憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

総理の解散 祖父の眠れぬ夜 真意は

11月29日付朝日新聞社説下に、「ザ・コラム」と言う欄がある。筆者は、編集委員・曽我豪氏だ。

 今日はこのコラムに学ぶことにした。

 まず筆者は、「安倍晋三首相の衆院解散に合わせるかのように、その祖父の本は店頭に並んだ。

 「岸信介証言録」(原彬久編著 中公文庫)である。

 別の編著者による「岸信介の回想」(伊藤隆 文春学芸ライブラリー)も先月発売された。ともに「昭和の妖怪」と呼ばれた政治家の喜怒も哀楽もあらわなオーラルヒストリーが展開されるが、こと解散断念の一件に関しては「証言録」が詳しい。。

 「実は、いまでも残念なことの一つなんだけれど、(新条約の)調印直後に衆院を解散すべきであったと思うんです」

 ときに政権発足からほぼ3年が経過した1960年1月。訪米して新日米安保条約に調印し、アイゼンハワー大統領との会談を終えて帰国した直後のことだ。

 「総選挙になれば絶対に勝という確信を持っていました。選挙に勝利して議会に臨んだら、議会がいくら騒いだって、国民が新条約を支持しているではないかとなるんです。・・・・あの時解散をやっておけば、あんな騒動にならなかった。」

 それなら、なぜできなかったか。

 「党内の調整に当たっていた川島幹事長がどうしても賛成しなかったんだ。・・・・・・選挙に当たって党内が不統一では勝ち目がないといって、川島君がどうしても解散に賛成してくれなかったんです」

 よほどの後悔だったのだ。首相時代の苦しい決断の記憶を聞かれて、もう一度繰り返すほどだ。

 「樺事件があってアイゼンハワーの来日を中止したときだね。私が眠れなかったのは、このときと、いま話に出た(新条約調印後の)「解散」断念の時だ」」と、教えてくれる。

 つづけて筆者は、「 こういうことだ。新条約に対して極めて厳しい反発が予想されるからこそ、あえて自ら争点にして国民に信を問う。多数が得られれば、それをテコに国会を正面突破できよう。ところがあろうことか、腹心の川島正次郎幹事長に背かれ勝機は去った。そして、東大生・樺美知子さんを死に至らしめた安保の騒動が現出した・・・・・

 安倍首相はこの祖父の故事を十分吟味していたらしく、政権発足直後から折に触れ側近や閣僚に語っていた。試みに、証言録にある新条約と言う言葉を消費増税の先送りとアベノミクスに変えてーーあるいは集団的自衛権の行使容認を付け加えてもいいーー読み直してみればよい。今日の政局状況にそのままあてはまってしまう。

 違いは今回、9月に石破茂氏からかえた谷垣禎一幹事長が首相の判断を尊重し結束して対応すると言い続けて背かなかった点だが、これは逆に、祖父の失敗から教訓を得たというべきだろう。」と指摘した。

 さらに続けて筆者は、「いや、安倍首相が証言録を深く読み込んだのであれば、今回の決断がさらに重い意味を持つことが自覚されていたはずだ。なぜなら祖父は、解散断念の下りのひとつ前のところでこう回顧しているのだから。

 「私は、いつまで(総理を)やるとか、長期政権を狙うとかいうような考えは初めからなかったですよ。仕事をしたい、つまり安保を何とか解決すること、もう一つは憲法調査会をして「改憲しなければならない」という結論を出させる、ということでした」

 解散断念により祖父が本当に失ったものは、安保国会の万全の乗り切りとか当面の政権の安定とかではなくて、憲法改正への道筋だった。眠れぬ夜の真相はそれだ。」と教えてくれた。

 最後に筆者は、「一つ想像を加える。今回の解散により、次の衆議院議員の任期満了は2018年12月になる。そして安倍首相の任期は、2期6年の自民党総裁選任期に照らせば同じ18年の9月である。

 二つの政治日程は、偶然と思えないほど近接している。

 今回の衆院選に勝利すれば、来年9月の総裁選はおそらく揺るがず、ならば途中で参院選が一回あるものの、安倍首相にとっては、2期6年の長期政権の展望が大きく開けてくる。

 それだけではない。想像をたくましくすれば、それこそ本願の憲法改正を争点にして、任期切れの前にもう一度の解散により信を問う展開さえ、論理的には想定できるではないか。

 したがって、この節目の衆院選の真の争点は、そうした長期戦略を可能にするか否かまで含めた安倍政権そのもの評価であるべきだとおもう。解散の大義やアベノミクスも大事な論点ではあろうが、そもそも総選挙の本質と妙味は政権選択にこそある。

 堂々の論戦が首相にとっても本望なはずだ。解散を断念した岸元首相は、反安保のデモを前に「私は声なき声にも耳を傾けなければならない」と語るほかなかった。

 他方、解散を表明した安倍首相は「成長戦略を国民とともに進めて行くためには、どうしても国民の声を聞かなければならないと判断した」と宣言したのである。

 それはその通り。まさに審判は、我々有権者が一票に託す声に任されたのである。声なき声は今回ありえない。」と締めくくった。

 よんで、大変勉強になった。60年安保のころは、田舎の高校2年生であった。「声なき声にも耳を傾けなければならない」との言葉は今も耳に残っている。

 何よりも、岸元総理の「樺事件があってアイゼンハワーの来日を中止したときだね。私が眠れなかったのは、このときと、いま話に出た(新条約調印直後の)「解散断念」のときだ」、「総選挙になれば絶対勝つという確信を持っていました。選挙に勝利して議会に臨んだら、国会がいくら騒いだって、国民が新条約を支持しているではないかということになるんです。・・・・・あの時解散をやっておけば、あんな騒動にならなかった」、等のオーラルヒストリーは、面白い。

 筆者の「解散断念により祖父が本当に失ったものは、安保国会の万全の乗り切りとか当面の政権安定とかではなくて、憲法改正への道筋だった。眠れぬ夜の真相はそれだ」の指摘は、今回の解散の方向性を教えてくれたような気がした。

 このザ・コラムは、護憲派必読のページだ。そして、護憲派に覚悟と対策をいまから迫るものだと思った。

 また、「選挙で勝利すれば、国会がいくら騒いだって・・」のくだりは、いまどきは「国会」を「マスコミ」に読み変えても当てはまりそうだとも思った。

 


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by sasakitosio | 2014-12-01 07:31 | 朝日新聞を読んで | Trackback