ハンブルク効果への期待 < サミット閉幕までの3日間で、サミット開催に反対する大規模デモから一部が暴徒化、警官200人以上が負傷し、140人以上が逮捕された(ハンブルク 8日 ロイター)>
2017年 07月 16日
7月9日付東京新聞社説横に、「時代を読む」という欄がある。
筆者は、同志社大教授・浜矩子氏だ。
今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「20か国・地域の会合がドイツのハンブルグで開催された。
ハンブルグは面白い。
エルベ川沿いの港町だ。
バルト海も近い。
あの「ハンザ同盟」の中心都市の一つだ。
それだけに独立自由の気風が今なお強い。
ハンブルグでのG20開催が決まって、一番びっくりしたのは、この都市を拠点とする反体制活動家たちだったのではなかろうか。
「マジかよ」という感じと、「ヨッシャ受けてたって
やろうじゃないか」の気概が相まって、久々の高揚感を味わったに違いない。
実際に、この間、打倒サミットの「地獄へようこそ」キャンペーンを荒々しくも生き生きと展開してきた。
それを覚悟でハンブルクを開催地に選んだアンゲラ・メルケル独首相もなかなかのものだ。
こういうところが、この人の心意気の奥深いところだ。
反対意見をシャットアウトしない。いかなる過激派といえども、同じドイツ人として、その見解を体制にぶつける権利がある。
そのような人々が大勢を占める場所でこそ、G20サミットを開くことに意味がある。
そういう感覚なのだろう。
ひたすら風光明媚さや、建国神話のイメージにつながる開催地を選択する感性とはずいぶん違う。 」と教えてくれる。
続けて筆者は、「ちなみに、ハンブルクは1960年代初頭においてかのビートルズの活動拠点になっていた。
そこでの若き彼らの日々には、かなり怪しげな側面があったらしい。
スパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの作品にも、ハンブルクはしばしば登場する。
プーチン大統領をサミットに迎えるにあたって、ひょっとして、東ドイツ出身のメルケル首相は、こんなところまで意識していたのだろうか。そうだとすれば、何とも粋な計らいだ。
実際に、この種の会合において、開催地はなかなか重要だ。グローバル化がもたらす諸問題を巡って、何かと風雲急を告げる雰囲気になっている。
その時、上記の風光明媚さや建国神話ムードなどを基準に場所を選ぶ発想は、実にセンスがない。
それに引き換えて、あえて、風雲急を盛り上げるべく気合い高まる人々のただなかに飛び込む姿勢は、サミットに参加する首脳たちの気構えや真摯さに影響を及ぼす。 そんな期待があったかもしれない。
だが、まさにグローバル時代を象徴する会議だから、むしろ、これくらいの配慮はあってしかるべきではないか。
だが結果的には、どうも、「ハンブルグ効果」があまり威力を発揮したように見えない。そもそも、この種の首脳会議は、その規模が大きくなればなるほど、三つのことを忘れるべきなのだと思う。
第一に交渉事。
第二に勝敗。
第三に得点稼ぎ。
だが、実際には会議が大きくなればなるほど、その参加者はこれら三つへの執着が強まるようだ。」と指摘した。
最後に筆者は、「交渉ごとにどう決着をつけるか。
損得勘定をどう自国にとって有利な方向に誘導するか。
そればかり考える。
交渉の展開の中でも、非公式な会談の中でも、勝敗でしかものを考えなくなる。
メデイア受けを強く意識する昨今では、得点稼ぎにこだわりすぎる。
握力比べの握手とか。
記念撮影でどこに写るとか。
本稿の執筆段階で、まだ今回のG20サミットの最終合意内容は明らかになっていない。少しでも「ハンブルグ効果」を感じられるものになっていることを祈る。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
参加者たちは「交渉事にどう決着をつけるか。損得勘定をどう自国にとって有利な方向に誘導するか。」そればかりを考える、とのこと、
「交渉の展開の中でも、非公式な会談の中でも、勝負でしかものを考えなくなる」とのこと、
「メデイア受けを強く意識する昨今では得点稼ぎにこだわりすぎる。握力比べの握手とか。記念撮影でどこに写るとか」とのこと、等々を知ることができた。
7日撮影のロイターの記念写真をみたら、アメリカ第一主義のトランプ大統領が端から2番目に写っていたことが、かわいそうなくらい印象的だった。