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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

米大統領選 シングルストーリーの危険性 <日本の政治はどうか?>

 5月2日付朝日新聞朝刊6面に、「コラムニストの眼」という欄がある。筆者は、ディビッド・ブルック氏だ。
 今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「ナイジェリアの作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェさんは2009年、「シングルストーリーの危険性」という素晴らしい講演をした。
 人間という複雑な存在と複雑な状況が単純化されて一面的に語られると何が起こるか。一人ひとりの人生には様々なストーリーが重なり合っている。
 一つのストーリーに単純化すれば、その人の人間性を奪うことになる。」と教えてくれる。
 つづけて筆者は、「米国の政治は常に「シングルストーリー主義」に傾きがちだ。(選挙の)候補者は複雑な問題を簡単な寓話に単純化する。
 (共和党の)ドナルド・トランプ氏と、(民主党の)バー二―。・サンダー氏はその代表格。
 あらゆる問題を異質な侵略者のせいだというストーリーに置き換える。
彼らによると、すべての問題は、腐敗し、抑圧的な集団を見つけ出すことで解決できる。
 米国が賃金の伸び悩みに苦しんでいるとすれば、それは複雑な構造問題によるものではなく、国境を越えて忍び込むメキシコ人犯罪者のせい、あるいは「銀行」と呼ばれる邪悪な存在のせい、だという。
 (民主党の)ヒラリー・クリントン氏は元来、シングルストーリーを語る人間ではない。ただ、次第にサンダース氏のやり方に同調するようになってきた。
 米全土で最低賃金を自給15ドルとする主張に歩み寄った。
 最低賃金に関する一つのストーリーは、企業は未熟連労働者の賃金を減らすことで記録的な利益を得ているというものだ。
 ただ、最低賃金を引き上げると、未熟練労働者が不当な扱いを受けるというストーリーもある。重要なのは、これらのストーリーのバランスを思い出すことなのだ。」と指摘した。
 最後に筆者は、「米国の刑事司法制度は、奴隷制と人種差別のシステムの中で築かれた。
 という一つのストーリーがあり、それは事実だ。このことが、警察の人種差別的な蛮行を許した。過剰な投獄も行われ、個人や家族、隣人たちに打撃を与えてきた。
 だが、これらと相反する別のストーリーもあり、これららもまた事実なのだ。
 投獄は犯罪を減らす。
 警察活動の積極性の低下は犯罪の増加を意味する。
 どの政策にも、美徳の裏に不徳がある。一方を追い求めれば、片方が犠牲になる「トレードオフ」から逃れる道はない。前進するために唯一の道は、相反するストーリーを念頭に置く能力がある人を選び、それができない人を拒むことだ。」として締めくくった。
 読んでためになった。
 「一人ひとりの人生には様々なストーリーが重なり合っている。一つのストーリーに単純化すれば、その人の人間性を奪うことになる」との指摘は、たしかにその通りだ、とおもった。
 そして、多くの場合、人々はなんと多くの他人の人間性を奪いながら生きていることか、自分も含めて、と思った。
 さらに、「どの政策にも、美徳の裏には不徳がある。一方を追い求めれば、片方が犠牲になる「トレードオフ」から逃れる道はない」との指摘もその通りかもしれない。その社会的緩和のためにも、政権交代は必要だ、とも思った。
by sasakitosio | 2016-05-04 14:41 | 朝日新聞を読んで | Trackback