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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

事前審査で、「回想録」、これ「大本営お墨付き」では?

 12月20日付朝日新聞朝刊17面に、オピニオン「今こそ政治を話そう 秘密法とどう向き合う」という記事がある。登場人物は、質問する「高橋純子氏」と、回答する「長谷部恭男東大教授だ」。
 この記事に学ぶこと、4回目だ。
――「それこそ常識的に考えれば、「沖縄密約」を否定し続けた政府を信用しろと言っても無理な話です。」と、怒りを込めた、高橋純子氏の質問。
 「そうでしょうか。専門的な知見がない人に、特定秘密として指定すべきか否かの判断はできません。しかし、高い第三者性を求めれば求めるほど、専門性の低い人を呼んでこなければならない、そんな組織を作ってもあまり意味がないと思います。
 発想を転換して、情報を手元に持っている人がそれを出しやすくする仕組みを作る。そのことに力を注いだ方がいいのではないですか。」と、長谷部教授は回答。
 この回答には、高橋純子氏も、想定外の回答に「唖然」としたはずだ。なにせ、「沖縄密約の違法秘密を否定し続けた政府の信用性」の有無、「独立性と中立性の高い第三者機関を設けてチェック」させることの是非、など、肝心な質問に全く答えないで、別の回答をしているのですから。東大の教授と言うのは、格も「不遜」な人たちなのだろうか?それとも、これは長谷部教授の個性なのか?
 ――「どういうことでしょうか。」との高橋氏の質問。
 「アメリカでは、諜報機関に勤める人が退職後に回想録を書くのはごく普通のことで、事前審査を経れば出版できる仕組みが整っています。<中略>
 著者はFBIに原稿を提出して事前審査をパスし、CIAから「不条理な削除」を求められた部分は黒塗りにして出版しましたが、CIAの要求は政府の保秘指定のガイドラインを逸脱しているので、法的手段に訴えるとしています。」と、長谷部教授は回答。
 「日本もそのような審査をパスすれば出版できる仕組みを作ればいいのです。<中略>
 それ(映倫)にならって、メディア各社で組織を作り、出していい情報かどうか政府と協議するルートを持つ。審査を経て世に出たものの中に特定秘密が含まれていたとしても、審査を通ったことが故意の漏洩ではないことを担保するので、罰せられる可能性もなくなります。」とも、長谷部教授は回答。
 「特定秘密法ができたことで、秘密を知りたいという人々の欲求が高まり、市場ができる。そこを狙って回想録を出そうとする人や、内部情報を入手して報じようとするメディアや記者が増える。政府に情報を出せ出せと要求するよりも、彼らがすでに持っている情報を外に出せるルートを作った方がはるかに実際的です。政府が「黒塗りにしろ」と不当要求してきたら、法的手段に訴えればいい、特定秘密法には抵触してないと。手元に情報を持っているからこそ、勝負できるのです。」とも、回答。
 <回答をよんで、数々の疑問が湧いてきた。高橋純子氏にも、かんがえていただけたら、うれしい。
 まず、「専門的知見がない人に、特定秘密として指定すべきか否かの判断はできません」との決めつけは如何なものか?
 まず、役人以外に専門的知見を持った人は、いくらでもいるのではないか。さらに、役人から説明をうければ、「専門的知見」なるものを理解できる人は、いくらでもいるのではないか?
 さらに、「専門的知見を持った役人」そのものの、社会的・人間的判断に決定的に疑問を抱かせたのは、「沖縄機密」です。
 長谷部教授のいわれる「専門的知見をもった役人」そのものの信頼性が問われていることを、長谷部教授はなぜ正面から、とらえようとしないのだろうか?為政者の視点から、為政者(役人)はいつも正しい判断をすると決めつけているのではないか。長谷部教授は、役人が私益・省益から、無縁だと思っておられのかもしれない。
 「発想を転換して、情報を手元に持っている人がそれを外に出しやすくする仕組みを作る、そのことに力を注いだ方がいいのではないですか」との回答。
 ここでも、疑問が湧いてきた。まず、公務員のもつ情報は、全て国民のものである。その情報に近づこうとする「人」を、罰則で脅かすのが、「特定秘密保護法」だ。逮捕・監禁・懲役を承知で、何処の国民の誰が、「情報を手元から出しやすくなる仕組み」に、のってくるのだろうか?罰則をなくすることが、一番情報が出やすい環境づくりなのではないか?
 「アメリカでは、諜報機関に勤めている人が退職後に回想録を書くのはごく普通のことで、事前審査を通れば出版できる仕組みが整っています。」との回答。
 ここでも、疑問が湧いてきた。事前審査を経て、出された回想録は、それはすべて「本営お墨付き」・「大本営用達」の回想録で、為政者の「宣伝」ではないのか。事前審査つき、では秘密でも何でもないのではないか? 事前審査付きでは、少なくとも、「沖縄秘密」のように「違法秘密」は永久に国民の目に触れなくなるのではないか?これでは、いかんのではないか?
by sasakitosio | 2013-12-26 21:01 | 朝日新聞を読んで | Trackback