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by sasakitosio

欧州の危機 ユーロ圏の新議会発足を

1月7日付朝日新聞朝刊15面に、「ピケティ コラム」という欄がある。筆者は、パリ経済大学教授・トマ・ピケティ氏だ。
今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「2015年12月地方選挙の結果の通り、フランス全体ではここ数年で、右翼が得票率を15%から30%まで伸ばした。40%を記録した地域も複数あったほどだ。
 背景には失業の増加や排外的な感情の高まり、そして政権与党の左派に対する強い失望がある。彼らがやれることはすべてやった。
 だから、これまでと違うことを試さないといけないーーー。
そんな感情が広がっているのだ。
 08年の米国に端を発する金融危機へのひどい対応のつけを支払っている格好でもある。制度や政策が対応できなかったために、欧州の危機を長引かせている。欧州では、社会や教育について共通の土台がないにもかかわらず、単一通貨ユーロに対し、
 19の異なる国の公的債務、
 市場が自由に投機できる19の利率、
 自由競争する企業に課される19の税率がある。
 そんな通貨がうまくい行くはずはないし、今後もうまくいかないだろう。
 今日、欧州は憎悪やナショナリズムに向かう誘惑に脅かされている。反撃をするには、適切な制度を整備して将来を見据えることができる少数の国が核になり、経済成長や雇用創出のためユーロ圏の社会の民主主義を作りなおす道しか残されていない。
 ギリシャでの大失敗の後、オランド(仏大統領)はユーロ圏のための新しい議会という構想を支持し始めた。フランスは今こそ具体的な提案をするべきなのだ。そして、主要国間での合意に達しなければならない。
 さもなければ、イギリスやポーランドといった、内向きの選択をする国の議論に協議の場が独占されてしまう。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「重要なのは。まず欧州の指導者たち、とりわけフランスとドイツの指導者たちがこれまでの政策の過ちを認めることだ。ユーロ圏の様々な国で実施すべき改革は、あらゆる分野に及んでいる。
 商店の開店時間、
 バス路線の整備、
 労働市場、
 年金など、
 小さいものから大きいものまで、議論すればきりがない。
 有意義なものもあればそうでもないものもあるが、それらは、11年から13年にかけて米国では回復した国内総生産(GDP)が、ユーロ圏では急激に減少してしまったことへの説明にならない。
 債権の削減を急ぎ、とりわけフランスで過剰な増税をした結果、GDPの回復が抑制された。この事実に疑いの余地はない。
 財政規律を妥協なく適用した結果、15年のユーロ圏のGDPは07年の水準まで回復しないままだ。
 遅まきながら、欧州中央銀行が介入して12年に新財政協定がむすばれ、7千億ユーロ(1ユーロ=130円)の資金をもつ欧州安定メカニズムが発足した。債務の分散を可能にすることで、ようやく鎮火に成功したとはいえ、根本的な解決にはなっていない。GDPの回復は微々たるものに過ぎず、ユーロ圏の信用危機はくすぶり続けている。
 ユーロ圏加盟国が債務についての会議を開く必要がある。
 公的債務全体を軽減すべきだ。
 軽減する割合は、金融危機以降の各国の債務増加分が目安になる。まず、GDPの60%を超えた部分は、その国が07年比で確実な成長軌道に乗るまでという返済猶予期限をつけ、共同基金に付け替える。
 一定の限界を超えた何十年以上に及ぶ債務の返済が、何の意味もなさないことは歴史上の経験が示している通りだが、債権者からみても、経済成長に投資するためには債務を軽減した方がよい。
 このようなプロセスを踏むには、新しい民主的な統治機構が必要である。それを導入できれば、これまでの様な失敗を繰り返さずに済む。
 具体的には、納税者と国家予算を巻き込むためにユーロ圏の議会を発足させる必要がある。人口に応じて各国議会から選出された議員で構成される議会だ。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「共通の法人税の導入も、この議会で投票にかけられるべきだ。そうしないと、(企業の租税回避にルクセンブルク政府が加担していたことが暴露された)「ルクセンブルグ・リーク」のような問題が繰り返し起きるだろう。
 インフラ整備や大学への投資プランに資金を投じることができる。
 象徴的な例を挙げよう。学生交流を促す「エラスムス」計画に与えられる予算は、お話にならないほど少ない(ユーロ間で債務の金利の返済にあたられ額が年間2000億ユーロなのに対し、「エラスムス」計画の予算は20億ユーロだ)。 
 しかし、イノベーションと若者に対しては、膨大な投資が必要とされるはずだ。欧州には、世界最高の社会モデルを提供するための切り札がそろっている。私たちに与えられたチャンスを台無しにするのはやめよう。
 将来的には、この新しい枠組みで、公的債務の水準も決めることができるようになる。ドイツの一部にはこの議会で少数派になることを懸念し、機械的な財政基準の論理にこだわろうとする動きも出てくるだろう。だが、厳格なルールの運用によって民主主義をゆがめたことが、私たちを奈落のふちまで追いやったのであり、いまやこの論理と決別する時が来たのだ。フランス、イタリア、スペインの人口とGDPをそれぞれ合計するとユーロ圏の50%を占める。
 ドイツはいずれも25%程度だ。3国が具体的な提案をすれば、合意はなされるに違いない。そして、ドイツがもしこの提案を強く拒んだとしたら、反ユーロ論に反撃することはとても難しくなるだろう。
 極右が示すプランを、極左も惑わされてふりかざすことが増えている。だが、そのプランに至ってしまう前に、正真正銘のプランこそ、真の可能性を与えることから始めよう。(仏ルモンド紙、2015.12.20付、抄訳)」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 ピケティの「21世紀の資本」は、素読、筆写、一部ブログオン読、でその読みやすさに感動してきた。その筆者の指摘と分析と展望を読んだ気がした。
 筆者は、フランスで右翼の得票数の伸びの背景に、「失業の増加や排外的な感情の高まり、そして政権与党の左派に対する強い失望がある」と指摘した。
 欧州に存在する「憎悪やナショナリズム」に反撃するには、「適切な制度を整備して将来を見据えることができる少数の国が核になり、経済成長や雇用創出のためユーロ圏の社会と民主主義を作り直す道しか残されていない。」と筆者は主張している。
 そして筆者は、「具体的には納税者と国家予算を巻き込むためにユーロ圏の議会を発足させる必要がある。」と提案した。
 また筆者は、「欧州には、世界最高の社会モデルを提供するための切り札が揃っている。」と豪語している。
 一日も早く、「世界が目指すべき将来モデルが誕生」することを願っている「読者の一人」としては、ぜひピケティ氏の「社会モデル」を知りたいものだと、思った。 
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by sasakitosio | 2016-01-08 06:32 | 朝日新聞を読んで | Trackback