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by sasakitosio

チプラスショック  EU民主化モデル敗北

 7月7日付朝日新聞朝刊15面に、「耕論」というページがある。中で、北海道大学准教授・吉田徹さん、ギリシャ・ピレウス大学准教授・プラトン・ティニョスさん、東京大学特任講師・村田奈々子さん、の御三方の先生の論文を拝読させていただきました。今回は、吉田徹さんの論文を学習させていただくことにしました。
 まず筆者は、「長引く危機の中で、ギリシャはひどい苦しみを経験しています。高い失業率に加え、闇経済がはびこり、自殺や薬物中毒も広がっている。こうした状況に左右の2大政党は無力でした。その不満を吸収したのがチプラス政権です。
 彼らはEUを批判することによって市民の支持を得てきました。その民意を人質にとって、EUとの交渉を有利に進めようとしたのが、今回の国民投票です。
 この手法は、EU脱退を問う国民投票を背景にEUに改革を迫る英キャメロン政権のやり方とも似ています。
 チプラス政権のような困窮と貧困をバネとする左翼ポピリズムの伸長はイタリアやスペインにも見られる傾向です。
 直接の原因は経済危機ですが、冷戦が終結して以降各国で左派政党が中道化し、左翼支持層の受け皿となる政党がなくなった状況も影響しています。
 今回の投票結果が各国のポピュリスト政党を勢いづける可能性はあります。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「ただ、チプラス政権の態度にも一理あります。EUの対応が歴史的経緯を無視した非民主的なものだからです。
 もともと、EUの前身組織は、軍事政権を脱したギリシャを「私たちと一緒になれば平和で民主的な社会を実現できる」といって1981年に迎え入れました。ギリシャが五輪を開催できるまでになるような安全と豊かさは、後に旧東欧諸国の加盟準備に際しての手本となりました。
 このような民主化モデルが市場の原理の下で敗北させられようとしているのです。
 EUの原点には「赦し」があったはずです。
 第一次大戦後、各国がドイツに賠償を求めたことでナチスが台頭した。その反省から、第2次大戦後にギリシャを含めた各国はドイツの債務を軽減した。
 ギリシャに対しても、同様の措置があってもいい。
 にもかかわらず、EUがギリシャに見せる度量の狭さは、何ゆえなのでしょうか。EUはかって「独仏和解」に始まって「統一市場」「冷戦後の旧東欧諸国の民主化」といった夢を描くことができました。現在は、このような内部をまとめる大きな物語を見失ってしまったために、EU自身が迷走しています。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「ギリシャで、チプラス政権が長く続くとは思えません。
 ポピュリズムは長続きしないのが相場です。何かを否定することでしか成立しないのがポピュリストであり、否定するものがなくなれば消えていく存在ですから。
 ただ、チプラス政権が今後倒れたとしても、その後にくる政権は、EUにとって果たして交渉しやすい相手でしょうか。
 2大政党も左翼もだめとなった時に、次に控えているのは極右勢力なのです。(聞き手 論説委員・国末憲人)」と締めくくった。
 読んで大変勉強になった。
 特に「チプラス政権のような困窮と貧困をバネとする左翼ポピリズムの伸長はイタリヤやスペインにも見られる傾向」との指摘、
 「ポピュリズムは長続きしないのが相場です。何かを否定することでしか成立しないのがポピュリストであり、否定するものがなくなれば消えてゆく存在ですから」との指摘、
 等は、観察の対象と考える材料を与えてもらった気がした。
 「2大政党も左翼もダメとなった時、次に控えているのは極右勢力なのです。」との指摘は、日本の社会ではどのように考えたらいいのだろうか?
 また、ギリシャのチプラス後は、第一次大戦後のドイツのようにナチスの再来などということは絶対無いように、EUの賢明な選択をお願いしたい、と思った。
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by sasakitosio | 2015-07-09 06:17 | 朝日新聞を読んで | Trackback