トランプ現象 ペテン師は誰なのか
2016年 03月 12日
今日はこに筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「米共和党は、内政に関して、ばかげたことを言う人物を大統領候補に指名しようとしている。外交政策はいじめとけんかだと考え、人種間・民族間の憎悪を冷笑的に利用して政治的優位に立とうとする人物だ。
だが、予備選の行方がどうなろうと、かならずそれは起きることになっていた。唯一のニュースは、その候補者がおそらくドナルド・トランプ氏だろうということだ。
共和党の既成勢力は、トランプ氏をペテン師だと非難する。確かにそうだ。
しかし、トランプ氏は、彼を阻止しようとする既成勢力以上のペテン師だろうか?
実はそうでもない。
そう非難する人たちを見ると、自己認識がこれほど欠落するなんて本当にあり得るのか、と思わずに入られない。」と切り出した。
つづけて筆者は、「トランプ氏は「ペテン師」だと、(共和党候補指名を争う)マルコ・ルビオ氏はいう。だが、そのルビオ氏は55歳以上の米国人への年金給付を全く削減せずに、巨額の減税や大幅な軍備増強、財政の均衡を図ると約束する。
ポール・ライアン下院議長は、共和党は「リンカーンの政党」なのだから、「偏執に基づくあらゆる集団や主張を排斥すべきだ」と明言した。かれは、ニクソン元大統領の(公民権法に反感を持つ白人保守層など取り込んだ)「南武戦略」を聞いたことがないのだろうか?
ロナルド・レーガン元大統領が言及した(不正受給で高級車を乗り回しているという架空の)「福祉の女王」や、食料配給券を使ってぜいたくする「がっちり野郎」の話はしらないのか?
言い換えよう。米南部の白人が9割近く共和党に投票するのは理由があるからだ。それは、彼らが自由至上主義の原則に哲学的に傾倒しているからではない。
それから、外交政策。これは、トランプ氏が対立候補に比べてどちらかと言えば分別がある。いや、もっと正確に言うと、無分別さが少ない分野だ。
彼は拷問を問題にしていないが、同党で誰が問題するというんだ?
彼は好戦的ではあるが、ルビオ氏と違って、新保守主義(ネオコン)つまりイラク戦争の大失敗の責任を負う人々から気に入られているわけではない。
みんな知っていはいるが、、右派ならだれも認めなかったはずのことまで口にしている。――ブッシュ政権は故意に米国をあの悲惨な戦争へと欺き導いたのだ、と。
ああそれから、それが何を意味するかをどうやら知りもせず、市民を「じゅうたん爆撃」したがっているようなのは、トランプ氏ではなく、(共和党候補指名を争う)テッド・クルーズ氏だ。」と教えてくれる。
さらに筆者は、「実際、共和党の既成勢力がトランプ氏をこれほど怖がっているのはなぜか、不思議に思わずにはいられないだろう。
彼はペテン師だが、でもみんなそうなのだ。
で、このペテンはなぜその他すべてとちがうのか?
お答えすると、既成勢力がトランプ氏に手を焼いているのは、彼がペテンを働くからではなく、彼がペテンを妨害しているからではないだろうか。
第1に、共和党が国政選挙でいつもうまくやってのけるペテンがある。米国の問題に誠実に取り組もうとしている、まじめで成熟した政党だ、と見せかけるのである。
実際は、そんな成熟した政党はとうの昔に死んでいる。
最近はどこをとっても呪術経済学とネオコンの幻想ばかりだ。それでも既成勢力はうわべを保ちたいのだが、それに一役買うのを拒む人物が指名候補になれば、難しくなるだろう。
私の予想では、仮にトランプ氏が候補に指名されても、思慮深い保守派を自称する有識者たちはあごをなでながら、慎重な熟考をうまく装ったあとで、(民主党有力候補の)ヒラリー・クリントン氏の人格上の欠点を考えればトランプ氏はより良い選択だった、とかなんとかいうのではないか。自称・中道左派は今まで通り、両党とも同じくらい悪いと主張する方法を見出すだろう。だが、どちらも著しく不自然に見える。
同じくらい重要なのは、トランプ現象は共和党の既成勢力が支持基盤に対して働いていたペテンに脅威となることだ。
私が言いたいのは、「あの連中」のせいにして白人有権者が大きな政府を嫌うように導くものの実際の政策はどれも献金層に報いるものばかりだという「おとり商法」のことだ。
トランプ氏は、政策パッケージ全体を受け入れる必要はないと支持基盤に伝えた。
それが本当のスローガンだとみんなが知っているだろうが、米国を再び白人の国にすると約束する一方で、同時に、社会保障制度と高齢者医療制度を保護すると約束し、富裕層への増税をほのめかす(だが実際に提案しているわけではない)。
激怒した共闘党の既成勢力は、彼は真の保守ではないとしどろもどろだが、結局のところ同党の投票者の多くも真の保守派ではないのだ。」と教えてくれた。
最後に筆者は、「はっきり言えば、トランプ政権は想像するだけで恐ろしい。皆さんもそうだろう。
だが、ルビオ大統領が戦争屋の仲間に囲まれてホワイトハウスの椅子に座っていると想像するのも同じように恐ろしい。「スペインの異端訊問」を復活させたがっているようなクルーズ大統領も同様だ。
私の見るところ、我々はトランプ氏の人気上昇を歓迎すべきである。
そう、彼はペテン師だ。
だが、ほかの人たちのペテンを告発する役割も事実上になっている。
信じがたいだろうが、この奇妙で厄介な時代に一歩前進を意味するのである。(NYタイムズ、3.4日付、抄訳)」として締めくくった。
読んで、面白く、アメリカ理解の新たな視点を得たような気がした。
筆者の「共和党の既成勢力は、トランプ氏をペテン師だと非難する。確かにそうだ。しかし、トランプ氏は、彼を阻止しようとする既成勢力以上のペテン師なんだろうか?」と指摘、
「みんな知ってはいるが、右派ならだれも認めないはずのことまで口にしているーーーブッシュ政権は故意に米国をあの悲惨な戦争へと欺き導いたのだ、と。」指摘、
「お答えすると、既成勢力がトランプ氏に手を焼いているのは、彼がペテンを働くからではなく、彼がペテンを妨害しているからではないだろうか。」と指摘、
「私が言うのは、「あの連中」のせいにして白人有権者が大きな政府を嫌うように導くものの、実際の政策はどれも献金層に報いるものばかりだという「おとり商法」のことだ。」との指摘、
「そう、彼はペテン師だ。だが、ほかの人たちのペテンを告発する役割も事実上、担っている。信じがたいだろうが、この奇妙で厄介な時代に一歩前進をいみするのである。」と指摘、
等々の指摘は、目からうろこのアメリカ事情だった。
そこで、日本のマスコミの溢れる「トランプ批判」が、アメリカの既成勢力の情報の「垂れ流し」以外の何ものでもなかったことが、はっきり分かった。
そして、筆者のアメリカの共和党の容態が、きしくも今の自民党現状と、かくも似ているものかと、びっくりポンであった。
ただ残念なことに、今の日本に、日本版トランプの影が全く見えないことだ。