憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

議論に市民交える仕組み必要

 4月23日付朝日新聞朝刊17面に、「耕論 原発政策 欠けた視点」という欄がある。
 二人の発言者の中で、今日は、東京大学教授・藤垣裕子さんの発言から学ぶことにした。
 まず藤垣さんはは、「原発の再稼働差止めを求めた仮処分の申し立てについて、二つの地裁が異なる判断を示しました。
 なぜ異なるのか。
 議論すべきですし、とりわけ高浜原発(福井県高浜町)の再稼働を認めなかった福井地裁の決定については、社会に対する問題提起として受け止めるべきだと思います。
 同じ裁判長が昨年5月大飯原発(同県おおい町)をめぐる訴訟でも住民勝訴の判決を言い渡しましたが、その中で、人々が生命をまもり生活を維持するための人格権を全面に出し、経済活動としての原発の稼働はそれより劣位にあるとしました。また東京電力福島第一事故後に、そうした重大事故の具体的な危険性が万が一でもあるかという判断を避けることは、裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しい、とも言っています。
 「高浜原発の決定も具体的な危険性を認め」、いずれも相当の覚悟を持って書かれた画期的な判断だと思います。
反原発か推進かといったレッテルを貼って矮小化するものではなく、議論をするきっかけにすべきです。」と切り出した。
 つづけて藤垣さんは、「提起された問題の第一は、私たちが求める豊かさとは何か、です。
 たとえ原発が動かないために燃料代が増えて貿易赤字が出ても、人々が安心して暮らせることに重きを置くのか、つまり、人格権は電力など経済より上だと考えるのかどうか。
 第二は、原発ガバナンスのあり方です。
 原子力規制委員会が再稼働の前提となる新規制基準のをつくりましたが、専門家による閉じられた空間で決まり、社会の声は反映されていません。専門家と市民では、安全の考え方にギャップがあるのに、埋めようとする努力がなされていません。
 第三は政策決定のあり方です。
 民主党政権が2012年に、将来のエネルギーに関して行った討論型世論調査などは世界的に注目され、「日本ではエネルギー政策に国民を交えた議論をやっている」、「原発事故は日本の公共政策をこんなにも変えたのか」と国際会議などでもよくいわれました。原発事故後の日本がどう変わるのか、世界でも注目されているわけです。 
 討論型世論調査のようなやり方を規制基準づくりにも導入するなど、市民参加のあり方についても世界の範となるようなことをしてほしい。あれだけの事故を経て結局何も変わっていない、となったら、大変恥ずかしいし、日本という国への評価も下がってくるのでは、と心配です。」と心配している。
 最後に藤垣さんは、「米国の科学技術専門家は原発事故後、日本の原子力技術者は米国の技術者が直面してきた「世間一般による監視の目」から余りにも切り離されていたことに驚いたと書きました。
 原発のように、不確実性がからむ科学技術の問題は、専門家だけの判断に任せるわけにはいきません。欧米ではこの監視の目が重視され、たとえばどこにダムをつくるか、といった問題でも市民を交えた議論が不可欠です。意見の違う専門家、そして一般市民の意見をいかに取り込むかがきわめて重要なのです。
 「世界一厳しい基準」というだけでなく、なぜこの数字なのか、説明することが不可欠です。このプロセスが依然として踏まれていないことが不信感を生んでいます。本来、こうした議論をし、監視の目となる場は、国会であり、メディアや社会運動などの公共空間です。高浜原発や大飯原発については、裁判所がいわば監視の目としての役割を果たしたことになります。公共空間での議論が十分でないために、司法がその役割を負わされた、ということでしょう。しかし、裁判所だけがそういう場ではないはずです。
 どんなエネルギーを選び取るのか、市民が議論して決定に参加するシステムをつくるという課題が社会に突きつけられています。」と締めくくった。
 読んで、勉強になった。
 藤垣さんは、「大飯原発の判決の中で、人々が生命を守り生活を維持するための人格権を全面に出し、経済活動としての原発の稼働はそれより劣位にあるとした」、「高浜原発の決定も具体的な危険性をみとめ」、いずれも、相当の覚悟を持って書かれた画期的な判断だ」、と教えてくれた。
 また藤原さんは、判決・決定が三つの問題提起をしているとされ、①私たちが求める豊かさとは何か、②原子力ガバナンスのあり方③政策決定のあり方、をあげらえた。
 そして、公共空間での議論が十分でないために、司法がその役割を負わされた、ということでしょうと、藤原さんは指摘された。その指摘の通りのような気がした。
 この度、福井地裁が担った役割、果たした役割は、司法権の独立にも、三権分立にも、日本における民主主義にも、大きな歴史的足跡を残したような気がした。
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by sasakitosio | 2015-05-04 12:09 | 朝日新聞を読んで | Trackback