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by sasakitosio

欧州で広がるポピュリズム EU不信集め各国で台頭 背景に財政危機や難民問題

 11月10日付朝日新聞朝刊10面に、国際欄がある。今日はこの記事に学ぶことにした。
 まず記事は、「「欧州を一匹の妖怪がさまよっている。ポピュリズムという名の妖怪が」。マルクスが19世紀に記した「共産党宣言」の書き出しをもじった。
 そんな現象が欧州のメデアで使われるようになった。
 念頭にあるのは、欧州連合(EU)各国の議会選などで近年、相次ぎ躍進するポピュリスト政党だ。
 ただ、ここで注目すべきなのは、選挙結果や世論調査の数字だけではない。ポピュリズムが台頭する背景には、グローバル化する経済の恩恵を実感できない多くの人びとの不満がある。ポピュリスト政党はそうした民意をくみ取り、刺激することで、欧州統合に対する異議申し立ての源になっている点こそが重要だ。
  こうした政党は、保守、革新という既存の政治思想の垣根を超えて存在する。
 例えば、ギリシャのアレクシス・チプラス首相が率いる急進左派連合(シリザ)と、フランスのマリーヌ・ルペン党首の右翼政党・国民戦線(FN)は、移民政策などについて正反対の政策を掲げている。だが、一方で明確な共通点がある。エリート層がEUのかじを握り、国家の権限を縮小するような欧州統合の在り方こそが「大衆」の利益に反しているとどちらも主張しているのだ。」と切り出した
 つづけて記事は、「人々の不信感は、すでにEUを揺るがし始めた。ギリシャを発信源とした財政危機と、シリアなどから国境を越えて到来する難民・移民を巡る危機。今年、欧州を相次いで襲った二つの危機は、ポピュリズムと深く関係している。
 ギリシャの危機に際し、シリザが掲げた看板は「反緊縮」だった。共通通貨ユーロの信用を保つため、EU側から財政赤字の削減を要求されたギリシャは、福祉カットなどの緊縮策を受け入れ、チプラス氏らは「EUが押しつける緊縮策はギリシャ人からの富の収奪だ」と訴えることで共感を得て、政権を獲得した。
 後にチプラス氏は、新たな支援と引き換えに緊縮継続を受け入れた。ユーロやEUからの脱退までは国民も望んでいないと判断し、譲歩した。
 だが、再度の総選挙で勝ち政権継続を決めた今も、エリート層やドイツなど債権国の横暴に対し、国民の利益を代表できるのは自分たちだ、と言う立場は変えていない。
 一方、「右」のポピュリスト政党は「反移民」を掲げる事が多い。EUでは域内でヒトとモノの自由な動きを保障するのが大原則だ。それを「国境の外から移民を押し付け、国民の職を奪っている」と非難することで、グローバル化の恩恵を感じられない人々を引き付けている。
 ルペン党首率いるFNは長年、移民排斥を唱えてきたポピュリスト政党の典型だ。だが今年、紛争下のシリアなどを逃れた人々が欧州に押し寄せ、EUの移民難民対策が後手に回る事態に陥ると、これらの政党は人々の不安感の受け皿となり、勢いづいた。」と教えてくれる。
 さらに記事は、「政権の求心力を強めるため、ポピュリズムを採り入れる動きも目立つようになった。難民危機に際して、国境をフェンスで封鎖、「キリスト教中心の欧州の価値を守る」と主張するハンガリーのオルバン首相はその代表格だろう。
 英国でも、反移民や反EUを掲げる「英国独立党」(UKIP)だけでなく、キャメロン首相を支える政権与党、保守党内にも強硬な反EUを唱える一派がいる。英国のEU残留の是非を問う国民投票が2017年末までに実施される予定だが、結果次第では、英国離脱という激震がEUを襲う可能性がある。」と指摘した。
 最後に記事は、「民意が政治の決定に反映されにくい「民主主義の赤字」がポピュリズムを勢いづかせる。EUがその赤字解消に真剣に取り組んで改革をはからないと、欧州統合は挫折しかねない。(ヨーロッパ総局長・梅原季哉)」として締めくくった。
 また同じページに「ポピュリズム」の解説がある。
 これも、学習することにした。
 囲み記事は、「ポピュリズム(populism)とは一般的に、「エリート」と対立する集団として「大衆」を位置づけ、大衆の利益こそが尊重されるべきだとする政治思想をいう。
 ラテン語のポプルス(populus)=「民」が語源で、日本語では大衆主義、人民主義と訳されることもある。
 このような考えを掲げる政治家は、ポピュリストと呼ばれる。
 既存の政治システムへの不信感を原動力としており、保守(右派)、革新(左派)いずれの政治潮流にも存在する。
 ポピュリズムはしばしば、「大衆迎合」「大衆扇動」といった意味でも使われる。だが、有権者の関心に応じて主張を変えたり、大衆の危機感をあおったりする政治手法は、ポピュリストと見なされない政治家も用いるものだ。
 欧州などで台頭しているポピュリズムの最大の特徴は、「大衆」を善良な集団とし、腐敗した悪いエリートから受ける不利益に立ち向かう集団として強調する点だ。
 複数の集団による、互いに絡み合う利害の調整は「汚い」と排除する。
 また、「大衆」を一枚岩ととらえるため、その中の少数派の意見は尊重されなくなる傾向が強い。」と教えてくれる。
 読んで勉強になった。
 まず「ポピュリズムとは、一般的に、「エリート」と対立する集団として「大衆」を位置づけ、大衆の権利こそが尊重されるべきだとする政治思想を言う。」とのこと、
 「欧州などで台頭しているポピュリズムの最大の特徴は、「大衆」を善良な集団として、腐敗した悪いエリートから受ける不利益に立ち向かう集団として強調する点だ」とのこと、
 「ポピュリズムが台頭する背景には、グローバル化する経済の恩恵を実感できない多くの人々の不満がある」とのこと、
 「民意が政治に反映されにくい「民主主義の赤字」が、ポピュリズムを勢いづかせる。」とのこと、等等を知って、日本も世情は似て来ているような気がした。
 日本における「エリート集団」は誰だろう?
 日本における「大衆」はだれだろう?
by sasakitosio | 2015-11-15 06:21 | 朝日新聞を読んで | Trackback