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by sasakitosio

ピケティ提案「欧州危機の解決策 ユーロ圏議会創設を」<アジアでは無理ですかね、安倍総理!?>

 5月25日付朝日新聞朝刊15面下に、「ピケティ コラム」という欄がある。
 筆者は、パリ経済学校教授のトマ・ピケティ氏だ。今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「難民問題、債務問題、失業問題―――欧州の危機に終わりはないようだ。一部の人たちにとっての答えは「自国にこもるしかない」というもので、そうした人が増えている。欧州から離脱し、国民国家へ戻ろう、そうすれば全てがよくなるーーーというのだ。
 これは空約束だが、分かりやすい。これに対し、進歩主義陣営は逃げ口上をうつばかりだ。いわく、確かに現状は輝かしくないが、何とか踏ん張って事態を改善するのをまつべきであり、いずれにせよ欧州ルールは変更できないのだーーと。
 このような戦略は命取りになりかねず、これ以上続けるべきではない。いまこそ、ユーロ圏の主要国が改めて指導力を発揮し、決断ができて欧州を再び軌道に乗せることができるしっかりした中核をつくるときだ、と提言すべきだ。
 まずは欧州条約は手直しさせない、という考え方を取り払う必要がある。「世論は現在の欧州を毛嫌いしている。この際、何にも手をつけないでおこう」というのか!
 そんな理屈はばかげているし、何よりも間違っている。
 具体的に言おう。欧州連合(EU)をつくる28か国が締結している条約全体、特に2007年(署名された)のリスボン条約を見直すのは、恐らく時期尚早だ。例えば英国とポーランドの2カ国だけとっても、フランスとは異なる課題を持っているからだ。しかし、だからと言って何もしないでおくべきだという結論にはならない。現条約と並行し、ユーロ圏内の希望する国々が政府機関で新条約を結ぶことは、間違いなく可能なのだ。
 何よりの証拠に11~12年に条約締結放されている。ユーロ圏加盟国が数カ月交渉し、予算に重大な影響をもたらす二つの政府間条約を締結したのだ。
 一つはESM(欧州安定メカニズム、資本金7千億ユーロを付され、ユーロ圏加盟国に金融支援をする基金)を設立するもの。
 もう一つはTSCG(ユーロ圏における安定、協調、統治に関する条約)で、新たな予算ルールを定め、(違反すれば)自動的に加盟国に制裁が科されるというものだ。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「問題はこの二つの条約が、さらなる景気後退と、欧州での高級官僚の支配体制拡大をもたらしただけだったということだ。
 ESMに援助を要請する国は「覚書」に、かの有名な「トロイカ」の代表者と署名しなければならない(ESM条約第13条)。条約のわずか数行で、欧州委員会と、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)(からなるトロイカ)の一握りの高級官僚に権限が与えられているからだ。こうした官僚は有能な場合もあるが、能力に欠ける場合もある。そんな彼らに国全体の医療や年金、税などの制度改革を監督する権限が与えられ、しかもこうしたことが極めて不透明で民主的な統制が利かない中で決められたのだ。
 TSCGの方は第3条で、構造的な財政赤字を国内総生産(GDP)比で最大0.5%以内に抑えるという非現実的な目標を定めていた。正確にはこれは二次的赤字(債務の利払い後に達成すべき)の目標なのだ。つまり、ひとたび金利が上がれば(この目標を達成するには)何十年間というスパンで、GDB比3~4%という巨大なプライマリーバランスの黒字が必要になるということだ。これは金融危機以来、巨額の債務を蓄積してきた国、すなわちユーロ圏のほとんどすべての国に当てはまるのである。
 1950年代に(とりわけドイツのために)過去の負債を帳消しにして欧州が復興したことや、そうした政治的決定こそが、成長と新しい世代への投資を可能にしたことを人びとは忘れている。
 このESMとTSCGという立派なシステムは、ユーロ圏財務相会議の管理下にあることをつけ加えておこう。会議は密室で開かれ、欧州を救ったと決まって夜中に告げる。財務相たち自身、自らが何を決定したかが分かっていないのが私たちが理解するのは、翌日の昼間というわけだ。21世紀の欧州における民主主義は、なんとも見事に成功したものだ。」と指摘した。
 最後に筆者は、「いま必要なのは解決策だ。
 二つの条約の問題を改善するため、真に民主的な機関ユーロ圏内につくらなければならない。白日の下で討議し、公明正大な決定を下す機関だ。最良の手はユーロ圏議会の創設だろう。
 各国議会の代表で構成する議会がユーロ圏に直接かかわる予算と財政上のあらゆる決定を行うべきだ。ESMを始め、赤字管理や債務再編もできるようにする。欧州共通法人税や、インフラと大学に投資する予算を可決することもできるだろう。
 この欧州の中核は、すべての国に開かれている一方、(改革を)より早く進ようとする国の邪魔をしてはならない。実際、合計でユーロ圏の人口とGDPの75%以上を占めるフランス、ドイツ、イタリア、スペインの4ヵ国が合意すれば、新しい政府関係条約の発効は必ず可能になるのだ。
最初のうちドイツは、このような議会で少数派になるのではないか、と懸念を抱くかもしれない。しかしドイツとて民主主義を公然と拒否できるはずはない。拒否するなら、反ユーロ陣営を勢いづかせるリスクを負うことになる。
 なにより、この提案はバランスのとれたものだ。
 なぜなら、債務帳消しへと道を開くと同時に、ギリシャのようにそれを望む国は、将来的に多数派の法に従わなくなるからだ。保守主義と自国のエゴイズムを脇に置きさえすれば、妥協点は手の届くところにある。(仏ルモンド紙、2016.5月15―16-17日付、抄訳)」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「欧州連合(EU)をつくる28か国が締結している条約全体」があり、
 「2007年(署名された)リスボン条約がある」こと等を知った。
 そして「ESM(欧州安定メカニズム、資本金7千億ユーロを付され、ユーロ圏加盟国に金融支援をする基金)を創設するもの」があること、
 「TSCG(ユーロ圏における安定、協調、統治に関する条約)で、新たな予算ルールを定め、(違反すれば)自動的に加盟国に制裁がかせられるというもの」があるとのこと、等も知ることができた。
 さらに、「実際、合計でユーロ圏の人口とGDPの75%以上を占めるフランス、ドイツ、イタリア、スペインの4ヵ国が占めている」ことを改めて知ることができた。
 今日の課題を解決するためにピケティ氏は「最良の手はユーロ圏議会の創設だろう。各国議会の代表で構成される議会だが、ユーロ圏に直接かかわる予算と財政上のあらゆる決定を行うべきだ」と提案している。
 これは、大胆な提案だが、実現に向けて努力する価値があるような気がしている。
 そして、アジアでもEUにならって、AU(アジア連合)づくりができないものか。しかも、日本が先頭になってできないものか。
 
by sasakitosio | 2016-05-27 18:32 | 朝日新聞を読んで | Trackback