両論併記は公平公正か
2016年 04月 02日
筆者は、特別報道部・木村留美氏だ。
今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「安倍晋三首相の認識では、日本経済の現況は3月に入ってからも「ファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしたものだ。雇用や所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれる」だそうだ。
だけど、街を歩けば一部の大企業で働く人などを除いて、景気回復の恩恵を実感する人はわずかだ。
個人商店の店主から「デフレに戻っている」との声も聞こえる。日本経済は停滞しているのか、回復しているのか、。客観性があるように見える統計を読んでも答えは出ない。」と切り出した。
つづけて筆者は、「例えば政府が景気回復の成果を強調するときに、主に使っているのは雇用に関する指標だ。
厚生労働省が発表する有効求人倍率(規制津調整値)の1月は1.28倍で、12カ月連続の改善。
総務省が発表する完全失業率(季節調整)も1月は3.2%と低水準だ。これだけ見ると、回復基調に見える。
一方、物価の影響を考慮に実質賃金は増えていない。
厚労省の毎月勤労統計調査によると、1月(速報)は三カ月ぶりに増え0.4%増となったものの、2015年の年間で0.9%減で4年連続のマイナスだ。
14年4月の消費税増税の影響や円安による輸入品の価格上昇に賃金の増加が追いついておらず、庶民は生活の厳しさを感じている現状がある。」と教えてくれる。
さらに筆者は、「アベノミクスの成果を強調したい政府は、正当性を主張するため、都合の良い数字で説明することを好む。では、メディアは、政府の主張をどう伝えるべきなのか。
統計などの政府発表を正確に伝えることは新聞の「記録性」を考えれば一つの役割である。
しかし、それだけでは存在意義を問われかねない。偏りを指摘されることを恐れて多用される「両論併記」も問題が多い。
肯定的と否定的な意見を両方掲載し判断は読者に委ねるという体裁は、記者にとって「逃げ」でもあるからだ。メディアに詳しい専門家は「両論併記では現状維持の力の方が強く働く。質的な公平さにも多角的な論点の提示にもならない」と指摘する。」と教えてくれる。
最後に筆者は、「昨今、安倍政権は「政治的公平性」について踏み込み、メディアの報道に介入しようとする場面が多い。
公平性とは何なのか。
キャスターの岸井成格氏は「政治的公平性は権力が判断することではない。政府がいうことだけを流していれば、公平性を欠く」と説く。
先の専門家も、「社会に問題提起をしていくのがジャーナリズムの本来の役割」とメディアに奮起を促す。
政府の言う「公平性、公正性」にとらわれず、問題意義を提示していきたい。」として締めくくった。
読んで勉強になった。
政府が景気回復の成果を強調するときに、主に使っているのは雇用に関する指標で、厚生労働省が発表する有効求人倍率(季節調整)と総務省が発表する完全失業率(季節調整値)とのこと。
一方、厚労省の毎月勤労統計調査によると、2015年の年間では0.9%減で4年連続のマイナス、とのこと。
景気がいいと言う「政府の発言」に対し、いつも生活の場からの「体感、肌感覚」では違うと思ってきた。
その意味が、分かった気がした。