借りれば、私たちは「巨人の肩の上に乗っている」のです。
 科学とは人類史の蓄積にほかなりません。自然科学のみならず、政治、経済、文学など人文科学ももちろん先哲たちの情熱のたまものに違いありません。
 研究には競争が、また人間ですから欲望もあるでしょう。
 そこでアインシュタインはこんな風に言います。 「人間が世間から称賛されるため自らが堕落することを防ぐ道はただ一つ、それは働くことだ」
 ひたすら研究に打ち込め、審理を探す情熱を持ち続けよ、というのです。その確信の裏側には自然は決して裏切らないという信念があります。真理はわが手中ではなく、自然の中にあるのです。」とも教えてくれる。
 最後に社説は、「新入生、また新人研究者の皆さん。あなた方は疑いもなく先人たちの大きな肩の上に乗っているのです。それに恥じぬよう、自然のまだ見せぬ真理を見つけてください。情熱は必ず燃え上ってきます。なぜなら、人間とはそもそもそうゆう存在なのですから。」と締めくくった。
 読んで勉強になった。アインシュタインがスイスの特許局に就職したことや、ニュートンとライプニッツの微積分の発見のこと、修道僧のメンデルが「植物の雑種に関する実験」と題する発表をしたこと、ニュートンの代表的力学書「プリンピア」の初版に同じ発見者としてライプニッツの名も記していたこと、すべてが新しい知識となった。
 自分が古希の領域に入ったせいもあるが、日本の高齢者は、これからの人生を、今まで蓄積された「もの」をベースにして、現代の思想的閉塞状態、時代の行きづまり感を、打破すべき「哲学」を生み出す努力をしてほしいと思った。
 戦争の被害と恐怖と経済的無駄のない人生を、戦後の約70年、日本で生きてこれた、世界で一番幸運な「人種」日本人こそが、それを実現する役割があるのではないか? 
by sasakitosio | 2014-04-06 08:08 | 東京新聞を読んで | Trackback