トランプのアメリカ㊥孤立主義に未来はない<過去にアメリカの孤立主義がファシズムの台頭を許した???>
2016年 11月 30日
まず社説は、「米大統領は国際社会で主導的役割を果たすべき指導者だ。内にこもって孤立していては、自国の未来も描けないことをトランプ氏に悟ってほしい。
オランド仏大統領が「不確実時代の幕開けだ」というように、国際問題の知識も浅く政治的経験のない超大国の次期指導者が何を言いだすか、世界中が身構えている。」と切り出した。
つづけて、社説は「まず心配なのは、トランプ氏の孤立主義だ。ブッシュ前政権は国際問題への過剰に武力介入した。反面教師としてオバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と宣言する。アフガニスタンとイラクという二つの戦争に疲れた米社会の気分を受けての発言だった。
トランプ氏もオバマ氏と全く同じことを言っているが、中身は大きく違う。トランプ氏はリーダーの役割を放棄し孤立主義を標榜した。
初代大統領のワシントンは「なぜ我々の平和と繁栄を欧州の野望や抗争、利害、気まぐれに絡ませなくてはならないのか。外部世界との恒久的な同盟関係を避けるのが我々の真の政策だ」と辞任のあいさつで語った。
1823年にはモンロー第五代大統領が欧州との間の相互不干渉を説いた「モンロー主義」を出した。
転機になったのは第一次世界大戦だ。
ウイルソン第28代大統領は参戦を決断し、国際連盟の設立をはじめ理想主義的目標を掲げた。
ところが、大戦後発足した国際連盟に米国は加盟せず、孤立主義や保護貿易主義に傾斜。
結果的にファシズムの台頭を許した。」と指摘した。
さらに社説は、「トランプ氏は内向き世論に乗って、先祖帰りを志向する。だが、米国が閉じこもってしまえば、国際社会は一層乱れ、結局米国の国益にもならない。
シリア内戦は北部の要衝アレッポで、アサド政権とその後ろ盾のロシアが民間人を巻き込む空爆を続け、国連は「歴史的規模の犯罪」(ゼイド人権高等弁務官)と非難する。和平協議は行き詰まり、欧州を疲弊させている難民問題の展望も開けない。
膨張主義の中国は仲裁裁判所の判決後も南シナ海の軍事拠点化を進めている。
いずれの問題に対処するには米国が欠かせない。
トランプ氏の同盟を軽視する姿勢も気掛かりだ。
日本や韓国などを指して「米国は彼らは防衛しているのに、彼らは対価を払っていない」と事実誤認に基づく主張は繰り返す。
在日米軍駐留経費の増額を要求してくることが予想されるが、安全保障は目先の損得勘定で測るべきものではない。
中国やインドなど新興国の追い上げによって、米国に経済的にも軍事的にも、かってのような群を抜いた存在ではなくなっていく。
だからこそ他国との同盟関係を強化し、足らざる面を補うことが必要になる。
米国が今後も国際問題で中心的役割を担うために、同盟は貴重な資産だ。
逆に同盟を弱体化させれば、再三唱えてきた「偉大なアメリカ」は遠ざかるだけだ。」と指摘した。
最後に社説は、「トランプ氏は自由貿易を目の敵にするが、保護主義に走れば相手国も報復関税で対抗する。第二次大戦後の世界経済秩序は、その反省に立って築かれたことを忘れてはなるまい。
日本や韓国の核保有容認論は、仮の話としても核軍拡競争を招くだけだし、米国の安全保障費用も膨らむだろう。
歴代共和党政権で外交・安保政策を担当した50人が8月に出した共同声明は、トランプ氏が「米国史上最も無謀な大統領になり、国家の安全保障を危険にさらす」と強く警告した。
トランプ氏は優秀実務の外交・安全保障の陣容をそろえ、その進言に耳を傾けてほしい。
そうでないと、世界も米国民も安心はとてもできない。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
「初代大統領ワシントンは「なぜ、われわれの平和と繁栄を欧州の野望や抗争、利害、気まぐれに絡ませなくてはならないのか。外部世界との恒久的な同盟関係を避けるのがわれわれの真の政策だ」と辞任のあいさつで語った」とのこと、
「1823年にはモンロー第5代大統領が欧州との間の相互不干渉を説いた「モンロー宣言」をだした」とのこと、
「ウイルソン第28代大統領は参戦(第一次大戦)を決断し、国際連盟の設立をはじめ理想主義的目標を掲げた。大戦後発足した国際連盟には加盟せず、孤立主義や保護貿易主義に傾斜。」とのこと、」等等を知ることができた。
社説は、アメリカの過去の孤立主義が、結果としてファシズムの台頭を許したと指摘する。その文脈から考えると、トランプ氏の保護主義が再びファシズム(白いのか赤いのかさだかではないが)の台頭を許すのではないかと、一抹の危惧は残る。