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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

9条の欺瞞 政権も護憲派も <憲法、社会保障と財政再建、いずれも政策の対立軸は曖昧化されている!今回の衆院選は、「政策選択肢なき政権選択」です!!???>

1020日付朝日新聞朝刊19面に、「オピニオン&フォーラム 保守?リベラル? 2017衆院選」というページがある。

 文芸評論家・加藤典洋さんと、東京大学教授・井上達夫さんが論じている。今日は、井上達夫さんに学ぶことにした。

 まず井上達夫さんは、「リベラルと保守という言葉が今飛び交っていますが。一般市民には分かりにくいと思います。

 欧米の思想の流れでは、両者の区別は政治、経済、軍事外交の三つの面に分けてみる必要がある。

 まず政治面。

 保守は伝統的な秩序を守るために思想良心の自由や表現の自由なども制約します。

 リベラルは、異端の個人や少数者の市民的政治的人権を擁護し、それを保護する憲法の順守を説く。

 経済面では、古い保守は特権階級の既得権保護。

 対するリベラルは能力主義的な自由競争を擁護した。

 ところがリベラルが社会経済的弱者救済のために福祉国家を擁護するようになると、対抗して保守は、市場的競争原理重視の「小さい政府」論に転換した

 最近では経済的グローバル化への反動で、保守が保護主義に再転換しています。

 軍事外交では、一般的に保守タカ派、リベラルがハト派と見られますが、実態は違う。

 米国ではリベラルの民主党政権がベトナム戦争を始めた。今も人道的介入に積極的なたか派リベラルがいます。

 共和党は逆に軍事介入に慎重でしたが、ジョージ・W・ブッシュ政権はネオコン(新保守主義)の影響でタカ派的側面を強めました。

 要するに、リベラルと保守派の区別は、経済面や軍事外交面で混乱しているが、政治面では明白です。」と切り出した。

 つづけて井上達夫さんは、「日本の場合も一応そう言える。

保守は靖国公式参拝、特定秘密保護法、共謀罪などを支持。

 リベラルはこれに反対し、表現の自由など市民的政治的人権を擁護する。

 ただ、日本のリベラルと称する勢力は、憲法9条を護持せよという護憲派と重なっています。

 しかし護憲派は、専守防衛・個別的自衛権の枠内なら自衛隊安保を容認し、戦力保有行使を禁じた92項との矛盾を「自衛隊は戦力じゃない」など種々の詭弁でごまかしてきました。

 自分たちの政治的立場に都合のいいように憲法を歪曲し、蹂躙してきた点では、安倍政権と同罪です。

 立憲主義というリベラリズムの重要な原理を護憲派も裏切ってきたのです。

 安倍晋三首相は戦力保有行使を禁じた92項は変えず、3項で自衛隊を明記する改憲案を示していますが、これだと「自衛隊は戦力ではない」という欺瞞は残ったまま。

 北朝鮮問題が緊迫するいま、国防を真剣に考えているのか疑問を覚える、いい加減な改憲案です。

 しかし、立憲民主党の枝野幸男代表も、92項を残して自衛隊明記という安倍改憲案と大差ない改憲案を2013年に提示した。9条を巡る対立は実に曖昧なのです。

 立憲民主党が立憲主義と民主主義を本気で守るつもりがあるなら、最低限、護憲的改憲案、つまり「専守防衛、個別的自衛権の枠内で、戦力の保有行使を認める」という92項自体の明文改憲案を提示して、国民に信を問うべきです。それを回避するならリベラル政党の名に値しません。

 税と社会保障の政策でも、対立軸はあいまいです。

 自民党は消費増税の増収分の使い道を、国の借金返済から教育無償化まど子育て世代支援に替えると言う。これは分裂まえの民進党の政策の横取り。

 他の野党も、社会保障充実について異口同音。財政再建は棚上げです。

 憲法、社会保障、と財政再建いずれも政策の対立軸は曖昧化されている。

 今回の衆院選は、「政策選択肢なき政権選択」です。」と指摘した。

 最後に井上達夫さんは、「この状況の責任は党利党略で動く政治家にありますが、その一端は、政策の実質よりイメージのよさに動かされる有権者にもある。

 イメージ政治を超えた対立軸をどう作っていくのか。

 それには政策理念の基盤となる思想が不可欠です。

 政治、経済、軍事外交全般を貫く保守とリベラルの思想的立脚点を改めて問い直す必要がります。

 選挙の結果がどうあれ、政治家も国民も、この課題に持続的に取り組まない限り、日本の立憲主義の成熟は無いでしょう。」として締めくくった。

 読んで勉強になった。

 「保守は靖国公式参拝、特定秘密保護法、共謀罪などを支持。リベラルはこれに対し、表現の自由など市民的政治的人権を擁護する」との指摘、

 「9条を巡る対立は実は曖昧なのです。」との指摘、

 「税と社会保障の政策でも、対立軸は曖昧です」との指摘、等々の問題点を知ることが出来た。

 そこで、「憲法、社会保障と財政再建、いずれも政策の対立軸は曖昧化されている。今回の衆院選は「政策選択肢なき政権選択」です」との筆者の指摘を現状では納得するしかないと、思った。

 井上達夫さんは、「イメージ政治を超えた対立軸をどうつくっていくのか。それには政策理念の基盤となる思想が不可欠です。政治、経済、軍事外交全般を貫く保守とリベラルの思想的立脚点を改めて問い直す必要があります」と指摘している。

 その通りだとおもった。

 その上で、井上達夫さんはじめ日本の才能・有識者・マスメデイアが、その理念を国民に分かりやすく提案する責務があるのではないか、と思った。

 イメージの良さに動かされるのが庶民たる有権者の特徴だろうから!


by sasakitosio | 2017-10-22 16:19 | 朝日新聞を読んで | Trackback