人気ブログランキング | 話題のタグを見る

憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

社会派ライターの恋

 11月25日付東京新聞朝刊27面に、「本音のコラム」という欄がある。筆者は、文芸評論家・斎藤美奈子氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者、「横山源之助って知ってますか。明治の農民や労働者の生活を克明に伝える名ルポルタージュ「日本の下層社会」(1899=明治31年岩波文庫)の著者である。
 <貧民に最も負担となるは家賃なるべし><中産以上の人よりこれを見れば僅かに一銭銅貨二枚半、はなはだ些少なりといえども、貧民に取りては日に二銭五厘の小額も至大の負担なるべし>
 こんな書きっぷりからもわかるように、「日本の下層社会」は歴史資料であると同時に読み物としてもおもしろい。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「今年10月、その横山源之助の評伝が、新版として出版された。立花雄一「横山源之助伝 下層社会からの叫び声」(日本経済評論社)。お値段高めの労作だが、これがまた面白い。
 特に私が興奮したのは横山源之助が樋口一葉を好きだったらしいというくだり。一葉には斉藤緑雨も思いを寄せていた気配がある。3人が交錯した明治26年当時、横山25歳、一葉24歳、緑雨28歳くらいだった。
 だからなんだといわれるだろうけれど、私に脚本家の能力があったらなあと思うのはこんな時だ。」といっている。
 最後に筆者は、「社会派の熱血ジャーナリストと、明治文壇のアイドルと、同じく文壇きってのヒネクレ者が恋の火花を散らしたら・・・。ドラマにするっきゃない。この3人私にはオールスターなんだけどな。」として締めくくった。
 読んで、ためになり、面白かった。
 横山源之助の著書「日本の下層社会」に、<貧民に最も負担となるは家賃なるべし>とのくだりは、今日の老後の暮らしにぴったり当てはまると思った。貧民のところを「年金暮らし」に置き換えれば。
 さらに、明治文壇のアイドル、社会派の熱血ジャーナリスト、同じく文壇きってのヒネクレ者が散らす「恋の火花」はぜひ見たいものだと、思った。
by sasakitosio | 2015-11-26 07:03 | 東京新聞を読んで | Trackback