憲法議論 貧困や格差 財界人の視点で< 「全世界の国民が、等しく欠乏と恐怖から逃れ、平和のうちに生存する権利を有する」の精神実現へ!経営者の視点で、社員を幸せにする視点で、ガンバレ!ガンバレ!>
2017年 05月 24日
5月23日付朝日新聞朝刊7面に、「波聞風問」という欄がある。
筆者は、編集委員・堀篭俊材氏だ。
今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「安倍晋三首相が憲法9条などを見直す方針を打ち出した。財界でも経団連と経済同友会が、憲法問題について久しぶりに議論を始める。
経済同友会で14年前、憲法について意見書をまとめた伊藤忠商事元常務の高坂節三さん(80)は思い起こす。
湾岸戦争前年の1990年夏、「イラクがクウェ―トに侵攻した」のニュースが入ると、米コロンビア大学であった経営者セミナーは重い雰囲気に包まれた。
教授は「あなたの国はどうする」と聞かれ、各国から集まった企業の幹部たちが「イラクを武力で制裁すべきだ」と口にする中で、唯一の日本人だった高坂さんは黙っていた。
昼食を共にした米ボーイング社の幹部から「ペルシャ湾のタンカーはほとんど日本向けだ。日本は何もしないのか」と問われた高坂さんは「憲法上の制約で、武力による制裁は応援できない」と答えるのが、やっとだった。
企業の海外展開が進み、日本の国際貢献の在り方が問われ、「財界も憲法について真剣に考えるようになった」と高坂さんは振り返る。」と切り出した。
続けて筆者は、「同友会が2003年に改憲に踏み込んだ意見書をまとめると、日本商工会議所や経団連も続いた。
憲法9条について当時、同友会が「改めるのをためらうべきでない」としたほか、日商は「戦力の保持」、経団連は「自衛隊の保持」の明記を提言した。
戦争体験を持つ護憲派の財界人が退いた。
米国での同時多発テロや北朝鮮の核開発など、今と似た国際情勢も改憲論の背景にあった。
「国のかたち」を改めて議論する以上は、前回の蒸し返しや政権を後押しすることに終わっては、財界の存在意義が問われる。」と指摘した。
さらに筆者は、「米大統領選や英国の欧州連合(EU)離脱で、財界が最も警戒したのは反グローバリズムのうねりだった。
仏大統領選で歯止めがかかったとはいえ、先進国における格差への不満が明らかになった。
経済開発協力機構(OECD)によると、所得が全体の真ん中の半分に満たない人の割合を示す相対的貧困率は、日本は16%とOECD平均の11%を上回る。移民問題は深刻ではないが、成長の果実が行き渡らない日本でも、格差問題は他人事とは思えない。
生活困窮者を支援するNPO[もやい]理事長の大西進さん(30)は「貧困の連鎖を防ぐという意味で、首相が掲げる高等教育の無償化は評価できる。だが、教育だけが焦点ではない」と話す。
「憲法の理念は実現されていないものが多い。その実現にこそ政治の力を使ってほしい。」と話す大西さんは、憲法25条の「最低限度の生活を営む権利」の確立を訴える。
「社会福祉や社会保障の向上」を25条は国にに課す。
グローバル化は貧困や格差の問題も突きつける。
改めるだけでなく、憲法の理念をどう実現するか。
財界人ならではの議論を期待したい。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「同友会が2003年に改憲に踏み込んだ意見書をまとめると、日本商工会議所や経団連も続いた。憲法9条について当時、同友会が「改めるのをためらうべきでない」としたほか、日商は「戦力保持」、経団連は「自衛隊の保持」の明記を提言した」とのこと、
「米大統領選や英国の欧州連合(EU)離脱で、財界が最も警戒したのは反グローバリズムのうねりだった。」とのこと、
「経済協力開発機構(OECD)によると、所得が全体の半分に満たない人の割合を示す相対的貧困率は、日本は16%とOECD平均の11%を上回る。」とのこと、
「グローバル化は貧困や格差の問題も突きつける」とのこと、等々を知ることができた。
日本国憲法は、前文で
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きないようにすることを決意し」と明記し、
「主権が国民に存することを宣言し」と明記し、
「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」と明記し、
「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達することを誓う」と明記している。
全文を読んだだけでも、日本国憲法の崇高さがわかる。
また、各条項で、基本的人権の保障、生存権・国の生存権保障義務、教育を受ける権利・教育を受けさせる義務・義務教育の無償、勤労の権利・義務、勤労者の団結権・団体交渉権その他団体行動権、等々国民の自由を守る条項がキラ星のごとく並ぶ。
経営者の皆さんには、特に知り合いの中小零細会社の社長には、従業員に給料を払い続けているという点で、尊敬している。財界人の人々には、日本人全体の所得を保証する気概を持って、憲法の理念をどう実現するか、ぜひ議論してほしいと、思った。