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by sasakitosio

金融市場の乱高下ーーアベノミクスに欠けるもの

 9月4日付朝日新聞朝刊15面下に、「異論のススメ」という欄がある。筆者は、京都大学名誉教授・佐伯啓思氏だ。
 今日は、この筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「中国経済が減速するのではないか、というもっともな不安が広がり、世界中の株式市場が激しく乱高下した。金融市場の不安定な動きが完全に解消されたわけではなく、いつまた大きな変動が生じても不思議ではない。 
 資本とはそれを元手にして利益を生み出す資金である。したがって、資本主義とは、元手となる資本を絶えず増殖させる運動である。この資本増殖が、我々の生活に役立つモノの生産やサービスの提供をもたらせば問題はないのだが、ただ金融市場を資本が回るだけで元手が増えるとすれば、困ったことである。
 有益なモノの生産へ向けた投資ではなく、株や為替の投機によって大きな利潤が得られる。これぞまさに、もっとも手軽な「資本」主義である。
しかし、この手軽で則物的でむき出しの資本主義こそが、健全な経済活動を破壊しかねない。
 実際、今日の資本主義は、過剰な資本供給によって、この種の危険にさらされている。しかも、過剰な資本は、金融自由化によって世界中の金融市場を駆け巡り、地球の裏側で生じたささいな出来事さえもが、自国の経済を攪乱しかねない。
 数年前のリーマン・ショックがその典型であった。
 どうしてこういうことになったのか。今日の先進国では、どれほど新たな技術開発を行い、新製品を次々と市場へ送り出してもさして大きな利益は得られないからである。そこで、中国などの新興国の市場をあてにすることになる。
 しかし、新興国経済は十分に安定していない。となると、先進国もたえず景気後退への不安を抱えることになり、また傾向的な成長率の低下にさいなまれる。
 つまり、グローバル市場は激しい競争をもたらすわりには、さして成果を生みだしてはいないのだ。」と教えてくれる。
 つづけて筆者は、「そこでどうするか。各国中央銀行はこぞって自国通貨を金融市場へ供給し、景気を支えようとしてきた。
 ところが、供給された貨幣は長期的な研究開発や設備投資にまわって、生産を活性化するというより、まず金融商品へ向かって投機的利潤を生みだすのである。
 こうなると、金融市場はきわめて活発化する割には、さして実体経済は良くならない。という何ともバランスの悪い状態に陥る。それが極端になれば、「根拠なき熱狂」というバブルになる。そしてバブルはいずれはじけ、金融市場の混乱が実体経済を攪乱する。
 われわれは今日、こうした不安定性に直面ししている。本来はモノの生産を活性化し、サービスを向上させ、流通を円滑にするはずの貨幣が、金融商品の間をかけめぐり、投機的な資本へと変身してしまう。本末転倒である。
 資本の増殖が、われわれの生活の実質と無関係に自己目的化してしまうのだ。」と教えてくれる。
 さらに筆者は、「さて、次の自民党の総裁選挙では安倍総裁の続投が決まる模様であり、安倍首相のもと、アベノミクスが継続されるだろう。確か、アベノミクスは、脱デフレと景気回復を掲げたいわば緊急措置であった。
 「何でもあり」なのである。とりわけ、第一の矢である「異次元的金融緩和」は、脱デフレに向けた強力なカンフル剤であった。そして、一定の成果をあげたことも間違いない。
 しかし、それがさらに過剰な貨幣供給をもたらし、投機資本に餌をばらまくという危険と隣り合わせだったことも事実だ。実際、日本の株式市場は強気な投機筋にあおられて値を上げ続けてきた。それが景気を刺激したとしても、本当にわれわれの生活を良くしたのか、となれば、たとえば地方都市を見れば、関単にうなづくわけにはいかない。
 アベノミクスは、脱デフレ、景気回復からさらに、日本経済を力強い成長軌道に押し上げようとする。しかし、そもそも景気が十分に浮上しない最大の原因は、日本経済はすでに資本も生産能力も過剰になっている点にある。日本社会は、少子高齢化、人口減少へと向かっている。こうした社会においては、市場はさして拡張しない。つまりモノをいくら生産しても、それを吸収するだけの十分な需要が発生しないのである。
 とすれば、いくら異次元の金融緩和によって資本を供給しても、貨幣はもっぱら金融市場へ流れるであろう。
 結果として、日本経済全体が、ますますグローバルな金融市場の不安定性に巻き込まれ、投機的資本の思惑に翻弄されることになる。
 重要なことは、ただやみくもに貨幣を供給するすることではなく、逆に、その貨幣をグローバルな金融市場の投機筋から守ることなのである。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「そのことはなにを意味するのだろうか。「異次元的に」供給される資金を、国内の長期的な産業基盤や生活基盤として国内に循環させることこそが重要である。しかも、これらの長期的な産業基盤や、少子高齢化に向かう生活基盤づくりは、決して即効の利益を生みだすものでない。とすれば、それを市場競争に委ねるのは無理なのである。
 政府が、一定の将来ビジョンのもとで、その資本の行き先をある程度、指示することが必要となるであろう。短期的な市場の成果主義ではなく、長期的な公共政策こそが求められているのだ。
 そこで初めて、異次元的な金融緩和も意味をもってくるであろう。
 われわれは、一刻も早く、貪欲で即物的な金融中心主義から決別しなければならない。」と締めくくった。
 すごく分かり易く、読んで大変勉強になった。
 異次元の金融緩和について、筆者は、「供給された貨幣は長期的な研究開発や設備投資にまわって生産を活性化するというより、まずは金融商品へ向かって投機的利潤を生みだすのである」、「それが極端になれば「根拠なき熱狂」というバブルになる。そして、バブルはいずれはじけ、金融市場の混乱が実体経済を攪乱する」、と教えてくれた。
 さらに筆者は、「そもそも景気が十分に浮上しない最大の原因は、日本経済はすでに資本も生産能力も過剰になっている点にある」とし、「とすれば、いくら異次元の金融緩和によって資本を供給しても、貨幣はもっぱら金融市場へ流れるであろう」とも教えてくれる。
 さらに筆者は、「「異次元的に」供給される資金を、国内の長期的な産業基盤や生活基盤として国内で循環させることこそ重要である」とし、「政府が一定の将来ビジョンのもとで、その資本の行き先をある程度、指示することが必要となるであろう」とし、「一刻も早く、貪欲で即物的な金融中心のグローバル資本主義から決別しなければならない」と、教えてくれる。筆者の提示する、理由と結論は、よく分かった。
 その上で、筆者の提言が、実現に向かっている様子が見えないのは何故だろうか?
 世界的な「根拠なき熱狂」というバブルがはじけた時、誰がどのように対処できるのだろうか?
 その時、地球と人類は、どうなっているのだろうか?
 筆者をふくむ、有識者に尋ねたくなった。
 
 
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by sasakitosio | 2015-09-08 07:52 | 朝日新聞を読んで | Trackback