憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

この胡散臭さは何だ

 12月13日付東京新聞朝刊4面に、「時代を読む」という欄がある。筆者は、同志社大教授・浜矩子氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「何かがおかしい。「官民対話」などと言う触れ込みの下に、政府が民間企業にああせいこうせいという。それを受けて民間企業側からは、経団連がまとめてお答え申し上げる。賃上げは何%。設備投資は何兆円増やすで御座いまする。ついてはお上、法人税の方で、一つよろしくご配慮を・・・・・・・・。
 この情景をどう解釈するか。二つのイメージが浮かぶ。そして重なる。
 その一は、将軍様の下知を承る外様大名たちの平身低頭シーンだ。
 イメージその二は、悪代官と悪徳商人・越後屋の談合場面だ。お代官様も越後屋さんも、決して損はしない。
お代官様は権勢が強まる。越後屋さんは儲けが増える。人々の賃金が上がることはとても大切なことだ。
 民間企業の設備投資が活発化するのも、経済活動の歯車がうまく回るための需要な要素だ。だが、政府が経済を振り回してはいけない。これは権力の横暴阻止という観点からだけの問題ではない。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「もちろん、この点は絶対的に看過できない。だが、それに加えて、政治が経済を振り回すことは実に危険だ。これをやり出すと、経済活動のバランスがは必ず崩れる。無理に目立つ賃金を上げると、埋め合わせのために、目立たない賃金が下げられる。設備投資増強の数字合わせをやり出せば、必ず無駄が出たり、余計なことをやるハメに陥る。
 ここでさらにもう一つイメージが頭に浮かぶ。それは1980年代から90年代初頭にかけてのオランダの姿だ。
 あのころは、オランダ経済は欧州の最重病人だった。
 物価は高い。 
 雇用は伸びない。
 対外収支は大赤字。この状態からなんとか脱しようというので、政労使の三者対話が始まった。
 誰もが何かを我慢する。
 政府は税収減を覚悟して減税する。 
 労組は賃上げを要求しない。
 企業は解雇を踏みとどまる。
 この三者の合意の下で、オランダ経済は次第に局面打開に向かった。
 あの時のオランダの三者合意と。今の日本の官民談合は、どこが違うか。違わないのか。実は両者には実に大きな違いがある。オランダの三者合意の場合は、彼らは一つの大きな課題を共有していた。それは自国通貨の価値を守るという命題だった。
 当時のオランダには、ギルダーという独自通貨があった。このギルダーが西ドイツマルクに対しどんどん価値を下げていく、これを阻止することができれば、物価の高騰を食い止められる、一方でギルダー高はオランダの産業・企業にとって厳しい通貨環境だ。
 だが、それに耐えてこそ、オランダ経済全体の病気が癒える。
 何とか経済のバランスを回復させなければならない。この強い思いと危機感を共有することで、あの時、オランダの政労使は同志となった。むろん、それなりに駆け引きもあったろう。だが、そこに将軍様と外様大名たちとの関係はなかった。お代官様と越後屋の悪魔的な持ちつ持たれつもなかった。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「政治も経済も人間の営みだ。似たようなことをやっているようにみえても、その行為に託された思いが違えば、非なるものが必ず透けてみえてくる。
 人間が胡散臭いと感じるところには、必ず、いやな何かが潜んでいる。今後の成り行きから、目が離せない。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 特にオランダの1980年から1990年代初頭にかけてのオランダの姿「物価は高い、雇用は伸びない、対外収支は大赤字、」を知り、そこで、政労使の三者合意「誰もが何かを我慢する。政府は税収減を覚悟して減税する。労組は賃上げを要求しない。企業は解雇を踏みとどまる」が成立したことを知った。
そして、オランダ経済は次第に局面打開に向かった、とのこと。
 筆者の指摘の通り、「政治も経済も人の営み」であり、「人の営み」は置かれた時代状況によってまた異なる。
 人の資質が環境を変えるのか、環境が人を変えるのか、オランダの三者合意には、三者の危機感の共有と人間的信頼関係の存在、三者の資質の一致、等々があったような気がする。
 その点、今の日本の環境では、対等な関係での三者合意は難しいような気がするが。
 
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by sasakitosio | 2015-12-15 06:16 | 東京新聞を読んで | Trackback