憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

我らの敵はそこにあらず

 1月1日付朝日新聞社説下に、「社説余滴」という欄がある。
 筆者は、国際社説担当・国末憲人氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「パリでは近ごろ、花束を手にする人が増えた。遺族や友人にとどまらない。事件と全く交わらなかった人も、現場に足を運び、犠牲者を悼む。
 11月の同時多発テロは、市民にとってそれだけ重い。
 最も多い90人の犠牲者を出したコンサートホール「バタクラン」前にも、市民が持ち寄った花で埋まっていた。その一角で考える。なぜこのような事件が生きたのか。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「当初無差別のように見えた攻撃対象は、次第に明確になっている。
 ホールはかってユダヤ系の所有で、イスラエル支援の催しの会場となったこともあった。近年ユダヤ教の礼拝所や施設が過激派によってしばしば襲撃を受けていることから、今回も狙われたのはユダヤ人だったと推測できる。
 イスラム過激派に限らない。ナチス・ドイツがユダヤ人の絶滅を図ったのは、よく知られる。戦後、その反省から欧州では露骨な態度が減ったものの、フランスの右翼の一部には今なおユダヤ人に偏見を抱く人が少なくない。
 「これらの人々にとって、ユダヤ人は、実は必要な存在です。その中に自らの敵を映し出せるのですから」
 パリ政治学院のクレール・アンドリュー教授(現代史)はこう説明した。
 欧州のキリスト教社会は、ユダヤ人をしばしば仮想の敵とみなした。ユダヤ人を敵視することで、ユダヤ人以外は結束した。何ら根拠のないユダヤ人陰謀論が大手をふったのもそのためだ。
 イスラム過激派の若者たちは、こうした負の伝統をうのみにし、引き継いでいる。
 世界に目を向けると、仮想敵に拳を振り上げる人が、いかに多いことか。経済や治安の不調を移民に帰する欧州各国の右翼は言うまでもない。
 今年注目の米大統領選で、共和党のトップを走るトランプ氏は、メキシコ移民やイスラム教徒を敵になぞらえ糾弾する。
 日中韓も、互いを敵呼ばわりする言説が花盛りだ。」と指摘した。
最後に筆者は、「だけど仮想の敵は、攻撃する側がつくり出した虚像に過ぎない。いわば、鏡に映った自分の姿なのだ。
 過激派も、右翼も、トランプ氏も、敵と戦っているようで、実際は自らをおとしめている。
 そんな独り相撲をしなくとも、たとえば温暖化、貧困、疾病、核兵器と、人類には戦うべき真の相手がいくらでもいる。
 敵を見誤ることなかれ、自戒のもとに、2016年を踏み出したい。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「欧州のキリスト教社会は、ユダヤ人をしばしば仮想の敵とみなした。ユダヤ人以外は結束した。」との指摘はそういうものかと納得しながら、「なんでそうなるの?」という根本的疑問が残る。根も葉もなく、やみくもに、とめどなく長く、仮想敵にされている、その理不尽はいったいどこから来るのか?筆者を含む日本の有識者に、お尋ねしたくなった。
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by sasakitosio | 2016-01-06 07:27 | 朝日新聞を読んで | Trackback