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by sasakitosio

「命の値段が」異なる理不尽

 2月26日付朝日新聞17面に、「あすを探る」という欄がある。筆者は千葉大教授・酒井啓子氏だ。
 今日はこの筆者に学ぶことにした。
 まず筆者は、「「イスラム国」(以下IS)による日本人人質殺害事件の報道を見ていて、ずっと気にかかっていた。
 11年前、戦後のイラクで殺害された日本人の遺族は、どう思っているのだろう。
 イラク戦争後、2年強の間にイラクで5人の日本人が銃弾に倒れ、一人が今回と同様に人質になって、惨殺された。
 だがその報じられ方が、今と違う。今回の事件について朝日新聞が報じた記事は、発覚から殺害まで約200件あった。
だが11年前の人質殺害事件の報道件数は、その半分以下だ。
 11年前に報道が少なかった理由は簡単だ。当時自衛隊がイラクのサマーワに駐留していた。人質事件は自衛隊員の命を危険に晒すものと考えられ、「人命尊重」は後景に下がった。一部の記事は、駐留中の隊員の安否や今後の派遣予定など、人質ではなく隊員の命に気を配る。
 自衛隊員と人質となった民間人の間には、歴然とした命の差があった。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「命の値段には違いがある。テロリストが外国人を惨たらしい姿で殺害するのは、その命が「高い」とわかっているからだ。ISに乗っ取られたシリアとイラクで、殺害されているのは外国人ではなく、もっぱらイスラーム教徒だ。2011年の内戦以来、シリアで死者18万人を超え、イラクでIS侵攻以来毎日100人弱がなくなっている。
 だがそれでは世界は動かない。日本人の誰が、毎日数百人の中東での犠牲者に追悼記事を書くだろうか。今回の人質殺害事件で、イラクのアラビア語紙が紙面半分を割いて、日本人の死を悼む論を掲載したというのに。」と教えてくれる。
 さらに筆者は、「彼らの命と私たちの命は同じだ、と一番実感している日本人は、中東で取材したり駐在している人々だろう。03年に2人の外交官が殺害されたときには、イラク人の運転手も殺された。04年にジャーナリストの橋田伸介さんと小川功太郎さんの脇には、日本人ではない遺体があった。危険を共有する人々にとって、命の重みは同じだ。
国籍は違っても目の前の同じ命を救いたいと感じ、日本人として何かしなければと思う。報道を、援助を、貿易を、交流を通じて。人道支援の核はここにある。命の値段の「高さ」を当たり前に考え、遠く危険の及ばないところから行う支援は、施しに過ぎない。
 しかしその命の等価性を引き裂くものが二つある。
 外国人の「高い」命を危険に晒して、多くの見返りを得ようとするテロリスト。
そして、「高い」命なのだから危険に近づくなと、自国民の命だけを大事にする国内の空気。
 後藤健二さんの紛争地報道への意欲も、政府の難民支援も、世界から見向きもされない命に手を差し伸べることからはじまったはずだ。だが、人質事件の対応の過程で、中東の人々の命の値段はますます、日本人の命と乖離していく。日本人を守るために、同じく拘束されたヨルダン人の安否は蔑ろにしてよい、という空気が流れる。
 そして今、日本人だけを守るためにどうするかに議論が集中している。では日本人とともに生きる現地の人々の命は誰が守るのか。なぜ同じ暴力の犠牲になっている人々全体を守ろうと考えないのか。」と指摘した。
 最後に筆者は、「日本はイスラームや中東の理解が足りない、と言われる。」だが、欠けているのは知識ではない。「不公平」に対する怒りへの理解だ。
 命の値段が違う。パリのテロには世界が連帯するが、武装勢力ボコ・ハラムがアフリカで何百人の住民を殺害しても、世界は動かない。白人の暴力は事故とされるが、イスラーム教徒の暴力はテロ扱いだ。
 その都合のいい基準、不公正に、中東・イスラーム社会の人々は傷つき怒っている。彼らはそのことをこそわかってほしいと思っている。」と締めくくった。
 読んで勉強になった。
 筆者が教えてくれる、「自衛隊員と人質となった民間人との間には、歴然とした命の差があった」こと、「2011年の内戦以来、シリアでの死者は18万人を超え、イラクではIS侵攻以来、毎日100人弱がなくなっている」こと、
 「パリのテロには世界が連帯するが、武装勢力ボコ・ハラムがアフリカで何百人の住民を殺害しても、世界は動かない」こと、等々は、確かに命の重みの受け止め方に「差」があるのかもしれないと、思った。
 ただ、中東過激派と言われる集団が、なぜに「人間の命」かくも無残に奪うのか?
 近いところで、ナチスのアウシュビッツ、日本軍の大陸での蛮行等々。人を人とも思わぬ「心情」はどこから来るのだろうか?
 いま国家が存在している今日、国連が存在している今日、まずイスラム過激派の存在する「国家」が自国民の命を守るしかないのではないか?
 他国が軍隊や武器や弾薬や兵糧や金品を送ることでは、内戦を激化させ、かえって「被害の命」を増やすだけではないのかという気がするが?
 
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by sasakitosio | 2015-03-03 06:59 | 東京新聞を読んで | Trackback