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by sasakitosio

米国の格差 金持ち 裕福すぎないか

 1月22日付け朝日新聞17面に、「グーグルマン コラム」という欄がある。筆者は、2008年ノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大名誉教授・グーグルマン氏だ。今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「金持ちをどこまで裕福にすればよいのだろう? 
 これは決して無意味な質問ではない。
 まず間違いなく、米国政治の本質は、この点にある。
 リベラル派は高所得層の税金を引き上げ、その収入を社会保障制度の強化に使うことを望む。
 保守派の望みはその逆で、富裕層の課税を強化する政策は富を生み出そうというインセンティブ(動機づけ)を低下させるため、すべての人に打撃を与えると主張する。
 さて、近年の事例は、保守派には好意的なものではない。
 オバマ大統領は最高税率の大幅な引き上げを断行し、医療制度改革による福祉国家の拡充は、ジョンソン大統領の時代以降で最大のものとなった。
 クリントン大統領が上位1%の人々に対する税率を引き上げた時と同じように、保守派は自信たっぷりに大失敗を予言した。しかし、大失敗どころか、オバマ氏のもとで1990年代以来最大の雇用増が実現した。
 では、そもそも巨大な格差を正当化しうるような事例は、長期的に見てあるのだろうか?
 多くの経済エリートがそうした事例があると信じていると聞いても、あなたは驚かないだろう。
 私がそうは思わず、最上位層に集まる利益や富がずっと少なくても経済的繁栄は可能だと考えていると知っても、やはり驚かないだろう。 では、私はなぜそう信じるのか?」と切り出した。
 つづけて筆者は、「極端な格差が生まれる理由を、三つの類型に着目して考えると分かりやすい。
実体経済には、三つすべての要素が関係している。
 第一に、個人個人の生産性が大きく異なるために巨大な格差が生じる場合がある。
 平均に比べて何百倍も何千倍もの貢献ができる人も本当にいるのだ。この考え方は、ベンチャーキャピタリストのポール・グレアム氏が最近執筆し、多くの人々に引用されている論考で展開されている。これはシリコンバレーで、つまり一般の労働者の何百倍も何千倍もの収入を得ている人々の間で人気のある考え方でもある。
 第二に、運によって巨大な格差が生ずる場合がある。往年の名作映画「黄金」で、金を探す年老いた探鉱者はこう説いた。金にこんなにも価値があるのは、そして見つけた者が金持ちになるのは、金を探しに行ったが見つけられなかったすべての人々の労力のおかげだ、と。同じように、私たちの経済では、大成功を収める者は成功しないものより必ずしも賢いわけでも勤勉なわけでもない。ただ、ちょっとよい時によい場所にいるだけなのかもしれない。
 第三には、「権力によって巨大な格差が生じる場合がある。自分で自分の報酬を決めることのできる大企業の重役や、内部情報によって、あるいはだまされやすい投資家から不当な手数料を集めることによって、金持ちになる人たちがいる。
 申し上げたように、実体経済は三つの要素すべてが入っている。平均よりもずっと生産性の高い人が実際にいることを否定するのは愚かだろう。しかし、ビジネスの(いや、実のところ何であれ)大成功には運という要素が強く作用することを否定するのも、同じくらい愚かだろう。
 すごくもうかるアイデアや戦略に一番初めに出くわすという運だけではなく、申し分のない両親のもとに生を受けるという運もある。
 それに権力も確かに大きな要素だ。グレアム氏のような人物の文章を読むと、米国の富裕層の大半は起業家なのだと思うかもしれない。実は上位0.1%は主に企業の重役であり、中にはリスクの大きい新興企業との関連で財をなしたものもいるかもしれないが、おそらくほとんどは確立された階段を上って今の地位に就いたのだ。そして、最上位層の収入増は、多分に急騰する経営者の報酬を反映するものであって、技術革新に対する対価ではない。」と教えてくれた。
 さらに筆者は、「だが、本当の問いは、経済発展を鈍らせることなく、現在のエリートが得ている収入の一部を、ほかのいくつかの目的のために再配分できるかどうかだ。
 再配分は本質的に間違っている、といわないでほしい。高所得者が生産性を完全に反映するとしても、市場行動の結果と道徳的な根拠は別物だ。
 さらに、富や運は権力を表す場合が多いという現実を考えれば、さらに多くの富を創出し続けるインセンティブを損なわない限り、高所得層の富の一部を税として回収し社会全体の強化に活用するのを支持する論拠がある。
 それに、インセンティブが損なわれると考える理由などない。過去の例を見れば、米国がこれまでで最も急速に成長し技術的な発展を見たのは、今よりも最高税率がずっと高く、格差がずっと少なかった1950年代と60年である。」と指摘した。
 最後に筆者は、「今日の世界では、税金が高く格差の少ないスウェーデンのような国が非常に革新的であり、多数の新興企業の拠点にもなっている。
 おそらくその一因は、強力なセーフティーネット(安全網)がリスクを冒すのを奨励するからだろう。成功によって昔ほど金持ちになれないにしても、むだ骨だった場合にも飢え死にすることはないと分かっていれば、人は金の探鉱をいとわないかもしれない。
 だから、私のもともとの問いに戻ると、金持ちが現状のように、裕福である必要はないという答えだ。
格差は避けられないが、今日のような米国の巨大な格差は、避けられないものではないのだ。(NYタイムズ、1月15日付、抄訳)
 読んで勉強になった。
まず、「リベラル派は高所得層の税金を引き上げ、その収入を社会保障制度の強化に使うことを望む。」、
 「保守派の望みはその逆で、富裕層の課税を強化する政策は富を生みだそうというインセンティブ(動機づけ)を低下させるため、すべての人に打撃を与えると主張する。」、等を知ることができた。
 また、筆者は極端な格差の生まれる理由を、三つの類型(①個人個人の生産性が大きく異なるために巨大な格差が生じる場合がある②運によって巨大な格差が生じる場合がある③権力によって巨大な格差が生じる場合がある)にしておしえてくれ、「実体経済には、三つのすべての要素が関係している」とも教えてくれた。
 そして、筆者は「金持ちが現状のように裕福である必要はないというのが答えだ」とも教えてくれた。
 理解して納得した。
 その上で、インセンティブの低下との関係では、資産課税と所得課税では異なるのではないか、という疑問がわいてきた。
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by sasakitosio | 2016-01-23 07:46 | 朝日新聞を読んで | Trackback