トレーダーの世界
2014年 10月 21日
10月16日付東京新聞朝刊27面に、「本音のコラム」という署名入りのかこみ記事がある。筆者は法政大教授・竹田茂夫氏だ。 今日は、このコラムに学ぶことにした。
まず筆者は「2008年のリーマン・ショックの約半年前、世界中の基準金利となるロンドン銀行間取引金利に疑惑が持ちあがった。
この金利は実際の金利の平均をとるものだ。金融波乱で高騰した資金調達コストを、正直に申告しない銀行があるというのだ。調べると、金融取引トレーダーがお互いの便宜のために価格操作をしていることが分かった。」と教えてくれる。
つづけて筆者は、「さらに一日の取引額が5兆ドルにもなる外国為替市場で、数社のメガバンクのトレーダーが談合で、不正に利益を得ていたことが判明した。基準金利や為替相場など市場機構の聖域で、談合と価格操作があったことは市場の信頼を根幹から揺るがすものだった。」と指摘した。
さらに筆者は、「昨年には、原油やアルミなど商品市場でも不正が報道された。原油の先物取引で、少量を低価格でオファーして基準価格を引き下げ、数日後、その価格で大量に買うというトリックだ。米国の電力卸売市場で、価格のつり上げがあったことも記憶に新しい。」と教えてくれる。
最後に筆者は、「トレーダーとは、いわば市場機構の前衛で、次々変化する需給をマッチさせて市場価格を発信する役割を担うが、そこに裁量の余地が生まれてくる。ネットや専用回線で結びついたトレーダー独特の世界のなかで、規制がなければ、裁量は談合や価格操作に、損失回復は危険な投機にと、容易に結びつく。」と締めくくった。
読んで勉強になった。
「基準金利や為替相場などの市場機構の聖域で、談合と価格操作があったことは、市場への信頼を根幹から揺るがすものだった」との指摘は、神の手に似せて作っても、それを運用するのが人間だから、「規制がなければ」人間の欲が「裁量は談合や価格操作に、損失回復は危険な投機へ」容易に流れる、事を教えてくれたような気がした。