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by sasakitosio

縮む政治パナマ文書が問う<経済のグローバル化が、政治・統治機構のグローバル化を迫る!?>

 5月26日付朝日新聞朝刊15面に。「明日を探る」という欄がある。筆者は、北海道大学教授・遠藤乾氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「パナマ文書が提起した問題に奥行きがある。
 それは、最高指導者たちが登場するスキャンダルにとどまらない。 あらためて照射された税の公平性の問題すら越えて、従来の政治のあり方が、問い直されている。
 タックスヘイブンは、グローバル資本と主権国家システムとが出会う相克の場である
 両者はまったく異なるロジックで動く。
滑らかに越境するグローバル資本は問題を拡散させる。
主権国家は問題を領域に囲い込み、限定する。
 高度化する金融技術も相まって、資本は巧みに規制をすり抜ける。並行して、主権国家もまた高度化し、管轄ごとに権能を強める。その高度化した国家が他国と手を携え、問題に対処できれば結構である。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「けれども国際協調は穴だらけだ。経済協力開発機構(OECD)や主要20カ国・地域(G20)の場で進む「BEPS(税源浸食と利益移転)」プロジェクトは、各国間の情報交換を密にし、税逃れを回避する。歓迎すべき試みだが、問題も多い。
 まず、それは企業が人工的に取引価格を操作し、利潤を圧縮する事態に対処できない。特に高い利益を生む知的財産権のやり取りをうまく補足できない。
 そもそも主権国家の自発的協力なので、自らの主権的行為として抜け駆けを図る国が必ずや出てくる。
 協力を推進する側にいるはずの米英も、国内外に、歴史的に形成されたタックスヘイブンを抱えている。
 それは、まるで帝国的な特権だ。
 こうしてグローバル資本は勝利する。われわれはいずれまた、次のパナマ文書を目にすることになろう。
 深刻なのは、結果として、政治が委縮してしまうことだ。
 国の政治の根幹は、税を取り、使うことにある。税を取られる主権者の声を国に届けるのが民主主義の仕組みである。どちらのプロセスも国の中で閉じている。
 グローバル化は、その外側に、制御不能な巨大な領域をつくってしまった。
 象徴的なのが、1日あたりの為替取引高であろう。
 2013年の平均値は、約5兆3千億ドル(約580兆円)に上る。今世紀に入っておよそ4倍に膨れ上がり、日本のGDPをしのぐ。
 グローバル化がサウンドバックのように叩かれて久しいが、それでもそれは止まらない。資本移動の自由化というパンドラの箱を開けてしまったのだ。
 大量の資本が高速で越境するなか、課税と民主主義は、基本的に国の中でしか作動しない。その裂け目はますます広がりゆく。」と指摘した。
 さらに筆者は、「政治の閉塞はこここにかかわる。そこに右も左もないのだ。
 グローバルの主体は、政権が保守でもリベラルでも勝ち組。
 穏健政党はコップの中で争い、選択肢が摩耗する一方、小トランプや小サンダースがあちこちで苛立ち、両極化が進む。そのうちコップ自体を割りかねない。
かといって、パンドラの箱を開けた以上、グローバル化以前には容易に戻れない。メキシコ国境に約された壁はまるで現代のマジノ線だ。」と指摘した。
 最後に筆者は、「もう一度政治を構想しなおさなければならない。
 古代ギリシャ以来、それは、自然に対し、人為によって善なる秩序を作る共同の営みであった。
 なのに、グローバル資本は自然的実在かのように、政治的営為の対象外にとどめ置かれる。
 各国あるいは国際協調でできることはまだまだ多い。
 よく見ると、欧州連合(EU)における金融取引税など円滑過ぎる資本移動の管理に向けて、「車輪に砂をまく」(ノーベル経済学賞受賞者ジェームス・トービン)試みも散見される。
 必ずしも常にうまく行くわけではないそうした動きをリアルにみつめ、積み上げながら、グローバル化した領域や主体の共同制御を、まるごと政治の課題に引き戻すことだ。
 さもなければ、政治の営みは縮みゆく。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「タックスヘイブンは、グローバル資本と主権国家システムとが出会う相克の場である」との指摘、
  国際協調は「主権国家間の自発的協力なので、自らの主権的行為として抜け駆けを図る国が必ずや出てくる。」との指摘、
 「グローバル化は、その外側に、制御不能な巨大な領域を作ってしまった。」との指摘、
 一日当たりの為替取引高が「2013年の平均値は、約5兆3千億ドル(約580兆円)に上る」との指摘、
 「グローバル化した領域や主体の共同制御を、まるごと政治の課題に引き戻すことだ。」との指摘、等等よく分かった。
 そこで、受けた刺激で考えてみると、経済の歴史的変化が統治形態や統治領域を変えてきたように、経済のグローバル化が統治形態のグローバル化を促しているのかもしれない、と思った。
また、今日ただいま世界中に生じている「社会的権威」の信頼喪失現象も、主権国家から世界連邦・地球一家(?)への変化を促す「シグナル」かもしれない、とつい思ったりする。
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by sasakitosio | 2016-05-30 06:36 | 朝日新聞を読んで | Trackback