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by sasakitosio

ピケティコラム 低所得層の二重苦 柔軟な予算で投資を増やせ

4月1日付朝日新聞19面に、「ピケティコラム」という欄がある。筆者は、パリ経済学校教授トマ・ピケティ氏だ。 今日はこのコラムに学ぶことにした。
 まず筆者は、「政権政党に対して、低所得層がそっぽを向く現象が、あちこちで起きている。現在与党の中道左派は、彼らを守る姿勢を見せているのに、なぜだろうか?
 それは単に、これらの政党がずっと以前から、実は彼らを守らなくなったからだ。
 過去数十年にもわたって、低所得層は二重苦ともいえる状態にさらされてきた。最初に経済面において、続いて政治面において、である。
 先進国で最も恵まれない社会集団にとって、経済的変化はほとんど味方にならなかった。第二次世界大戦後の「栄光の30年」と呼ばれたフランスの並外れた経済成長は終わりを告げ、工業から第3次産業への移行が起き、新興国が台頭し、特にノール県(北部の旧炭鉱地区)で単純労働者の雇用が崩壊した。逆に、財政的かつ文化的は蓄積に恵まれた集団は、グローバル化を十分享受することができた。
 次に、政治の変化も、こうした傾向をさらに悪化させるばかりだった。本来なら、公的機関や社会保険制度、徹底的な政策群が、新たな状況に対応するはずだった。現在起きつつある変化によって利益を得ている主な層から多くを集め、変化によって最も被害を受けている層に向けて再配分することによって、である。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「ところが実際に起きているのは、それとは正反対のことだ。国家間の競争が激化したこともあって、最も機動性にとんだ納税者(高度な専門性を持ってグローバルに対応できる高所得サラリーマンや資産を持つ人々)に政府は次第に専心するようになり、自由の利かない人々の集団(低・中所得層)を犠牲にした。これは、社会政策および公共ービス全体にいえることだ。
 例えば、TER(地方都市を結ぶ急行列車)を貧弱なままにしておいて、TGV(新幹線)に投資する。通常の学校や大学を放置しておいて、エリート養成コースを重視する。当然ながら、税金徴収についても全く同様だ。1980年代以降、税制の累進性は大幅に緩和された。最もつつましい層を苦しめる間接税が少しずつ強化されたのに対し、最も所得の高い人々に適用される税率は大きく軽減されたのである。
 金融規制の緩和と資本移動の自由化は間違いなくこうした変化に拍車をかけた。
 税収という基盤を持たず、社会的な共通性も欠いているにもかかわらず、地域や国の間で純粋かつ完全な競争原理の実現になびこうとする欧州機関(欧州連合=EU)もまた、このような傾向を加速させた。これは企業の利益に課せられる法人税で顕著だ。欧州の法人税率は80年以降、半分に引き下げられた。
 最も巨大な企業が、しばしば公式な税率を逃れていることも指摘しておかなければならない。実際、欧州各国の首都に拠点を置く巨大グループ企業より、中小企業のほうがはるかに高い率の税金を支払っている。
 税金は増え、公共サービスは減る。このような状況に置かれた人々が、「自分は見捨てられた」と感じても不思議ではないだろう。この見捨てられた感覚は、右翼への投票に繋がっている。従来の左右両党の対立に右翼を加えた三つどもえ体制の台頭を招いているのだ。この現象は、ユーロ圏内だけではなく、圏外(たとえばスウェーデン)でも見られるようになった。ではどうすべきか。」と問題提起をした。
 さらに筆者は、「まず初めに、「社会の再構築と、思い切った民主主義なくしては、大衆層から欧州統合への支持を得ることはますますおぼつかなくなる」と認識することだ。
 この点で、「4人の代表者」(欧州委員会、欧州中央銀行、欧州理事会、ユーロ圏財務相会合)がユーロ圏の将来についてまとめた最近の報告者は、大いに気がめいる。
 そのざっとした趣旨は、すべてを解決できる「構造改革」(労働市場と資産に対する制限を緩和する)がすでに存在しており、後はそれを実行する方法を見つけさえすればよい、ということだという。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「しかし、ここ何年かにわたって欧州で失業者が急増しているのに、米国では減少しているのを見ると、この診断は全くばかばかしい。米国は、予算の柔軟性をアピールすることで経済を活性化させるすべを知っているのである。
 欧州を停滞させているのは、何より民主主義に反する首かせがあるからだ。すなわち予算の枠組みが硬直化していること、税の問題について欧州各国が一致しない限り何の対策もとれないという原則だ。
 そして何よりもまず、将来に向けた投資が欠けている。象徴的な例を挙げよう。欧州間の大学交流プログラム「エラスムス計画」には存在価値はあるが、ばかばなしいほど少額の予算しか与えられていない。
欧州イノベーション、若者、そして彼らが学ぶ大学に大規模な投資をすべきであるのに。欧州を再構築する妥協策が見つからなければ、崩壊の危機は現実的なものとなる。
 ギリシャに関して言えば、いくつかの指導者がこの国をユーロ圏から追い出そうとしているのは明らかだ。2012年の合意が実施できないのは誰もが知っているが、再交渉を拒否している。
 こうしたあらゆる問題について、フランスが全く提案を出さないことはうんざりしている。12月に予定されている地域圏議会選挙で、右翼がいくつかの地域で勝利を収めるのを、何もしないで待っているわけにはいかないはずなのに。」と締めくくった。
  日本で「21世紀の資本」の日本語訳版が発売になった昨年12月9日から、ほとんど毎日読んでいる。今日では、筆読(?)とでも言うべきか、「ワードで書き写しながら」510ページまできた。乏しい理解力の中で、ピケティ・コラムを読んでいる。それでも、刺激になった。
 「過去数十年にもわたって、低所得層は二重苦ともいえる状態にさらされてきた、最初に経済面において、続いて政治面において、である」とのこと、
 「1980年代以降、税制の累進性は大幅に緩和された。最もつつましい層を苦しめる間接税が少しづつ強化されたのに対し、最も高い所得の人々に適用される税率は大きく軽減された」とのこと、
 「実際、欧州各国の首都に拠点を置く巨大グループ企業より、中小企業のほうがはるかに高い率の税金を支払っている」とのこと、
 「税金は増え、公共サービスは減る。このような状況に置かれた人々が「自分は見捨てられた」と感じても不思議ではないだろう」とのこと、等々は、 いちいち、日本の現状に見られることばかりではないか、と思った。
 ただそのことに、圧倒的多数の最もつつましい層の日本人が、気が付いていないだけかもしれない、とも思った。
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by sasakitosio | 2015-04-06 07:08 | 朝日新聞を読んで | Trackback