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by sasakitosio

48の瞳に教わった <候補者教育をしたらどうか?>

 4月24日付朝日新聞朝刊3面に、「日曜に想う」という欄がある。筆者は、編集委員・曽我剛氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「新学期の授業を体感したくて、大阪は天王子の私立上宮高校を訪ねた。
 18歳投票の始まる年の春は一回きりだ。
 田中智和先生(42)の計らいで、3年15・17組合同の必修科目、政治経済の授業に加わった。
 だが、いざ教壇に立って後悔した。ふだんは海千山千の政治家を相手に何とも思わない。
 でも、一斉に素直そうな48の瞳が直視してくる。こちらの安易な思い込みや方便など、関単に見透かされてしまいそうだ。背中を冷や汗が伝う。 
 そして、不安は的中した。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「みな一様に、政治にも選挙にも興味はない、だって分かりにくい、と最初はいうのだ。
 ところが、どこが分かりにくいのか、と質問に変えると、一変した。
 一番前の席の眼鏡の女子。
 「私は世界各国の株価のグラフを見るのが好きなのですが、なぜ国のトップが変わると株価はあんなに大きく変動するのですか」
 涼やかな目の短髪男子。
 「政党の人たちはなぜ、それぞれのリーダーを支持しているのですか。本当に政策ですか」
 朗らかな男の子。
 「ニュースを見ていると、政治家の揚げ足の取り合いにしか見えない。だから政治はもういいやと思う。それと大阪都構想もそうだったけど、反対意見ばかり聞かされる。消費税も負担面ばかりじゃないですか」
 窓際の席の女子。
 「日本はまだ、首相が国民の声を聴いて政治を行う制度だと思うけれど、中国は習近平さんが全部握っている。それを中国の人と日本の人がどう思っているかを知りたいです」
 懸命に答えた。
 だが一方の論に偏らずバランスを取って説明するのは難しい。政治的中立性に縛られる先生の苦労が少しわかった気がした。 
 しかも、いささか建前になったかなと思うや、途端に瞳が興味を失うのがわかるから怖い。
 50分間、まるまる質問は続いた。
 一番前の席の女子がもう一回。
 「オリンピックを迎えたブラジルの景気は悪いですよね。日本は本当に2020年のオリンピックで景気が良くなるんですか」
 1964年の東京オリンピックと高度経済成長の関係を説明し始めて、途中ではっと気が付いた。
 そうか。この子らは大学に進めばちょうど就活の時期がオリンピックと重なることになるのだ。
 低い声の男子が言った。
 「18歳投票で何かよくなるんですか。政治は分かりにくいのに、それで投票率が低かったらどうなりますか。上の若い世代もさらに選挙に行かなくなって、僕ら若い世代の声がますます政治に届かなくなる」
 どうすれば代わると思う?
 「日本は何をめざしているのか政治家も新聞記者も僕らに教えてほしい。
 経済をよくしていくのか、集団的自衛権の容認とかそっちの方なのかを・・・」
 これは参った。完全に一本取られた。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「田中先生は選挙と主権者教育の研究者でもある。この5月の日本選挙学会の総会・研究会でも、昨年度の同校3年生158人を対象に実施した意識調査を元に発表を行う。その調査結果も興味深い。
 「選挙では大勢の人が投票するのだから、自分一人くらい投票しなくともかまわない」との問いには、積極・消極合わせ「そうは思わない」が64%で、「そう思う」の32%の倍である。
 だが「自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない」だと、「そう思う」が63%で、「そうは思わない」が33%と逆転する。
 選挙という主権者の義務は十分わきまえているが、逆に、政治を変えるという主権者の力に実感はないのだ。
 田中先生はいう。
 「いまの高校生にも政治を考えるポテンシャルは絶対にあるんです。でも戦後教育は政治をずっと遠ざけてきた。今も公選法その他の法律の縛りで特に選挙期間中の授業での「できないこと」ばかりが議論されている。このままだとまた遠ざけるだけです。
 だから、18歳投票を選挙面の効果だけで見ず、中学や大学の授業も合わせて政治教育全般を見直す契機にすべきではないですか」
 確かにこの問題を今年一回切りのニュースにしてはならない。僕もそれを、24人の高校3年生に教わった。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 特に、「いささか建前になったかなとおもうや、途端に瞳が興味を失うのがわかるから怖い」との筆者の感覚、
 どうすれば変わるとおもう?の質問に「日本は何をめざしているかを政治家も新聞記者も僕らに教えてほしい。経済を良くしていくのか、集団的自衛権の容認とかそっちの方なのかを・・・」との生徒の発言、等はともに納得。
 また、昨年度の私立上宮高校3年生158人の意識調査の結果「選挙という主権者の義務は十分わきまえているが、逆に、政治を変えるという主権者の力に実感はないのだ」との指摘は、世相を反映していて面白い。
 ただ、主権者教育に、候補者教育がないのが、成年に夢を与えていないのではないか、と思った。
 
 
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by sasakitosio | 2016-04-30 06:43 | 朝日新聞を読んで | Trackback