政治に目覚めた庶民たち 「人への投資」が心を掴んだ<コービン党首は、NSE(国民教育サービス)をマニフェストに!で2歳児(週30時間の上限付き)から大学まで無償教育を実現する!素晴らしい!>
2017年 07月 02日
6月22日付朝日新聞朝刊15面に、「欧州季評」という欄がある。筆者は、保育士でライター・ブレディみかこ氏だ。
今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「欧州に古くて新しい政治の風が吹いている。教育費を増やし、勇気をもって未来に投資する政治が人々の心を掴んでいるのだ。
それを世界に知らせるように6月8日の英国総選挙は大番狂わせの事態になった。
メイ首相は大勝を確信して解散総選挙に打って出たのに、コービン党首の労働党が怒涛の猛追し、与党の保守党の議席が過半数割れを起こした。
総選挙前、子供の学校の前でPTAの役員たちが労働党のチラシを配っていた。
「保守党はブライトン&ホープ市の学校予算を1300万ポンド(約18億5千万円)削減します」とあり、地元の小中学校の年間予算削減額が示してある。
息子の小学校では児童一人当たりに換算すると365ポンド(約5万2千円)減。
二人の教員を失うことに相当する。
2019年4月からの税務年度までに、約30億ポンド(約4260億円)の教育予算が削減される方針を知り、英国の親たちは「学校を救え」という運動を全国で立ち上げて闘ってきた。
総選挙での労働党の追い上げを可能にしたのは、彼らのような地べたの人びとだが、教育予算が争点の一つだったことはあまり知られていない。」と切り出した。
続けて筆者は、「今回の選挙での草の根運動の盛り上がりは、終戦直後の1945年の総選挙を思い出させた。
この時の総選挙は今でも「人々の革命」と呼ばれる。英国の人々は、戦前の格差と貧困の時代に戻ることにノーを突きつけ、戦争で国を勝利に導いたチャーチルではなく、スラムに移り住んで苦しい生活を共にする「セツルメント運動」出身のアトリー率いる労働党を選んだ。
アトリー政権は、医療、住宅、教育、福祉など、いわゆる「ブレッド&バター・イシュー」と呼ばれる、庶民の生活に根差した分野への大規模投資を行った。
この時のことはケン・ローチ監督の映画「1945年の精神」に詳しい。
特筆すべきは、当時は荒唐無稽と言われていた国民医療制度、NHS(国民保健サービス)を設立したのだ。
コービン党首は、これにならい、NES(国民教育サービス)の設立をマニフェストに盛り込んだ。初等、中等、高等教育だけではなく、幼児教育もこの枠に入れて、2歳児保育(週30時間までの上限付き)から大学までの無償教育を実現するという大胆な提案だ。
日本でも、高等教育の無償化やその財源をめぐる議論はあるが、この提案は先を言っている。
45年の労働党もマニフェストを読むと、教育の箇所に「教育の重要な目的は、一人一人の市民に自分で考える能力を与えることです」と書かれている。
コービン党首も選挙選で何度もこう言った。
「あなたたちは、学校の一クラスの人数が増えるているのを見てうれしいですか?」
これは45年前の労働党の精神だ。
自分で考えられる市民を育てるということは教育者が十分な時間を一人一人の子供のために割くということであり、それを可能にする投資を国が行うことを意味する。
人に投資する政治は、若者たちの熱い支持を集めている。昨年のEU離脱の投票では、18歳から24歳の投票率は低く、「結果に不満な割には投票しなかった。」と批判されたが、今回は大学生が全国の学内投票所の前に長い列を作っていた。
NESの実現は、大学無償化を意味する。これは彼らにとって「荒唐無稽」ではない。彼らの親たちは無料で大学に通えた世代なのだから。
NESは「一昔前まで「英国名物」と呼ばれ、充実していたファーザー・エデュケ―ション(公的成人教育制度)の復興も含む。
