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憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

政治の放棄は少数者の支配を許すことにつながる<ムヒカ氏語る>

 4月9日付東京新聞朝刊7面に、「ムヒカ氏語る」と題して、7日の氏による東京外語大での講演が載った。今日はこの記事を学習することした。
 まず記事は、「来日中のウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカ氏が7日、東京外語大(東京都府中市)で「日本人は本当に幸せですか?」
をテーマに講演しました。講演の詳報と、学生との質疑応答を掲載します。
 <ウルグアイ前大統領東京外語大講演詳報>
先ず大統領は、「今回、日本の文化や日本人の特性に触れ、強い感銘を受けた。
 東洋のドイツ人のようだ。
 秩序立てて物事を行う、驚くべき文化だと思う。
 日本という重要な国を知る機会を得たことを感謝している。
 世界を担っていく若い人たちに向けて話をしたい。
 私たち人間にとって最も重要なことは何か。
 生きていることだ。
 いろいろなことができるという意味で「生」は奇跡に等しい。
 しかし、気の向くままに生きるのと、人生を方向付けながら生きるのとは全く違う。
自然は私たちに特権を与えた。社会にコミット(関与)し、何かをつくるという特権を。それが文明を築いてきた。これから来る世界を、今ある世界よりもより良いものにしよう、という意思を持とうではないか。」と呼びかけた。
 つづけて大統領は、「この社会と向き合ううえで、哲学、政治、倫理という価値体系が存在する。ところが、この社会を形作る市場経済というものからは倫理、特に哲学が分離してしまった。市場によって、私たちは組織だった社会に生きるようになったが、それは人々に浪費を強いるシステムでもある。何かを買うために生きる。浪費し、消費することが不可欠な社会になってしまった。
 だが、お金でものを買っていると思うだろうか、実は自分の人生の一定の時間と引き換えているのだ。
 家族や子供と過ごす時間を削って消費する。
 新しい物を、いい物を買うために、人生で一番大切なのは愛であるのに、愛情を注ぐ時間を浪費している。
 消費そのものは否定はしない。ただ、過剰はいけない。人生の原動力となる愛情を注ぐ時間を確保するために、節度が必要だ。
 人類の文明は、市場を伴って発達した。
 技術を手にして歴史を変えてきた。
 しかし、進歩の半面、負担をもたらした。
 今も加速度的に発達しているが、問題はそれを統治するすべがないことだ。リミター(制限装置)をつけなければならない。
 幸せになることが人類の大義だとしたら、人類はまだ進歩の恩恵にあずかっていない。
 例えば近年、地球環境破壊を制限しようと京都議定書が結ばれたが、できなかった。海の汚染も止める手立てがない。いま世界では1分間に200万ドルの軍事費が使われていると言うが、誰も止められない。
 そして、極めて少数の者に世界中の富が集中している。
 生産性が高まったけれど、分配の仕方が悪いので社会的な弱者に恩恵が及ばないのだ。」と指摘する。
 さらに筆者は、「私は世間から「貧しい」と言われているが、私は決して貧しくない。質素を好むだけだ。
 浪費を見直し、それぞれが人生を見直すことが重要になってくる。市場に操られて生きているうちに、あなた方の自由な時間が失われてしまう。私の考えに同意しろとは言わない。自分にとって何が大切かを考えてほしいだけだ。
 人間にはエゴイズムというものがある。
 これは自分を守るためで、自然が与えてくれたもの。
 他方で、人間は世代間の連帯や協調で文明、文化、知識を築いてきた。教育によって、エゴにブレーキを掛けられることも知っている。
 連帯や協調は、社会を変える力になることを学んだ。
 しかし、人間は神ではないので、社会は問題を抱える。それを政治で調整しようとする。
 この世界に紛争は必ずある。だからこそ、社会全体に心をくだくことが大切になる。
「政治に関心がない」
 「政治は重要じゃない」
という人がいるが、政治を放棄することは少数者による支配を許すことにつながる。
 人間に上下はない。男も女も同じ権利を持つ。公爵も伯爵もないのだ。
 民主主義には限界がある。それでも社会を良くするために闘わなければならない。
 みなさんのようにすばらしい大学で学んでいる者は、社会を良くするために闘わなければならない。
 最も重要なことは勝利することではなく、歩き続けること。何かを始める勇気を持つことだ。」と指摘した、
 最後に筆者は、「私たちはグローバル化した世界で生きている。
その特徴は、金融資本が爆発的に大きくなっているということだ。 
 国境がなくなり、人々が忙しく働く。
 生活を大きく変え、お金が重要で、そのための人生になっている。お金のために自分の人生をぶち壊していいのか。そうして世界と若い人は闘わなければならない。
 私は多くの本を読み、世界を変えようと思ったが変えられなかった。10年以上、(政治犯として)刑務所に入った。つらかったが、いろいろのことを学び、大統領にもなった。後進のために道を耕すのが私の仕事。
闘いは永遠に続くからだ。
 日本では若い者が希望が持てないと聞いた。
若い世代の投票率が30%程度だと聞いた。
 政治や社会を信じていないのだろう。それでも、信じられるようにしてほしい。不満を持つのはいいことだ。
 どうか同じ気持ちの人と何かを始めてほしい。
 生きるには希望が必要。そうでなければ人生なんて意味がないから。<略・学生との質疑応答>」として締めくくった。
 読んで大変勉強になった
 「この社会を形づくる市場経済というものからは倫理、特に哲学が分離してしまった。」との指摘、
 「人類の文明は、市場を伴って発達した。」との指摘、
 「私は世間から「貧しいと言われている、私は決して貧しくない。質素を好むだけだ。」との解説、
 「人間にはエゴイズムがある。」との指摘、
 「この世界に紛争は必ずある。」との指摘、
 「民主主義には限界がある。」との指摘、
 「私たちはグローバル化した世界で生きている。」との指摘、
 「私は多くの本を読み、世界を変えようと思ったが、変えられなかった。」との述懐、
 等々は、モノを考える上で、大いに刺激になった。
 「生るには希望が必要。そうでなければ人生なんて意味がないから」との若者への呼びかけは、素晴らしいと思った。
 
 
by sasakitosio | 2016-04-12 06:10 | 東京新聞を読んで | Trackback