憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

福島の空 不条理と闘った人

 4月2日付朝日新聞社説下に、「ザ・コラム」という欄がある。筆者は、編集委員・駒野剛氏だ。今日はこの筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「無人の保育所、横倒しになった自動車、鉄柵で封鎖された家・・・。3月11日、一年半ぶりに訪ねた福島第一原発周辺は、時間が止まったまま、朽ちていた。
 大震災の被災地でも、原発被害を受けなければ、曲がりなりにも復旧、復興が進む。しかしFUKUSIMAは違う。
 朝日新聞が2月に実施した全国世論調査で、国民の間で原発被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思うかについて尋ねると、「関心が薄れ、風化しつつある」が「そうは思わない」の23%を大きく上回った。
 2012年7月国会の事故調査委員会がまとめた報告書で黒川清委員長は「変われなかったことで起きてしまった今回の大事故に、日本は今後どう対応し、どう変わっていくのか。これを世界は厳しく注視している」と提起した。ところが、変わるどこらか、忘れ去られつつあるようだ。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「那覇生まれ、山之口貘の詩を思い出す。
 「どうやら沖縄が生き延びたところは、不沈母艦沖縄だ いま八十万のみじめな生命達が、甲板の片隅に追い詰められていて、鉄やコンクリートの上では、コメを作る手だてもなく、死を与えろと叫んでいるのだ」
 米軍の砲弾が降り注いだ沖縄は、今も本土を守る矛と盾が集中する。首都圏の電源供給を担わされた福島は、自らの消費と無縁の放射能の汚染に苦しむ。同胞の悲しみも、自分から遠ければ、簡単に忘れ去ってしまうのか。」と指摘した。
 さらに筆者は、「「この国はこんなものさ」と諦めるのはたやすい。だが不条理と闘い、屈しなかった人のことも事故調報告は紹介した。100年前祖国に変われと訴え続け福島・二本松市生まれの歴史家、朝河貫一だ。
 米国の名門、エール大学で日本人初の教授になった朝河は、研究者だけではなく平和構築の提唱者としても活躍した。
 1905(明治38)年、日露戦争の講和条約の場ポーツマスに赴き、小村寿太郎外相ら代表団と同じ宿舎に滞在。「領土や賠償金の獲得にこだわるべきではない」と助言したり、日本がロシアに求める金額は「余儀なく開戦するに至った実費」とすべきだと地元メディアで発表させたりした。
 09年には「日本の禍機」を出版。東洋政策の根本だった「清帝国の独立および領土の保全、ならびに列国民の機会均等」の「二大原則」に、祖国が背きつつあると指摘して、遼東半島などの租借地を中国側に返還することが公平な姿と説いた。
 朝河を尻目に、日本ががむしゃらな侵略を続け、中国との全面戦争に突入する。だが、資源、とりわけ米国からの石油などの輸入があってのことだった。侵略を止めない日本に米国が石油の輸出停止を決定すると、もはや日米戦争しか打開の道はない、と日本は自らで自らを追いつめる。
 祖国が平和を諦めた中で、朝河は一人闘う。
 ルーズベルト米大統領から昭和天皇への戦争回避の親書を出させようとしたのだ。
 親書案文が福島県立図書館で保管されている。10枚の便箋には、朝河が入れた朱のラインが、今も鮮やかに残っている。
 41(昭和16)年11月末、書き上げられた草案は、朝河の友人でワシントンに知己が多いハーバード大学美術館のウォーナー東洋部長に託された。ウォーナーは国務省幹部や上院外交委員らに働きかけて回った。
 12月8日未明、草案とは異なる文言だったが、在東京のグル―米国大使を経て、天皇に親書が届けられた。日本海軍機がハワイ真珠湾に突入する直前だった。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「 戦争は止められなかった。闘いは徒労だった。だが、混迷する権力に付和雷同せず、自立して考え、行動した市民がいたことを、日本の歴史に刻んだ意味は大きい。
 「日本が真の民主主義を願うなら、とりわけ、民主主義の政治形態は、市民一人一人が良心に対する危機感を強くし、個人的な責任を果たすことしか、打ち立てられない、私はそうかたく信じます」
 朝河の言葉が力を失わないのは、いまだ「真の民主社会」から遠いからだろう。二本松市に立つ朝河の墓標から安達太良山を望んだ。高村智恵子が夫、光太郎に見たいと言った「ほんとの空」と同じ青が、福島に戻るのはいつだろうか。」と締めくくった。
 読んで、勉強になった。朝河貫一という人が、「ルーズベルト米大統領から昭和天皇へ戦争回避の親書出させようとし」、「12月8日未明、草案とは異なる文言だったが、在東京のグル―米国大使をへて天皇に親書が届けられた。」とのことは、初めて知って感動した。
 また、朝河は「日本が真の民主社会を願うなら、とりわけ民主主義の政治形態は、市民一人一人が良心の危機感を強くし、個人的な責任を果たすことでしか、打ち立てられない、私はそうかたく信じます」といっているとのこと。その言葉には大いに勇気づけられた。良心の危機感を強くし、個人的な責任を果たすことは、たとえ自己満足や徒労に終わっても、できそうな気がしてきた。
 
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by sasakitosio | 2015-04-07 06:46 | 朝日新聞を読んで | Trackback