憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

国政の正当性が問われる

 11月28日付朝日新聞17面に、「耕論」という欄がある。中で一票の不平等について、元最高裁判事・竹内行夫氏、慶応大教授・坂井豊貴氏、東大教授・川人貞史氏、の三氏が論じておられる。
 今日は、竹内行夫氏の記事に学ぶことにした。
 まず筆者は、「最高裁判事だった当時、「一票の格差」が最大2.30倍だった2009年の衆院選を「違憲状態」とした11年の大法廷判決の多数意見に、私は賛同しました。
 この判決も含めて、議員定数の問題は従来、法の下の平等にもとづく投票価値の平等という国民の権利の視点から議論や報道がされてきました。
 しかし今や、国権の最高機関である国会の立法行為などについての正当性(レジティマシー)にかかわる重大な問題として、もっと議論されるべき状況になっています。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「この種の訴訟は1962年以来提起され、近年では国政選挙の後に必ず選挙無効を訴える訴訟が提起されています。このような提訴が常態化していること自体、世界でも他の例を見ない異常な状態です。
 だが、提訴を受けている選挙によって選出された議員で構成された国会やその国会で選ばれた内閣が、何の支障もなく重要な国政を続くられているということに、多くの国民が違和感を覚えていないということも、なんとも鈍感ではないでしょうか。」と指摘した。
 さらに筆者は、「具体的に考えてみましょう。例えば、先の国会でもっとも議論が紛糾し、国民の間でも意見が分かれた安全保障関連法です。
 憲法9条についての長年の解釈を変更して、限定的とはいえ集団的自衛権の行使が可能であるとした内閣決定は、最高裁で違憲状態にあるとの判決が下された衆院選の結果成立した政権が行ったものです。
   重大な憲法解釈の変更を行ったのが「違憲状態」とされた選挙の結果成立した政権だったことに、ブラックジョークのような感じがするのは私だけでしょうか。
 集団的自衛権の行使を可能にし、さらに日米間の防衛協力を現行安保条約の目的から拡大するという事実上の安保条約の改定などを含んだ法律を一会期で承認・成立させた国会はどうか。
 今回の最高裁判決で「違憲状態」とされた選挙で選ばれた議員からなる衆院と、2012年と14年の最高裁判決で「違憲状態」とされた10年13年の参院選の選挙区で選出された議員が半数以上を占める参院でした。
 最高裁が「違憲状態」とした選挙で選された議員が大半を占める国会が、このような重要な憲法解釈の変更や安全保障政策の基本にかかわる法律改正を行うことに、何らの問題もないと考えてよいのでしょうか。」と疑問を呈している。
最後に筆者は、「問われているのは、国会が行う立法などの正当性の問題です。「一票の格差」訴訟の最高裁判決が、投票価値の問題に加えて、わが国の議会制民主主義の根幹にかかわる憲政史上の重要問題を提起しているということについて、法律家のみならず国会もメディアも 国民も、もっと認識を深めるべきだと思います。」として締めくくった。
 読んで、大変に勉強になった。
 この間ズート、最高裁は、「違憲無効」という判断を出さないで、「違憲状態」などと言い続けるのか疑問を感じていた。
 が、筆者の「「一票の格差」訴訟の最高裁判決が、投票価値の問題に加えて、わが国の議会制民主主義の根幹にかかわる憲政史上の重大問題について提起している」との指摘で、違憲状態判決の意義が少しわかった。
 そして、筆者の「重大な憲法解釈の変更を行ったのが「違憲状態」とされた選挙の結果成立した政権だったことに、ブラックジョークのような感じがする」との指摘、
 「最高裁が「違憲状態」とした選挙で選出された国会議員が大半を占める国会が、重要な憲法解釈の変更や安全保障政策の基本にかかわる法律改正を行うことに、何らの問題もないと考えてよいのでしょうか。」との疑問、等は指摘の通りだと思った。
 問題は、最高裁の「違憲状態」の判決が、国民的には最高裁の判決が「違憲無効」でないから、現状を「是認」した、と受け止められているような気がする。
 筆者の「法律家のみならず国会もメディアも国民も、もっと認識を深めるべきだと思います」との指摘で、最高裁判所の「違憲状態」との判決への思いが少しわかった。
 しかし、事ここに至っては、最高裁の「違憲無効」の判決が出ないと、「議会制民主主義の根幹にかかわる憲政史上の重大問題」がただただ漂流し続けるような気がしてならないが。
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by sasakitosio | 2015-11-29 07:20 | 朝日新聞を読んで | Trackback