コービン党首はかってブレア政権が行った保育・教育の改革プロジェクトの名称「すべての子供が大事」をもじって「すべての子ども、そして大人が大事」のスローガンを掲げた。
保守党の緊縮財政で閉鎖になった成人教育カレッジの元教員たちや授業料値上げで中退した元学生たちも労働党のマニフェストには顔を輝かせた。」と指摘した。
最後に筆者は、「2008年の金融危機以降の不景気と、緊縮財政化の7年間は終わりなきトンネルのようだった。若者たちは「自分たちは損な世代なのだ」と諦め、大人たちも「もう昔とは違う」と俯き、そういう時代なんだと自分に言い聞かせてきた。
それが突然、そうじゃないんだと、昔できたことが今できないのは政治家が優先順位を変えてしまったからなんだ、という政治家が現れた。
英国のコービン、スペインの政党ポデモスら欧州の反緊縮派は、国が人に投資する政治は歴史の教科書の中の話ではなく、今だってやる気になればやれるのだと主張。
そんな彼らが新左派と呼ばれるのは皮肉だ。
彼らが新しく見えるのは、未来へのビジョンを示す政治が存在しなかったからだ。
終戦直後の英国の庶民がスラムの広がった時代に戻ることを拒否したように、人々はもう生活困窮者に食品を配るフードバンクの時代に飽き飽きしている。
削減の政治は人々から希望を奪い、貧困と分断を押し広げた。
今こそ恐れずに未来に投資しなければ、人も国も暗い時代に沈む。
古くて新しい政治が支持を広げているのは、庶民こそ肌感覚でそれを知っているからだ。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「6月8日の英国総選挙は大番狂わせの事態になった」とのこと、
「今回の選挙での草の根運動の盛り上がりは、終戦直後の1945年の総選挙を思い出させた。」とのこと、
「「戦争で国を勝利に導いたチャーチルではなく、スラムに移り住んで苦しい生活をともにする「セツルメント運動」出身のアトリー率いる労働党を選んだ」とのこと、
「アトリー政権は、医療、住宅、教育、福祉など、いわゆる「ブレッド&バター・イシュー」と呼ばれる、庶民の生活に根差した分野への大規模投資をおこなった」とのこと、
「特筆すべきは、当時は荒唐無稽と言われていた医療の大改革だった。無料の国民医療制度、NHS(国民保健サービス)を設立した」とのこと、
「コービン党首は、NES(国民教育サービス)をマニフェストに盛り込んだ。2歳児(週30時間までの上限付き)から大学までの無償教育を実現するという提案」とのこと、
「NESは一昔前まで「英国名物」と呼ばれ、充実していたファーザー・エデュケ―ション(公的成人教育制度)の復興も含む」とのこと、
「保守党の緊縮財政で閉鎖になっていた成人教育カレッジの元教員たちや授業料値上げで中退した元学生たちも労働党のマニフェストに顔を輝かせた」とのこと、
「英国のコービン、スペインの政党ポデモスら欧州の反緊縮派は、国が人に投資する政治は歴史の教科書の中の話ではなく、今だってやる気になればやれるのだと主張。」とのこと、
「彼らが新しく見えるのは、未来へのビジョンを示す政治が存在しなかったからだ」との指摘、
等々を知ることができた。
また筆者は、「終戦直後の英国の庶民がスラムの広がった時代へ戻ることを拒否したように、人々はもう生活困窮者に食品を配るフードバンクの時代に飽き飽きしている」し、
「削減の政治は人々から希望を奪い、貧困と分断を押し広げた。今こそ恐れずに未来に投資しなければ、人も国も暗い時代に沈む」と、指摘した。
状況は、日本も同じようなものだと思うが、英国に生じていて、日本には「教育費を増やし、勇気をもって未来に投資する」発想の芽さえ見えないのは何故だろうか?
政党の信用にか、役人の信用にか、国民の資質にか、それともほかにか、その原因を何とか究明したいものだ、と思った。