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by sasakitosio

グローバリズムの時代に 保護主義は本当に悪か<危険なのは、敵対的で急激な保護主義だ!!!!?>

2月3日付朝日新聞朝刊15面に、「異論おすすめ」という欄がある。筆者は、京都大学名誉教授・佐伯啓思氏だ。今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「トランプ大統領の「米国第一主義」政策が、予想通りの波紋を広げている。
 経済で言えば保護主義政策が俎上にあげられる。もちろん、論議の大半は批判である。
 私はこの批判に必ずしも納得しているわけではない。ただ、このグローバリズムの時代に保護主義などとんでもないということが一般的な通念だろうと想像はつく。
 なにせ、先日のスイスでのダボス会議では、あろうことか、中国の習近平主席が、自由貿易とグローバリズムを守らなければならない、と演説したのである。
 つい噴出してしまうが、それほど保護主義は分が悪い。
 私は特に天邪鬼でもないが、こうした通念はつい疑いたくなってしまう。
 われわれはいつのまにか、自由貿易は善、保護主義は悪と思い込んでいる。だが、それは本当に正しいのであろうか。
 どうしてトランプが大統領に選出されたのかを改めて思い出してみよう。最大の理由は、米国製造業の衰退によって白人労働者の仕事が奪われたからであった。ではそれを奪ったものは何か。一つは、労働節約的に作用する技術革新である。
 だが、グローバリズムがその一因になったことも否定できない。グローバル化の中で、先進国の製造業は新興国との激しい競争にさらされる。その結果、企業は労働コストを下げようとする。そのために先進国の賃金は下方圧力を受け、雇用は不安定化するだろう。ましてや先進国の企業が生産拠点を海外に移せば。国内では産業空洞化がすすむ。
 つまり、グローバル化は、競争力を失いつつある先進国の産業や労働者に大きな打撃を与える。
 この状況のもとで自由貿易をやればどうなるか。
 安価な製品が、新興国や競争相手国から流れ込んでくることになる。こうなると、ある種の産業は衰退を余儀なくされる。それが自動車産業のように米国の誇る製造業の中核産業であれば、米国は確かに大きな打撃を受けるだろう。
 もとはといえば、急激なグローバリズムや自由貿易が、アメリカ製造業の白人労働者に打撃を与えていたのだ。しかも、冷戦以降のグローバリズムを推進したのもまた米国で会った。皮肉なことである。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「自由貿易論者は言うだろう。そもそも、米国が自動車のような競争力の低い産業に固執するのがおかしいのだ。自由貿易とは、各国がそれぞれの得意分野に特化して貿易するという国際分業体制である。すると両国でウインウインの関係を結べると。
 しかし、話しはそれほど簡単ではない。昔、日本がまだ半導体で世界をリードしていたころによく引き合いに出された例がある。
 仮に米国の土壌がジャガイモに適しており、日本の労働者が半導体の生産に適していたとしよう。すると、アメリカはもっぱらポテトチップを生産し、日本はシリコンチップを生産し、両国が貿易すればよい。これで、ウインウインになる、というのである。
 だがもちろん、米国は世界に冠たるポテトチップ大国で満足できない。そこでどうするか、政府が半導体産業を支援したり、あるいはIT等に投資して先端産業を育成するだろう。つまり、自国の優位な産業を政府が作り出すのである。
 こうなると、自由貿易の正当性は崩れてしまう。
 しかもグローバリズムの下では、資本も技術も情報も極めて短期間で国境をこえて移動する。
 すると、新興国の政府も率先して資本や技術のを導入し、教育の質を高め、競争優位を発揮できる産業を育成するであろう。
 今日の中国や韓国をはじめとする新興国もまさにそうしたのであった。」と指摘した。
 最後に筆者は、「かくして、グローバリズムのもとでは、自由貿易は決しておだやかな国際分業体制などには落ち着かない。
 それどころではない。何を自国の売り物にするかを各国の政府が戦略的に作り出すだろう。
 ここに激しい国家間競争が生じる。
 グローバリズムは、国境を超えた自由な貿易どころか、政府による経済への戦略的な介入をもたらしてしまうだろう。
 新重商主義とでもいうべきものだ。それが時には、保護主義にもなる。
 しごく当然のことで、激しいグローバル競争によって衰退する産業がでてくれば、その労働者の不満をすくい取るには、保護主義しかないだろう。
 デトロイトで自動車の組み立てをやっていた労働者をいきなりウォール街につれて来て金融ディーラーをやれと言っても無理である。労働者の適応能力よりもグローバルな競争の方が激しすぎるのである。
 私は、保護主義の方が優れているなどと言っているのではない。ただ、保護主義をもたらしたものは、実はグローバリズムのもとでの自由貿易体制であった、という認識から出発したいのである。
 そうだとすれば、これは米国だけのことではない。日本も同じ状況に置かれている。
 「トランプ保護主義は危険だ、自由貿易を守れ」と言ってもあまり意味はないのだ。
 だからまた、トランプを反グローバリストと断定するわけにもいかない。保護主義も米国第一主義も、ある意味では、グロバリズムを前提にしたうえでの、それへの対応なのである。
 急激なグローバリズムが、強い国家による内向きの政策を生み出した。
 世界はすでにその段階に入りつつある。
 保護主義が危険なのではなく、敵対的で急激な保護政策が危険なのだ。
 いわば節度ある保護主義をうまく使うことを考えなければならない時代である。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「なにせ、先日のスイスでのダボス会議では、あろうことか、中国の習近平主席が、自由貿易とグローバリズムを守らなければならない、と演説したのである。
 つい噴出してしまうが、それほど保護主義は分が悪い」とのこと、
 「どうしてトランプが大統領に選出されたのかを改めて思いだして見よう。最大の理由は、米国製造業の衰退によって白人労働者の仕事が奪われたからであった」とのこと、
 「グローバル化は、競争力を失いつつある先進国の産業や労働者に大きな打撃を与える」とのこと、
 「もとはと言えば、急激なグローバリズムや自由貿易が、アメリカ製造業の白人労働者層に打撃を与えていたのだ。しかも、冷戦以降のグローバリズムを推進したのもまた米国であった」とのこと、
 「激しいグローバル競争によって衰退する産業が出てくれば、その労働者の不満をすくい取るには、保護主義しかないだろう。」とのこと、
 「保護主義も米国第一主義も、ある意味ではグローバリズムを前提にした上での、それへの対応なのである。急激なグローバリズムが強い国家による内向き政策を生み出した。世界はすでにその段階に入りつつある。」とのこと、等々を知ることができた。
 筆者は、節度ある保護主義をうまく使うことを考えなければならない時代である、としている。
 たしかに、グロバリズムの果実と蜜の味を知った以上、為政者に取っては、この経験は消すことができないだろう。
 しかし、筆者指摘の「節度ある保護主義」が、節度のなさそうなトランプ大統領によって実現される保証は全くないような気がするが?
そこで、日本はどうするのか?それも全く見えない、それが一番心配だ。
 
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by sasakitosio | 2017-02-05 11:10 | 朝日新聞を読んで | Trackback