人々が荷物と化す時ー グローバル化の現実
2015年 09月 01日
今日はこの筆者に学ぶことにした。
まず筆者は、「ヒト、モノ、カネは国境を越える。それがグローバル時代だ。何度となく、この言い方をしてきている。だが、今ほど、人が国境を越えるということの重みと、その衝撃を噛み締めるのは、初めてだ。
11万人、33万人、80万人。これらは、いずれも、国境を越える人々の数である。
貧困からの脱却を目指して。
戦火を逃れて。
平和を求めて。
命からがら。
死にたくないから。
11万人は、今年7月中に欧州連合(EU)諸国に不法侵入した人々の数である。前年同月の三倍に達した。
33万人は、2014年4月から15年3月の間に英国が受け入れた移民数。記録更新である。
これまでの最高値は、05年に記録した32万人だった。
05年といえば、前年のEU大幅拡大を受け、東欧諸国からの人の動きが大いに盛り上がった都市である。
80万人は、今年の年間を通じて、ドイツに流入するとみられる亡命希望者の人数だ。14年に関するEU全体の数値を上回る。ドイツとしても、むろん、記録大幅更新だ。1991年に旧ユーゴスラビアが崩壊した際にも、ドイツに亡命希望者が大流入した。だが、2015年に関する見込み値は、あの時の2倍に達する。
ドイツの人口が、約8千万人だ。80万人の亡命希望者はその1%に達する。ドイツは、年々、対欧亡命希望者のおよそ40%を受けてきた。いずれも、何とも驚くべき数だ。」と教えてくれる。
つづけて筆者は、「英国の現政権は、何とかして、年間の受け入れ移民者数を10万人未満に抑制することを目指してきた。33万人という現実の数は、彼らの目標値をあまりにも大きく上回っている。
英国に向かって国境を越える人々の場合、理由は主として経済的だ。
仕事が欲しい。
チャンスが欲しい。
貧困の泥沼から這い上がりたい。
その思いに駆られて、バルカン半島やアフリカや中東から人々がとてつもない危険を冒してやってくる。彼らの決死の覚悟につけ込んで、国境越えの人の取引を仲介するやからが暗躍する。国境を越えたい人々から金を吸い取る。そして、ゴムボートに押し込んで海峡に送り出す。あとは野となれ山となれ。」と教えてくれる。
最後に筆者は、「ドイツをめざして国境を越える人々は、前掲の数字が示す通り、その多くが亡命希望者だ。政治難民に関しては、EUに「ダブリン・ルール」というのがある。それによれば、亡命希望者への対処はその第一受入国が行うことになっている。ギリシャの海岸に到着した難民については、ギリシャが法的対応を行う。イタリアならイタリアが対処する。そういことになっている。だが、このルールが必ずしも厳密の守られない。難民たちの希望もあれば、漂着された国の事情もある。結局は、さらに北へ北へと国境を越えていくケースが少なくない。
要は、欧州全土が国境を越える人々の洪水にのみ込まれつつある。
だからこそ、欧州全土が一体感をもって対処しなければならない。
だが、そういうことになればなるほど、国々が一体になれず、わが身のことしか考えない。人間という名のお荷物を押しつけ合う。たまらないのは、押し付け合いの対象となる人々だ。
もとより、これは欧州だけの問題でもない。ヒト、モノ,カネが国境を越える今。誰にとっても、対岸の火事というものは存在しない。国境を越えて、全ての国々が一体感を共有する。それができなければ、人類も終わりだ。」と締めくくった。
読んで大変勉強になった。
ヒト、モノ、カネが国境を越える時代。特に人が国境を越えることの衝撃を教えてもらった。
「 11万人は、今年7月中に欧州連合(EU)諸国に不法入国した人々の数である」、「33万人は、2014年4月から15年3月の間に英国がいけいれた移民数」、「80万人は今年の年間を通じて、ドイツに流入するとみられる亡命希望者の人数だ」、ということを初めて知った。
最近は東京周辺に外国人を見る機会が多くなったが、一つの街ができる程の「移民や亡命者」が入ってきたら、どんな様相になるのだろうか。日本には、海と日本語と歴史という広く高い城壁があり、容易に外国人が同化できないと思われるが、「欧州全土が国境を越える人の洪水に呑みこまれつつある」との筆者の指摘は、確かに対岸の火事と言うわけにはいかないようだ。
グローバル化は避けられない流れと覚悟を決め、グローバルな視点で、「政治も経済も労働も文化も宗教も・国境も・」構築しなければならない「時代」にあるということかもしれない。