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by sasakitosio

「目指すべきモデル」構築を

12月24日付朝日新聞朝刊9面に、「あすを探る」という欄がある。筆者は、神戸大教授・比較政治学・木村幹氏だ。
 今日はこの筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「仕事でベルリンの国際会議に出る機会があった。正直ヨーロッパでの会議は得意ではない。筆者が出席するような歴史的認識問題に関わる会議では、ヨーロッパの研究者たちが滔々と、いかに歴史認識問題を克服したかを自慢げに語り、事情をことにする北東アジア諸国も倣うべきだと主張するのが通例で、その繰り返しに辟易しているからだ。
 だが、今回は雰囲気が異なっていた。確かにヨーロッパからの参加者の多くは、今回も彼らの経験とその意義を語ったものの、その確信の度合いは多きく違っていた。背景にあるのは、ギリシャ金融危機から難民問題、パリの大規模テロと続いた出来事の中での、欧州連合(EU)そのもののあり方に対する疑念の高まりだ。
 フランスの地方選挙では右翼政党が27%もの票を獲得し、ドイツでは大単な難民受け入れを主張したメルケル政権の支持率が急落した。
 ヨーロッパは自らの社会に対する自信を失いつつあるように見える。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「ヨーロッパの状況は、我々にとっても他人事ではない。フランシス・フクヤマが「歴史の終わり?」と題した論文を発表したのは、ベルリンの壁が崩壊した1989年である。フクヤマは西洋的民主主義の勝利を高らかに宣言したが、その後の世界が辿った道筋は彼の予想とは異なった。
 冷戦の勝者であったはずのアメリカは、2001年の同時多発テロ事件以来迷走し、大きな経済的格差の存在は、「目指すべきモデル」としてのイメージを大きく損なった。
 アメリカが魅力を失っていった時代、主としてリベラルな人々の注目を集めたのがEUだった。
 当初は「絵に描いた餅」に思われたユーロは、瞬き間にドルに次ぐ国際通貨としての地位を獲得。EUは共同市場と共同通貨の理想を実現した。多くのヨーロッパ諸国が有する高度な社会福祉制度は、アメリカのそれと対照的な存在として、多くの国が目指すべき一つのモデルとなってきた。」と教えてくれる。
 さらに筆者は、「しかし今、そのヨーロッパもまた「目指すべきモデル」としての魅力を失いつつある。
 他方聞こえてくるのは、現行の世界秩序への反発の声である。過激派組織「イスラム国」(IS)をはじめとするイスラム原理主義勢力が、国民国家を中心とする西洋的国際秩序への強い不満に根ざしていることは言うまでもない。
 古い国際秩序へのアンチテーゼを唱えているのは、中国をはじめとする新興大国も同様だ。彼らは今日の世界秩序を、帝国主義的な「列強」たちが作り、押し付けてきたものだとみなしている。
 古い国際秩序に異を唱える点においては、歴史認識問題における韓国の人々の主張も同様だ。過去の請求権に関わる問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記する日韓請求権協定の存在にもかかわらず、従軍慰安婦から徴用工と要求の幅を拡大する韓国の人々の主張の背景には、この協定が日韓両国の間に大きな国力の差があった時代に「一方的に押し付けられた」との思いがある。
 現在の世界秩序は欧米や日本のような「古い先進国」やその社会を牛耳る人々が押しつけてきたものであり、よりフェアなものに変えなければならない。
 同じ声は「古い先進国」からも聞こえてくる。
 日本をはじめとする各国における、直接行動の拡大はそれを如実に示している。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「問題は、我々が改革のための「目指すべきモデル」を有していないことだ。
 果たして古い歴史と伝統を持つヨーロッパは再び新しい「目指すべきモデル」を構築することができるか。
 彼らの試行錯誤を横目で見ながら、我々もまた自らの「目指すべきモデル」を見つけていく努力を重ねなければならない。
 目標なき運動は迷走を運命づけられている。
 今ある制度を活かしつつどの部分を変えるべきかを一つ一つ考える必要があるだろう。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 アメリカもEUも、世界中がめざすべきモデルとして、色が褪せたとして、我々が改革ための「目指すべきモデル」を持っていないとの指摘は、あたっていると思った。
 そして、「現状への「反対」を超えて目指すべき将来像を具体的に考えるべき時期がやってきている」との筆者の指摘は、このところの日本の混沌を示唆している気がした。
 ここはひとつ、筆者を筆頭に有識者の皆さんが日本から、世界が目指す「目指すべきモデル」を発信できないものか?
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by sasakitosio | 2016-01-06 13:54 | 朝日新聞を読んで | Trackback