労組待望論の時代<OECD(経済協力開発機構)が、その「雇用アウトルック(Employment Outlook)」の2017版で、今の時代における組織労働の重要性に焦点を当てている!!!>
2017年 09月 18日
9月17日付東京新聞社説横に、「時代を読む」という欄がある。筆者は、同志社大教授・浜矩子氏だ。
今日は、この筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「最近、面白いことに気が付いた。「労働組合」という言葉にあちこちで出会うのだ。
労働組合という言葉にはともすれば、今や死語感が漂う。組織率の低下。交渉力の低下。労組が話題になる時、そのイメージはおおむね必ず否定的だ。巨大労組が経営や政治を動かす次代は終わった。もっぱら、この感じだ。」と切り出した。
続けて筆者は、「かって、アメリカでUAW(全米自動車労組)といえば、泣く子も黙る存在だった。
その昔、わが上司がアメリカに出張し。UAWの幹部を訪ねた。その時、UAW側がお土産を繰れた。UAWのロゴ入りのパーカだった。
それを着て街を歩いていたら、駅のホームかどこかで、ベンチに座っていた人がさっと立って最敬礼と共に席を譲ってくれた。
だが、そのUAWもいまや見る影もなく落ちぶれている。日本でも、かっての産別労組の幹部たちには迫力があった。その中には「天皇」の異名を取る人もいた。
一定年齢から上の層の皆さんは、ご記憶がよみがえるだろう。
組合運動の本家本元、イギリスでは、TUC(労働組合会議)が、まさに労働界の天皇の位置づけにあった。これぞ、労働貴族の総本山。
なく子も黙るどころではない。泣く子の親たちが土下座してあがめ奉る。それがTUCだった。だが、それも昔の物語。TUCがメディアの話題になることはめったになくなった。
ことほど左様に、労組低迷時代が随分長くにわたって続いてきた。
ところが、ここに来て、どうも少し風向きが変わってきたようである。」と教えてくれる。
さらに筆者は、「OECD(経済協力開発機構)が、その「雇用アウトルック(Employment Outlook)」の2017版で、今の時代における組織労働者の重要性に焦点を当てている。
雇用は伸びているのに、賃金が上がらない。
この不思議な状況がグローバルな広がりを示す中で、OECDも、この謎解きに躍起になっている。謎解きの一つのカギが、労組の団体交渉力にある。今年の「雇用アウトルック」でこの主張が展開されている。決して労働者の強き見方だとは言えないこの組織が、労組の交渉力に寄る辺を求めようとしている。
これには少なからず驚いた。それだけ、低賃金がもたらすデフレ効果に頭を悩ませているということだろう。」と指摘した。
さらに筆者は、「ローレンス・サマーズというアメリカの経済学者がいる。クリントン政権下で財務長官を務めた。その後にハーバード大学の学長に就任していた時期がある。
この人も、決して万国の労働者の同志だとはいえないだろう。
ところが、彼もまた今こそ、21世紀の労働者たちのために21世紀の労組たちが再起を果たすべきだと力説している。
この他、さまざまなジャーナリストや論者たちが労組待望論を展開している。
イギリスが誇るグローバル経済紙、ザ・ファイナンシャル・タイムズさえ、今のイギリス経済には労組の力が必要だと主張している。しかも、この論点を社説で全面に出している。」と教えてくれる。
最後に筆者は、「ところが、この労組待望感が、日本にはどうも波及していない。これはいけない。情けないことだ。それだけ、日本の労組たちが世の中から見放されているということか。
「人づくり革命」なる怪しげなスローガンが打ち出されて来る中、日本こそ、労組の復権が待望されるべきではないか。しっかりすべし。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「雇用は伸びているのに、賃金が上がらない。この不可思議な状況がグローバルな広がりを示す中で、OECDも、この謎解きに躍起になっている。謎解きの一つのカギが労組の団体交渉力にある」とのこと、
「ローレンス・サマーズというアメリカの経済学者がいる。<中略>彼もまたいまこそ、21世紀の労働者たちのために21世紀の労組が達が再起を果たすべきだと力説している」とのこと、
「イギリスが誇るグローバル経済紙、ザ・ファイナンシャル・タイムズさえ、今のイギリス経済には労組の力が必要だと主張している。しかも、この論点を社説で全面に出している」とのこと、
「ところが、この労組待望論が、日本にはどうも波及していない。これはいけない。情けないことだ。」との指摘、等々はよく理解できた。
そして、日本に労組待望感が出ないのは、日本の労組は、福島第一原発から放出された「放射性汚染物質」による「被爆の症状」が6年たってもなかなか事故以前の状態に回復できないないのが、最大の原因ではないか、と思っている。
労働者の賃金は、労組の交渉力と人事院勧告に期待するしかないのだから。
日本における労組の交渉力の回復を待ちながら、労働者を社会の主人公として、政党益や政府益や企業益でなく、労働者の幸せを「政策の中心に据える」そういう政治家を育てていくしかないのかも知れない、と思った。