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by sasakitosio

エボラと「イスラム国」が突く古傷

 11月9日付朝日新聞朝刊2面に。「日曜に想う」という署名いりの囲み記事がある。筆者は、特別編集委員・冨永格氏だ。今日はこの記事に学ぶことにした。

 まず筆者は、「人人人・・・空の玄関は夜明けから全開だ。パリ北部のシャルル・ドゴール空港。毎朝6時、2Eターミナルにギニアからエールフランスの直行便が着く。リベリア、シエラレオネと並ぶエボラ出血熱の感染国である。

 この路線は、医療や報道関係者の往復にも使われる。AFP通信の手記によると、戦場記者がエボラには尻込みするという。砲弾と違いウイルスは見えない。ホットゾーン(感染地)ではのべつ顔や手を洗い、些細な体調変化に怯える日々。タクシーやホテルは誰が使ったか知れない。ストレスを感じるうちはまだしも、危ないのは慣れだ。援助関係者は「恐れが消えたら潮時、国に帰るがいい」と語る。

 アフリカが長いフォトジャーナリスト中野智明さん(55)は、9月にリベリアの感染地に入った。「14年前にウガンダでこの病を取材した時は、話を聞いた医師が2週間後に亡くなった。今回は感染者のけたも違い、消毒液を持参した。互いの安心のため、あいさつはひじを軽く合わせるだけでした」

 ウイルスの確認は1976年、自然宿主はコウモリらしい。密林で完結していた中部アフリカの風土病が、人の移動に紛れて海を渡り始めた。」と切り出した。

 つづけて筆者は、「エボラは欧米に、負の遺産を思い出させる。まず、アフリカを搾り尽くした過去だ。ギニアはフランスの、シエラレオネは英国の植民地だった。リベリアは米国の解放奴隷が建国した。

 仏国リヨン高等師範学校のフレデリック・ルマルシス教授は、10月訪れたコートジボアールで、こんなうわさを耳にした。<中部のエボラは土着だが、西部のエボラはアフリカを支配し続けたい白人が仕組んでいる> 

教授は社会人類学の視点で、アフリカの感染に取り組む。「流言を笑い飛ばすまえに、そこに潜む住民の不満を酌むべきだ。

 白人支配や、人権を軽んじた公衆衛生策への反発を解かない限り、実のある防疫は望めません」

エボラでうずく古傷がもう一つ、欧州で繰り返されたペスト禍だ。疫病、戦争、飢饉は人口破壊の三代要因である。14世紀に黒海周辺で始まった最悪の流行では、全欧州の3人に1人が死んだとされる。「ペストもエボラも、感染症の拡散は社会に潜む不安や差別をあぶりだす。そして時の権力を試練にさらす」(ルマルシス教授)

 不人気を極めるオランド仏大統領はエボラ対策で弱気になるわけにはいかない。ギニアとの直行便は、今日も乗員の不安をよそに飛び続ける。」と、教えてくれる。

 さらに筆者は、「エボラとは別に、世界は「言葉が通じない脅威」と向き合う。「イスラム国(IS)」と称する過激組織だ。彼らも欧米にいやな記憶を突きつける。古くは十字軍、近くはオスマン帝国分割の英仏密約(1916年)、イラク戦争に至るまで、とかく身勝手で場当たりと批判される中東政策である。

 「米国は世俗の独裁者サダム・フセインを葬り、混乱を残して去った。だからISは介入の落とし子だ」。語るのは国際関係戦略研究所『パリ』のカリム・パクザット氏だ。「ISは第一次大戦後に欧米が引いた国境を消しにかかっている。対抗手段はイラク政府軍の増強、イランやトルコの関与など時間を要するものばかり、期待できそうな療法があるエボラ熱に比べ、ずっと複雑で厄介な相手です、」

 IS膨張の影には、中東に根深い政治的不公正、在欧ムスリムたちの生きづらさがあり、エボラ拡大の背景には絶対的貧困がある。ISもエボラも、無から湧いた悪魔ではない。欧米キリスト教社会にすれば「身に覚えのある敵」だろう。

 欧米が導き、アジアが後を追う近代文明は、自然破壊、温暖化、大呂破壊兵器などの害毒を地球の隅々にまき散らした。

 幸せの偏在で不穏な空気が漂い、他者との間に鉄縄網を巡らせるかの不寛容が広がる。この病んだ世界の底にテロリズムや感染症は巣食う。空爆や隔離だけではどうにもならない。」と締めくくった。

 読んで、欧米と中東・アフリカとのかかわりの歴史が少しわかったような気がした。

 そして、筆者指摘の「IS膨張の影には、中東に根深い政治的不公正、在欧ムスリムたちの生きづらさがあり」、

「エボラ拡大の背景にはアフリカを覆う絶対的貧困がある」、「ISもエボラも、無から湧いた悪魔ではない」、との指摘は良く分かった。

 さらに、「欧米が導き、アジアが後を追う近代文明は、自然破壊、温暖化、大老破壊兵器などの害毒を地球の隅々に散らした」、

 「幸せの偏在で不穏な空気が漂い、他者との間に鉄条網を巡らせかの不寛容が広がる」、との指摘も当たっているし、解決すべき問題だと思う。

 が、その問題の解決の筋道は、誰が、どうやって、何時、つけられるのか?

 人類が種として、生き続ける、21世紀における「人類の課題」なのだろうか?


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by sasakitosio | 2014-11-12 07:34 | 朝日新聞を読んで | Trackback