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by sasakitosio

消費税増税 地域・所得・世帯間 三つの格差

10月26日付朝日新聞朝刊5面に、「波聞風問」という署名入りの囲み記事がある。筆者は、編集委員・多賀谷克彦氏だ。今日はこの記事に学ぶことにした。

 まず筆者は、「「なかなか、複数の衣料品をコーデネートして買っていただけない。単品買いのお客様がほとんどです」

 百貨店、高知大丸の太田政男社長は最近、婦人服売り場から報告を受けた。消費税増税後、落ち込んだ売り上げが回復しない。4月は駆け込みの反動で大きく落ち込み、そろそろ回復と期待された7月以降も前年同月比5~9%幅のマイナスが続いている。

 太田社長は「小さな店なので、大都市の店で売れている絵画ブランドも扱えない」という。高知市商店街振興組合連合会の広末幸彦理事長は、「お客さんは増税後、一段と価格に敏感になった。給料が増えたという話も聞かない」と語る。

 増税後も日本経済は、全体では「緩やかな回復基調にある」と言わている。ただ、小売業の上半期(3~8月)の業績から個人消費を見ると、そうは言えない。読み取れるのが地域、所得、世代間の三つの格差だ。」と切り出した。

 つづけて筆者は、「大丸松坂屋で見てみよう。主要各店の今年の上半期の売上げ高は、東京、名古屋、大阪・梅田など都市部の店では前年同期を上回った。しかし、高知、下関などの地方の店は前年割れになっている。首都圏や都市部が好調なのは、増税後もこれまで通りに消費できる余裕がある層が、しっかり存在するからだ。

 外回り営業で得意先を回る売り方を、百貨店業界では外商という。大丸松坂屋の外商の売上高は約4%増、そうではない店頭での売上高はマイナスだ。商品別では美術品、宝飾品、海外ブランドなどの高額品はプラスでも、衣料品など身近な商品ではマイナスになっている。こうした傾向は首都圏では顕著という。

 そのなかでも、金融資産を多く抱える高齢者たちが消費を支える構図になっている。

 大丸松坂屋の「お得意様」の6割は60歳以上。あくまで統計上だが、家計調査では60歳以上の無職世帯の貯蓄残高は平均2千万円を超える。とくに昨年は有価証券として持つ資産が、前年より38%増の420万へと膨らんだ。」と教えてくれる。

 さらに筆者は、「電通総研は増税後に、「節約への意識」「消費を増税前に戻すか」などの消費行動を全国で聞いた。結果、消費のスタイルを変えない「ゆとり層」と「中間層」、節税後にスタイルを変えた「節約層」に分かれた。割合は「4・2・4」だったという。研究主幹の袖川芳之さんは「5月と9月の調査を比べても節約層が増えている。この傾向はつよまるだろう」とみる。」と教えてくれた。

 最後に、「これまでおぼろげだった格差が、増税の圧力で改めて浮かびあがる。円安にともなう輸入品を中心にした物価上昇に、給与の伸びが追いついていない。株高に支えられた「ゆとり層」の消費が頼りでは、あまりにも心もとない」と締めくくった。

 読んですごく勉強になった。

 「地域、所得、世帯間の三つの格差」の指摘は、大変興味深かった。

 ことに、「家計調査では60歳以上の無職世帯の貯蓄残高は平均2千万円を超える」とのこと、また「電通総研の増税後の調査で、「ゆとり層」・「中間層」・「節約層」の割合が「4対2対4」だった」とのこと、は社会の現在をしるうえで、参考になった。

 また、高齢者の「振り込め詐欺被害」が、地域社会・行政挙げての被害防止のピーアールが行われているにもかかわらず、一向になくならない原因の一つが分かったような気がした。


by sasakitosio | 2014-11-01 11:42 | 朝日新聞を読んで | Trackback