郵政巨額損失 買収の経緯が知りたい<十分なノウハウも人材も経験もない国際物流事業で、買収を急いだのは東芝の経営に長く携わった西室泰三社長(当時)だった!??>
2017年 04月 30日
4月26日付東京新聞社説に、日本郵政の巨額損失のことが載った。
今日はこの社説を学習することにした。
まず社説は、「株式上場から2年。日本郵政が巨額損失で躓いた。成長を焦り過ぎたのではないか。官営100年から民営化した郵政は目先の収益ではなく、国民の暮らしを支える安定した企業を目指すべきだ。
株式市場や株主を過剰に意識し、短期的な利益追求に傾く企業経営には多くの批判がある。
目先の収益拡大で株価、時価総額を上昇させる米英型の経営は、格差社会の原因になったと繰り返し指摘されている。
上場企業は株主だけでなく、取引先や従業員、地域社会など多くの関係者に中長期的な利益を視野に入れた経営でなければいけない。
だが2015年秋の郵政株式上場に向けては、収益力の強化を急げという声が高まった。
その圧力におされたのだろうか。
上場半年前の5月、6200億円もかけて買収したのが豪物流会社「トール・ホールディグス」だった。
そのトールの業績が悪化。日本郵政は17年3月期の連結決算で約4000億円の損失を計上し、07年の民営化以来、初めて赤字に転落する。」と指摘した。
続けて社説は、「買収額はトールの純資産額よりも4千億以上も高かった。
アジア太平洋地域で同社が持つ事業基盤や将来性を高く評価したのであれば、なぜわずか2年で業績が急速に悪化したのか。
豪州経済を支える資源価格の下落が原因と説明されるが、買収当時から「高値づかみ」との指摘はあった。
外国企業の合併・買収(M&A)は、東芝の例を挙げるまでもなく、純民間企業でも失敗が多い。十分なノウハウも人材も経験もない国際物流事業で、買収を急いだのは東芝の経営に長く携わった西室泰三社長(当時)だった。
その経営判断、買収の経緯、社長を支える取締役会の責任を明確にしなければならない。」と指摘した。
最後に社説は、「民営化には公共部門をかかえる非効率性を競争で是正する狙いがあるが、郵政グループは民営化後も全国一律のサービスが義務の日本郵政を抱えている。
民業への脱皮は容易ではない。
ただ株式の8割を保有する政府、つまり国民が抱く日本郵政への期待は短期利益を追求する米英型の企業ではないはずだ。
郵政の株式売却益は東日本大震災の復興財源にもなる。
急がば回れ、今回の失敗を糧として日本郵政と傘下の日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は急成長を焦らず、弱者にも優しい安定した経営で国民の期待に応える責務がある。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「上場半年前の5月、6200億円もかけて買収したのが
豪物流会社「トール・ホールデングす」だった」とのこと、
「そのトールの業績が悪化。日本郵政は17年の連結決算で約4000億円の損失を計上し、07年の民営化以来
初めて赤字に転落する」とのこと、
「買収額はトールの純資産よりも4000億円以上も高かった」とのこと、等々を知ることができた。
そして、知って驚いた。
先に東芝が、続いて日本郵政が、外国会社の「高値づかみ」をし、会社に多大な損害が生じた。これは、企業買収と言う「詐欺」にあったのではないか?
その詐欺に引っかかる「日本の経営者」および「国際法務・国際会計のサポート集団」の無能にあきれた。政治だけでなく、経済も、法務も、会計も、国際的にいいカモにされていると思うと、情けないし、腹立たしい。グローバル時代に使える官民の人材養成が急務なのかもしれない。