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by sasakitosio

二本柱の政治 篠原先生さようなら

 11月26日付朝日新聞社説下に、「ザ・コラム」という欄がある。筆者は、編集委員・曽我豪氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「10月末日、福井県鯖江市で行政への市民参加を討論するフォーラムに参加、大いに刺激を受けて帰郷すると、その大切さを最初に教わった恩師の訃報を聞いた。
 篠原一東大名誉教授、享年90歳。いかに日本の民主主義を実のあるものにするかをずっと考えてきた人だった。
 自民党の長期政権のころ、来たるべき連立状況を想定、いち早く野党の連合政権構想の理論的支柱となった。また、経済成長優先の時代の終わりを見越し、市民大学や住民運動にかかわって新たな政治社会・文化を生む市民参加の意義を唱えた。
 そして、いつも飄々と深刻ぶらず、冗談や冗句の間に大事なことを説く軽やかさがあった。当時、ヨーロッパ政治史のゼミ生は「篠ピン」さんと呼んだ。他の教授では考えにくいことだったが、権威主義的なものは(もちろん政治体制もふくめ)大嫌いな先生だったから、自然とそうなった。
 小泉政権時代の11年前、「市民の政治学――討議デモクラシーとは何か」(岩波新書)を78歳で書き下ろした際、朝日新聞の夕刊文化面に載った一文がある。
 正調篠ピン節である。「永田政治」に対し、人々が何が重要な課題かを発見できる「市民の濃厚な討議の場」を提起、つまりこれが「二本柱の政治制度」だと主張しこう続ける。
 「日本じゃちょっと早いんだけど、ほっとくと、こっちが死んじゃうんで。・・・「市民派」なんて、えらそうな発想はないんです。いろんな人と話をしているのが楽しいし、生きた学問になる」」と切り出した。
 つづけて筆者は、「ことほどさように思い出す先生の言葉の数々は、今の政治にこそ当てはまる。
 ●欧米のデモクラシー諸国では多党制、つまり連立政権が主流で、むしろ二大政党制のイギリス・モデルは例外です。ただ、政党間協力には、選挙連合、議会連合、政権連合の3局面がある。野党は、政策協定との関係でこれらを峻別しつつも巧みに組み合わせて与党に対抗すべきなのです。
 ●こらからは市民参加と同時に、反対や競争の自由が保障される「公的異議申し立て」の制度が発達しなければいけない。
討議デモクラシーは、社会の分断状況を避けるためです。
 だから相手を敵でなくて対抗者とみる精神と、権力の獲得でなく互いの意見の変更もめざす姿勢が不可欠です。
 安倍政権の「一強」体制のもと、共産と維新に左右から民主が揺さぶられている今の野党の再編論を、先生ならどう評しただろう。
 安保法制の廃止を目指すなら基本は議会連合であり、
 来夏の参院選で勝つには選挙連合であり、連立政権や新党の構想は本来その先の問題だ。
 それらがごっちゃになった今日の議論は巧みさを欠き、数合わせ印象を残すだけだと先生は嘆いたかもしれないが、悲観論で終わったはずはない。
 なぜなら、こんな言葉を残しているからだ。2009年の政権交代の翌年、早々と混迷を極めた民主党政権についてインタビューに答え、旧知の菅直人首相への忠告という形でこう語ったのである。
 現状はまだ「トランジション」、つまり過渡期だと認識し、「理念とリアリズムがともに大切だと反芻」し、「じわじわと改革を進める」よう期待したい。そして「リアリズムにはまり過ぎて理念をなおざりにしたり、着地を急ぐあまり暴走したりは、くれぐれもしないでほしい」。最後に、自分のことを「若い人とは政権交代にかけてきた執念が違いますから」といった。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「政治は永田町だけで展開されるものではない。普段の暮らしに根ざした地域社会の市民参加の取り組みは多様であり、生き生きとしている。
 ビッグデータの活用で行政に刺激を与えて隠された問題を発見させたり、住民協議会で自分たちが問題を解決できる手応えを感じたり、取材を通していて感じるのは、何より参加者が深刻ぶらず「楽しさ」を実感している点だ。
 また、18歳投票により高校らの主権者教育への関心も高まるが、そこで重要視されるのも、生徒・学生自らがよりましな解決策を探す「討議」なのである。
 先生は革新陣営の挫折を幾度も体験し、それでも、いやだからこそ、市民の感性と力を信じた。二本柱の政治という重層的で現実的な提案が遺言だと思っている。」として締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「欧米のデモクラシー諸国では多党制、つまり連立政権が主流で、むしろ二大政党制のイギリス・モデルは例外です。」、
 「政党間協力には、選挙連合、議会連合、政権連合の3局面がある。」、
 「これからは市民参加と同時に、反対や競争の自由が保障される「公的異議申し立て」の制度が発達しなければならない。」、
 「討議デモクラシーは、社会の分断状況を避けるためです。」、
 「だから、相手を敵でなく対抗者とみる精神と、権力の獲得でなく互いの意見変更をめざす姿勢が不可欠です。」、等々の指摘は、その通りであり、今の政治にピッタリ当てはまる、考え方だと思った。
 そして、「リアリズムにはまり過ぎ理念をなおざりにしたり、着地を急ぐあまり暴走したりは、くれぐれもしないでほしい」との菅直人元首相への忠告は、今の政党や国会議員にも通じる言葉だと思った。 
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by sasakitosio | 2015-12-02 17:59 | 朝日新聞を読んで | Trackback