憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

米大統領選 サンダース氏は新時代を切り開くか

 2月24日付朝日新聞朝刊17面下に、「ピケティ・コラム」という欄がある。筆者は、パリ経済学校教授・トマ・ピケティ氏だ。今日はこの筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「米国大統領選の候補者指名争いで、「社会主義者」バーニー・サンダース氏が信じられないほどの成功を収めている。私たちはどう解釈するべきなのだろうか。
 バーモント州選出の上院議員サンダースしは、いまや50歳以下の民主党支持層ではヒラリー・クリントン氏をリードしている。それでも、彼女が全体で優勢を保てるのは、ひとえに50歳以上の支持層のおかげだ。「クリントン・マシン」と呼ばれる支持者や保守的な主要メディアに、サンダース氏の勝利は阻まれてしまうかもしれない。だが近い将来、彼のような、でももっと若く、白人でもない候補者が大統領選で勝ち、国の「顔」をすっかり変えてしまう可能性があることが証明された。
 1980年の大統領選でのロナルド・レーガン氏(元大統領)の勝利で始まった政治イデオロギーが、様々な局面で終わりを迎えている。私たちはその終焉に立会っているのだ。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「時間をさかのぼろう。
 30~70年代、米国は不平等の是正のため、野心的な政策を進めた。当時、旧大陸(欧州)は「超」のつく不平等がはびこり、米国の民主的精神とは反するものとみなされていた。米国は二の舞にならないため、両大戦間に高い累進性を兼ね備えた所得税と相続税を生み出し、欧州では適用されたことがない水準の税率を課した。
 実際30~80年までの半世紀、米国では100万ドルを超える層に課された最高税率は平均82%だった。
 40~60年代、ルーズベルトからケネディ大統領までの時代は91%に達し、レーガン氏の大統領選があった80年時点でも70%を維持していた。
 米国ではこの政策が戦後の経済成長の勢いをそぐことは一切なかった。
 相続税にも高い累進税率が課され、その税率は何十年もの間、巨額の財産に対しは約70~80%だった。
 一方、ドイツやフランスで最高税率が30~40%を超えたことはほとんどない。米国は欧州と異なり、戦争や破壊を経ずに相続税で財産の集中を軽減したのだ。
 また米国は欧州各国よりずっと早く、30年代半ばにはすでに最低賃金を定めている。
 2016年現在のドル換算すると、その額は60年代末に時給10ドルを超え、当時、群を抜いた水準だった。しかも、高い生産性と教育体制のおかげで、失業はほとんど生まれなかった。民主的とは言い難かった南部でまだ合法的に続いていた人種差別に終止符を打ち、新しい社会政策を打ち出したのもこの時期だ。
 一方、この一連の政策は大きな反発を生んだ。白人有権者のうち少数の反動的な人たちと、金融エリートの間では特にそうだった。
 ベトナム戦争で面目を失った70年代の米国にとって、ドイツと日本を筆頭に敗戦国が急速に追いついてきたことも懸念材料となった。 石油危機とインフレーションにも悩まされた。
 レーガン氏はこうしたあらゆる不満の波に乗り、当時すでに神話と化していた原初の資本主義を復活させる綱領を掲げて当選した。
 クライマックスは86年の税制改革だ。高い累進税率を課してきた半世紀に幕を下ろし、最高税率を28%まで引き下げた。
 その後クリントン時代やオバマ時代でも、民主党政権は本当の意味でのこの決定を見なおさず、最高税率は40%あたりにとどめた。ちなみにこの数字は、30~80年の平均税率の半分だ。
 当然、格差は爆発的に拡大し、超高額給与が生まれることになった。しかも経済成長は低調で、大多数の人たちの所得は停滞した。
 レーガン氏はまた、最低賃金の水準を上げないことを決めた。80年代以降、最低賃金はゆっくりと、確実に、インフレによって目減りした。68年は自給11ドル近かったが、2016年は7ドル程度だ。この点においても、民主党への政権交代は、レーガン氏が導入した新しい政治イデオロギーを根本的に変えることはなかった。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「現在のサンダース氏の成功から分かるのは、米国のかなりの数の人たちが、不平等の増大と見せかけの政権交代とにうんざりし、革新的な政策で平等を目指す米国の伝統と和解しようとしていることだ。
 クリントン氏は、08年の大統領選の候補者争いでは、特に健康保険制度についてオバマ大統領よりも左翼的な政策を掲げて闘ったが、今日ではレーガン=クリントン=オバマの政治体制を継承する、現状維持派に見えるのだ。
 サンダース氏は、高い累進性を持つ税と時給15ドルという高い最低賃金を復活させると提案している。さらに、国民皆保険と公立大学の無償化も唱えている。現在、教育を受ける権利には極端な不平等が生じているからだ。この現実と、「能力主義」という現体制の勝ち組が使う論法とのあいだには、明らかに大きな亀裂が走っている。
 一方の共和党は、極端なナショナリズム、反移民、反イスラム教の論調に傾斜し、際限なく白人富裕層を賛美している。
 レーガン氏とブッシュ氏に任命された判事たちが、政治献金の影響力を制限する法的規制をすべて取り払ってしまったため、特にサンダース氏のような候補が大統領選で戦うのは難しい。
 だが、新しい動員のスタイルと参加型の資金調達によって勝利することで、政治を新しい時代へと向かわせるかもしれない。 
 私たちはいま、歴史の終わりにまつわる陰湿な予言とは、かけ離れたところにいるのだ。(仏ルモンド紙、2016年2月14日付、抄訳)」として締めくくった。
 読んで、大変勉強になった。 
 「30-80年まで半世紀に、米国では年収100万ドルを超える層に課された最高税率は平均82%だった。
 40~60年代、ルーズベルトからケネディ大統領までの時代は91%に達し、レーガン氏の大統領選があった80年時点でも70%を維持していた。」とのこと、
 「相続税にも高い累進税率が課され、その税率は何十年もの間、巨額の財産に対しては約70~80%だった。」と教えてくれた。
 また、「米国は、欧州各国よりずっと早く、30年代にはすでに最低賃金を定めている。2016年現在のドルに換算すると、その額は60年代末に時給10ドルを超え、当時群を抜いた水準だった。」とも教えてくれた。
 そして、「現在のサンダース氏の成功からわかることは、米国のかなりの数の人たちが、不平等の増大と見せかけの政権交代とにうんざりし、革新的な政策で平等を目指す米国の伝統と和解しようとしていることだ。」と指摘し、
 「現在、教育を受ける権利には極端な不公平が生じているからだ。この現実と「能力主義」という現体制の勝ち組が使う論法との間には、明らかに大きな亀裂が走っている。」と指摘している。
 アメリカの戦後の繁栄が、高率の所得税や相続税によってもたらされたものであることを初めて知った。
 そして今日のサンダース氏の成功に見られる、「高い累進性を持つ税と、時給15ドルという高い最低賃金の復活。公立大学の無償化」などの政策は、今の日本の社会でも、現状の混沌を打破するのに、そのまま通用するもののような気がした。 
[PR]
トラックバックURL : http://sasakitosi.exblog.jp/tb/22919204
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by sasakitosio | 2016-02-25 14:25 | 朝日新聞を読んで | Trackback